2006年3月の映画  戻る


プロデューサーズ The Producers
 
2005年 米国 134分 字幕・戸田奈津子
脚本 トーマス・ミーハン
監督 スーザン・ストローマン
製作・脚本・音楽 メル・ブルックス
キャスト ネイサン・レイン(プロデューサ・マックス)/マシュー・ブロデリック(会計士レオ・ブルーム)/ユマ・サーマン(ウーラ)/ウィル・フェレル(脚本家フランツ)/ゲイリー・ビーチ(演出家ロジャー)/キム・ソンス(ロジャーのアシスタント・カルメン)
メモ 2006.3.31(金) そごう劇場・試写会
あらすじ
1959年のニューヨーク。ブロードウェイの新作ミュージカル「ファニー・ボーイ」は初日を迎える。が、速攻で沈没、打ち切り、初日=落日。元大物プロデゥーサーのマックス(ネイサン・ケイン)は老婦人に奉仕しその小切手でしのいでいる日々だ。そこへ冴えない会計士のレオがやってきて帳簿を調べてつぶやく。「ショーはコケタ方が儲かる・・・。」
資金を集める→ショウが沈没→出資者に配当金を払わなくてよい→プロデューサーのぽっぽに全てナイナイ。
という図式だ。それってサギやん。
金を掴んで高飛びする自分の姿を夢見たプロデューサーのマックスはレオを引ずり込み、史上最低の脚本、史上最低の演出家、史上最低のへなちょこ舞台を作るべく奔走する。おめがねにかなった脚本はナチ信奉者のドイツ移民が書いた『春の日のヒトラー』。
感想
29日にメールが来た。「『プロデューサーズ』っていう映画の試写会の券あるけど、行く?」 「行く行く。マシュー・ブロデリック好き!」
31日の金曜日、心斎橋そごう百貨店の14階そごう劇場に座っているあたし。
上映の前に簡単な解説があって・・・・・
 
これって、メル・ブルックスの「プロデューサーズ」の再映画化だったの!!!!という驚愕の事実を知る(知らんかったのは私だけ?)。
ロングランのブロードウェイ・ミュージカルの映画化だったの!!というのも知る(知らなかったのは私だけ?)。舞台のチケットをゲット出来ない人、N.Y.にこれない人のために映画が作られたんだって。
猫に小判 豚に真珠状態。トホホホ
 
洗練されていると言うよりは、ベタベタなギャグでキンキラ金で。マシュー・ブロデリックのみがしょう油味であった。最低の演出家の家でのゲイミュージカルや、演出家マックスの走馬灯のようなひとりミュージカルがよかったな。あの体型でくるくるよく動くんだ。
最後の最後にメル・ブルックス登場。アン・バンクロフト亡くなってしまわれましたが美女に囲まれてお元気そうでした。
満足度★★★★1/2戻る

美しき野獣 RUNNING WILD
 
2006年 韓国 125分 字幕・根本理恵
監督 キム・ソンス
脚本 キム・ソンス/ハン・ジフン
撮影 チェ・サンムク
キャスト クォン・サンウ(刑事チャン・ドヨン「火山高」「ひとまず走れ!」)/ユ・ジテ(検事オ・ジヌ「オールド・ボーイ」)/オム・ジウォン(幼馴染カン・ジュヒ)/ソン・ビョンホ(会長ユ・ガンジン)/カン・ソンジン(組長ヨンチョル))
メモ 2006.3.24(金) ナビオTOHO
あらすじ
ソウルの刑事チャン・ドヨン(クォン・サンウ)は、体をはって犯人を追い詰めるという生傷の絶えない日々だ。苦労し続けたオモニは余命幾ばくもない。自分が刑務所に送り込んだ父親違いの弟が出所してきた。オモニには遠くで働いていると言ってある。弟はあやうい性格だ。オモニは重い病。父親はろくでなしだった。あんなこんなで結婚など問題外。そんな運の悪さを運の悪い犯人にぶつけのたうちまわる様に悪人を追う。
オ検事(ユ・ジテ)は暗黒界の大物ユ・ガンジンを脱税で刑務所に送り込んだものの、上層部に睨まれ左遷されていた。ユ・ガンジンの出所と前後してソウル地検に戻ってくる。こんどこそユ・ガンジンの息の根を止めてやるのだ。しかし家庭では妻に見放され崩壊が始まっていた。
感想
アタシが見るべき映画ではなかったような気がする。青春スターのやんちゃなクォン・サンウが、こんなにも影のある役ができるようになったんだ、とか、アイドルだったのにあんなに運動神経がいいんだ、とかほれぼれとして見れる人ご用達ではなかろか。確かに車の上を走るところとかすごい。さぼてんとは「人類」などと同じ呼び方でくくる事はできない動きだった。
ただ、さぼてんには・・・・・”美しき”野獣? 美しいかな? なんかむさかったけど。
アップが多用されていて少し引いてしまう。クサイ 野暮ったいわかり易す過ぎる演出に多少たじろぐ。
ラストは完全に引いた。わけわからん。なんじゃこりゃ。弟が残したものはどうなったん?
ドヨンは猪突猛進であまりにアホやし、検事オ・ジヌはそれほど切れ者には見えへんし工夫がたらん。浅い。今までのフィルムノワールを切り貼りしたみたいだ。会長ユ・ガンジンが殴るシーンなんてまんま「アンタッチャブル」のデ・ニーロ。そやけどパクリオマージュはまだいい。気に入らんのはこれだけの俳優を使っていながら、脚本と演出がちんたらしてピリッとしない。とてももったいない。 はがゆい〜〜〜〜〜〜〜。
お薦め度★★★戻る

ホテル・ルワンダ HOTEL RWANDA
 
2004年 南アフリカ=イギリス=イタリア 122分 字幕・田中武人
監督 テリー・ジョージ(「父に祈りを」の脚本)
脚本 ケア・ビアンソン/テリー・ジョージ
撮影 ロベール・フレース
キャスト ドン・チードル(ポール・ルセサバギナ「青いドレスの女」「トラフィック」)/ソフィー・オコネドー(タチアナ・ルセサバギナ「堕天使のパスポート」の娼婦)/ニック・ノルティ(平和維持軍オリバー大佐)/ホアキン・フェニックス(カメラマン・ジャック・ダグリッシュ)/デズモンド・デュベ(デュベ)/デイヴィッド(デイヴィッド・オハラ)/カーラ・シーモア(赤十字のパット・アーチャー「アダプテーション」)/ファナ・モコエナ(政府軍ビジムング将軍)/ジョルジュ・ルタガンダ(ハーキム・ケイ=カジーム)/トニー・キゴロギ(ホテルの使用人グレゴワール)/ジャン・レノ
メモ 2006.3.18(土) 九条シネ・ヌーヴォ 曇り雨
あらすじ
アフリカのど真ん中にあるルワンダの首都ギガリのホテルマン・ポール(ドン・チードル)。ポールはベルギー系高級ホテル「ミル・コリンホテル」の支配人だ。ルワンダ愛国戦線(RPF)との3年越しの内戦に終止符が打たれる和平協定まであと一歩。ホテルの平和のため家族の安心のため政府軍のビジムング将軍への袖の下も滞りなく、目配り気配りのきくポールであった。しかし街は不穏な空気に満ちていた。ラジオからはフツ族至上主義者のプロパガンダがフツ族を煽っている。民兵グループも組織されている。ポールは多数派のフツ族であったが妻のタチアナはツチ族だ。 和平協定が結ばれた夜、タチアナの兄夫婦がポールをホテルまで訪ねてくる。タチアナを連れて国外に脱出したいと言うのだ。義兄は、フツ族民兵(インテラハムェ=共に戦う者)の友人からこっそりと虐殺が起こるので国外に逃げろと教えられたと話す。虐殺の合図は「高い木を切れ」だった。
感想
1994年の4月から7月までの100日間で100万人が殺されビクトリア湖におびただしい死体が流れ着いたフツ族至上主義者によるツチ族大虐殺を、ホテルマンの視点から描いた作品。実話を基に映画化。
 
1860年にツチ族の王ルワブギリによりツチ族とフツ族の階級分化が発生したルワンダは1897年にドイツの間接統治を受ける。ドイツ統治中もツチ族はフツ族の支配を続ける。第一次世界大戦後、国際連盟はルワンダを戦利品としてベルギーに与えた。ベルギーの統治はツチ族を優遇し、フツ族とツチ族をより対立させて国を不安定な状態に置くことだった。しかし1962年ベルギーからの独立と前後してフツ族支配へと進んでいく。1973年に軍事クーデターを起こして大統領に就任し圧制をしいたフツ族のハビャリマナ将軍は、1992年国連の圧力を受けツチ族中心のルワンダ愛国戦線(RPF)と和平の話し合いを始めるが、フツ族至上主義者たちはこれを裏切りと捉える。
という植民地支配の後遺症に苦しみ恨みついに大爆発した「ツチ族を根絶やしに」というフツ族至上主義者により、女子供も容赦ない虐殺は起こった。
 
遠い国であり石油があるわけではなく必死の思いは通じず、西側諸国の救いの手はなかなか差し伸べられない。「ノーマンズ・ランド」と同じく国連平和維持軍は介入しようとしない。国連軍は自国民を退去させるだけだ。プレスも無力。 フツ族の民兵に囲まれ篭城したポール達は四面楚歌の中、国際電話を知り合いに掛け始める。別れを告げるためだ。しかし決して相手の手を離さない。海外に友人がこんなにいる人達なのかとびっくりした。これも危機管理なんだな。日本が沈没した時どれだけの国が助けてくれるのか・・・・。潔く沈むしかないか。
 
ドン・チードルは表情を変えずに内面の変化を表現できる人だ、とあらためて思う。フツ族の首謀者に「(ツチ族を本気で)絶滅できると思っているわけではないだろう?」 という問いかけると 「何故出来ないと思うのだ? 半ばまできた。」という言葉に「こいつは本気だ。狂っている」と今までの認識がまだ甘かった事を思い知らされフリーズする表情がおそろしく悲しい。「何故アメリカ合衆国のようにアフリカ合衆国になれないのか」という曲が哀しい。 国益は守らなければならないが、今もこれからも国粋主義、純潔主義者に煽られてはいけない。
お薦め度★★★★★戻る

クラッシュ crash
 
2005年 アメリカ 112分
監督・製作・脚本 ポール・ハギス(「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本)
製作・脚本 ボビー・モレスコ
製作・出演 ドン・チードル(グラハム)
撮影 
音楽 マーク・アイシャム
キャスト マット・ディロン(ライアン巡査)/ライアン・フィリップス(ハンセン巡査)/サンドラ・ブロック(リックの妻ジーン)/ブレンダン・フレイザー(地方検事リック)/ウィリアム・フィットナー(フラナガン)/ジェニファー・エスポジト(グラハムの恋人リア)/テレンス・ハワード(TVディレクター・キャメロン「フォー・ブラザーズ」)/クリス・”リュダクリス”・ブリッジス(アンソニー)
メモ 2006.3.17(金) HEPナビオ・ナビオTOHOプレックス
あらすじ
ロサンジェルスでカージャックが発生。盗んだのはいかれた怒れる黒人の若者ギャング。盗まれたのは白人スワップの若き地方検事。いわゆる持てる者と持たざる者だ。そのカージャック捜査の途中、ロスを守るライアン巡査(マット・ディロン)は身体検査と称してハイソな黒人の夫婦者をいたぶる。相棒のハンセン巡査(ライアン・フィリップス)はとてもついていけない。もうひとりロスを守るグラハム刑事(ドン・チードル)は悩みがいっぱいだ。恋人・リアは白人で母親に紹介もできやしない。そして弟はぐれている。
感想
色々あった第78回アカデミー賞で「ブロークバック・マウンテン」 「ミュンヘン」 「カポーティ」 「グッドナイト&グッドラック」を押さえ作品賞を受賞。
受賞ながら「小品」と陰口たたかれひっそりと公開されていた作品。
 
これはなんですな、大人の味の作品。大人は色々複雑・・・なのかもしれん。信念を持ってまっすぐ生きるなんて言うはやすいけど難しいねん(というかほぼ無理)。思ったようにはならん(ライアン・フィリップス)。
さらに人種とか民族があふれかえってcrashしている。ここんところはさぼてんには「そうなんやろなあ」と思うしかない。
今言った事した事は人種差別、性差別じゃなかろか・・・うんぬん・・・アメリカって常に緊張している社会なんだ。 見ているだけで疲れる。
怒りと悲しみ、理性が狂った衝動と後悔が渦巻いていて、転落するのも一瞬、踏みとどまるのも一瞬。人をあやめる事もなく、あやめられる事もなく人生をまっとうしたい。と見終わって今強く思う。
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