2003年9月の映画  戻る


シャドー TENEBRAE

1982年 伊 101分
監督・脚本 ダリオ・アルジェント(「サスペリア2」)
撮影 ルチアーノ・トポリ
出演 アンソニー・フランシオサ/ダニア・ニコルディ/ジョン・サクソン/ジュリアーノ・ジェンマ
メモ 2003.9.20 レンタルDVD
あらすじ
ベストセラー作家のピーターは恋人のジェニーから逃げるため新作の宣伝のためニューヨークからローマにやってきた。ところがベストセラー本と同じ手口の殺人事件がその地で起こる。若い女がカミソリで首を切られたのだ。口の中に詰められていたのは本からちぎられた頁だった。
感想
よく言えばまったりと、ありのまま言えば亀の歩みのようにだらっだららっと猟奇殺人が起こりが飛び散る。まあこちとらもうひとりやふたり殺されただけでは満足できない体になっている(おー)とはいえ、、、、両手いっぱいいっぱいくらいか。多いな。小説になぞらえた「殺人の謎」なんぞ途中からどっかに置いてけ堀。「あーあのオブジェがあぶない」と思ったら串刺しだあー。フツーあんなもんが借家にあるかい? 恋人ジェーンの行動が理解できん。彼女があやしいと思う人いるんでしょうか? 友達を使ってピーターに嫌がらせしてローマまで追っかけてきて、あげくにエージェントと浮気してたんかい? 意外と言うよりあまりに唐突。言いたい放題やねんけどジュリアーノ・ジェンマの「後ろのピーター」とかのショック・シーンがいいんよねえ。私も好きよねえ。
おすすめ度★★★1/2
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閉ざされた森 basic

2003年 米国 98分 コロンビア
監督 ジョン・マクティアナン
脚本 ジェームス・ヴァンダービルト
音楽 クラウス・バデルト
出演 ジョン・トラボルタ(トム・ハーディ)/コニー・ニールセン(オズボーン大尉)/ティム・デイリー(ビル・スタイルズ大佐)/サミュエル・L・ジャクソン(ウエスト軍曹)/ハリー・コニック・Jr(医者ピート・ヴィルマー「コピーキャット」)/ ブライアン・ヴァン・ホルト(ダンバー・生還者1)/ジョヴァンニ・リビシー(リーヴァイ・ケンドル・将軍の息子・生還者2「ギフト」)/ダッシュ・ミホック(ミューラー最後の銃撃戦で死んだ隊員3)/テイ・ディグス(パイク・黒人の隊員4)/ロザリン・サンチェス(ニュウニネズ・紅一点の隊員5)/クリスチャン・デ・ラ・フエンテ(カストロ・ケンドルを嫌っている隊員6)
メモ 2003.9.6 動物園前シネフェスタ4
あらすじ
パナマ運河にある米軍クレイトン基地ではレインジャー部隊7名が熱帯雨林で訓練中行方不明となる。ヘリで捜査中上空から目撃されたのは負傷している隊員を担いでいる隊員が別の隊員と同士撃ちしている図。バトロワの世界だ。死亡者1名、負傷者1名、無傷1名を連れて基地に帰還する。残りの4名は行方不明。生還者ダンバーへの尋問が始まるが完全黙秘。「レインジャーには話をする。」と書いて寄こす。そこには「8」のサインがされていた。
感想
「プレデター」「ダイ・ハード」「レッド・オクトーバーを追え!」のジョン・マクティアナン監督初のミステリ。十分睡眠をとって体調を整え闘志満々ガチンコ勝負!の気構えで挑む事をお奨めする。
だってレンジャー隊員6人全員が迷彩服姿の上雨がざんざん降りで判別つきにくいんやもん。そこを頑張って名前とキャラを覚えておかないと置いてかれる。楽しめないと思う。Webの感想を読んだら賛否両論みたい。poorの感想の人達は「つじつまがあっていない」「どんでんのための思いつきだけ」と書かれているが「どこがどう整合性がとれていないのか」の記述がないのだ。それが読みたいねんっ! 「考えてへんのと違う?」「覚えてへんのと違う?」「訳わからへんのと違う?」とか思ってしまうぞ。「アフォだからわからへんかった」という感想はよくわかる。さぼてんもそうだから。
ねたばれあり
生き残ったケンドルとダンバーのそれぞれの回想シーンを見て「はっはーん、これは誰かを騙すための大がかりな罠なんだな」と読む。誰を騙しているのか? トム(ジョン・トラボルタ)なんだな。実はこいつ本当に麻薬組織に買収されていたんだな。この堕ちた麻薬捜査官を何故軍をあげて罠にはめるのか? それは軍隊も麻薬に汚染されていて膿をだそうとしているんだ。シメシメ読めたぜ。
ところがケンドルが殺された所で混乱を生じる。「えっお芝居やったんちゃうん。」後はあれよあれよと進む。ラストは「おいおい」ですがよく出来たミステリと思う。罠にはめられたのはさぼてんだったのだ。回想シーンはケンドルとダンバーの話からトムとオズボーン大尉が想像した映像であり、「8」というのは8番目のレインジャー・トムの事も表しているんだ。
1.何故パイクはダンバーと名乗ったのか?
 「ウエスト軍曹に嫌われていた自分が犯人にされるのを回避するため」とケンドルに思わせるため。話がリアルになる。ケンドルは麻薬の秘密をパイクに知られていたためダンバーが実はパイクだとは明かせない。ただしパイクがウエスト軍曹を殺したと思っているため、ダンバー(実はパイク)を罪に陥れようとする。
2.スタイルズ大佐は何故トムを呼んだのか?
 トムなら何があっても買収できると思っていた。元レンジャー隊員だしダンバーの希望にはかなう。最近再会したのはトムの罠だとも知らずに。
3.ケンドルは何故「8」と書いたのか?
 トムが「8」の組織のひとりだと知っていたから。仇を討って欲しいと思ったから。
4.医者ヴィルマーは何故ダンバーとパイクを知っていたのか。
 医者だから。レンジャーの健康診断をしていただろうし救出された時も診察しただろうから。
5.計画はウエスト軍曹を助けるだけだったのが狂ったのか、最初からスタイルズ大佐を罠にかけるつもりだったのか。
 どうだろう? どう思います? どっちかというとミューラーが凶暴になり狂ったような気がするな。
6.ケンドルが父親に殺されると思っていたのは真実かどうか。
 そうねー。ミューラーがウエスト軍曹を殺しケンドルも亡き者にしてどちらも事故というのがスタイルズ大佐のシナリオだったように思う。
ううっ書いていてなんだか納得がゆかないこじつけのような気もしてきたゾ。
おすすめ度★★★★
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アダプテーション adaptation

2002年 米国 115分 コロンビア
監督 スパイク・ジョーンズ(ソフィア・コッポラの夫。という訳でフランシス・フォード・コッポラ監督の甥であるニコラス・ケイジとは姻戚関係にある)
脚本 チャーリー・カウフマン&ドナルド・カウフマン
原作 スーザン・オーリアン(「蘭に魅せられた男 驚くべき蘭コレクターの世界」)
撮影 ランス・アコード
音楽 カーター・パーウェル
出演 ニコラス・ケイジ(チャーリー&ドナルド・カウフマン)/メリル・ストリープ(スーザン・オーリアン)/クリス・クーパー(ジョン・ラロシュ アカデミー最優秀助演男優賞「真実の囁き」 「アメリカン・ビューティー」 「ボーン・アイデンティティー」)/ティルダ・スウィントン(ヴァレリー 「オルランド」)/カーラ・シーモア(アメリア「ダンサー・イン・ザ・ダーク)/ブライアン・コックス(ロバート・マッキー「ボーン・アイデンティティー」)
メモ 2003.9.6 梅田ブルク7
イントロ
チャーリー・カウフマン。「マルコヴィッチの穴」で一躍時の人となった脚本家がボク。でも「マルコヴィッチの穴」の撮影現場では透明人間扱い。というのもハゲでデブなんだ。緊張すると汗が吹き出るし。我ながらさえない男や。次の仕事はスーザン・オーリアン著の「蘭に魅せられた男 驚くべき蘭コレクターの世界」。蘭に取り憑かれた男とその男に魅いられていく女の話。生物ってのは進化していくんや。人間の内面を描いた魅力的な話なんやけど映画的には山も谷もない退屈なストーリーになりそう。詰まる。悩んで眠れない。産みの苦しみってやつ。双子のドナルドは脚本家養成セミナーに通って「多重人格の殺人者・犯人と追う刑事と監禁されている被害者が同一人物」という『3』を書いている。こちらは手垢が付いているとはいえアクションありサスペンスありの映画的なお話だ。
感想
むう・・・・・ネタバレなしの感想を書くのが難しいのだ。
そこでバレ 
第一部は「芸術と世間との妥協」にのたうちまわるカウフマン。原作を読んでは「花の事はかいもく知らないし女にはもてないし自信もないしハゲだしデブだし」とウディ・アレンのように内省してはうじうじ。原作を読んで頭の中に浮かぶのは3年前の花泥棒とニューヨーカーのインテリ記者・スーザンQの掛け合い。脚本は進まないが女の妄想をしては自分をナグサメル。反対に双子のドナルドは多重人格の刺激的な脚本を書いている。見ている方は「ははーん。ドナルドはチャーリーの分身なんだな。」と読む。現実逃避しているんだ。
 
第二部はいき詰まったチャーリーは脚本に自分自身を登場させるという暴挙にでる。そうなると気になるのは原作者のスーザンQだ。どんな人なんだろう。ここで頭の中で空想していた事が現実とひっつく。ニューヨークに出かけるがスーザンに会う勇気が出ない。そんなチャーリーに代わりドナルドがスーザンにインタビューする。そしてドナルドの直感が言う「彼女は嘘つきだ。あの本には秘密がある。」
 
転の第三部。双子は秘密のあるスーザンQをストーカーする。明かされた秘密とは・・・・。
 
第四部。映画を見終わってパンフレットを読んだ観客は「蘭に魅せられた男 驚くべき蘭コレクターの世界」は実在のベストセラーでありスーザン・オーリアンは実在の作家であり「脚本が出来て映画になったらこうなりましたんや」という脚本家の映画にすり変わったのだと知るわけだ。退屈な話もこう作ったら映画になるんや。原作のテーマもより強く生かしているしぃとおそろしく大胆にアレンジされている。(ついでながらプロデューサーの映画は「ウワサの真相」)。脚色する事に取り憑かれた男の話だったのだ。メタ構造になっている。ドナルドはチャーリーの分身だったのだと確信するさぼてん。マミーに「ドナルドが・・・」と告げないもんね。映像よりも本寄りのさぼてんはこういう映画好きなんだな。ハゲでもデブでも才能ある男は魅力的と言っている。なるほど。
 
「蘭に魅入られた男」ジョン・ラロシュ役のクリス・クーパーが魅力的。前歯のない貧乏白人のへんなヤツなん。セクシー。
 
注:アダプテーション 1.適応 2.脚色
おすすめ度★★★★
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