2004年1月の映画  戻る


ミッション・クレオパトラ

2002年 フランス 146分
製作 クロード・ベリ(画家役)
監督・脚本・出演 アラン・シャバ(シーザー役)
原作 ルネ・ゴッシニー/アルベール・ユデルゾ
出演 モニカ・ベルッチ(クレオパトラ)/クリスチャン・クラヴィエ(アステリックス)/ジェラール・ドパルデュー(オベリックス)/クロード・リッシュ(パノラミックス)/イデフォックス(白い犬)/ジャメル・ドゥブーズ(建築家ニュメロビス)/ジェラール・ダルモン(建築家アモンポーフィス「ディーバ」)
メモ 2004.1.24 心斎橋シネマ・ドゥ
あらすじ
紀元52年、ヨーロッパ系の美女クレオパトラ7世は、ローマ皇帝シーザー(監督のアラン・シャバ)にいらいらしている。ローマこそ世界で一番とシーザーは言ってはばからない。ワタシのエジプトはピラミッドもスフィンクスも作ったというのに。「3ヶ月で大宮殿を造って見せるわ」と宣言するお騒がせ女クレオパトラ。シーザーの鼻をへし折りたいのだ。えじきとなったのは前衛建築家のニュメロビス(字幕はニャロメと読めて・・・「アメリ」で苛められていた八百屋の店員)。間に合わなかった時はあわれワニの餌食となる運命だった。
感想
大笑いするわけじゃないけれど、愉快な映画だった。凝っている。DVD買いたい。「20世紀FOX」の屋台骨を揺るがした「クレオパトラ」や「スターウォーズ」のパロディが楽しい。「アステリックス」という40年以上フランスで人気のある漫画の映画化。2作目で前作は「アステリックスとオベリックス」(くっ、、未見)。日本で国民的漫画の主人公と言ったら誰かな? ドラえもん(ではありませんように)、サザエさん(「いじわるばあさん」の方が好き)、藤原センセ(はは)、アトム(優等生過ぎ)、ひょっこりひょうたん島は誰が主人公なんだ? ドン・ガバチョか?(井上ひさしは好きじゃないし)。
アステリックスとオベリックスはカエサルに抵抗したガリア(フランス・ベルギー)のケルト人なんだって。魔法使いのパノラミックスと3人でローマ兵をやっつける。中華思想のフランスらしい漫画みたい。
 
監督さんとシーザーは「ディディエ」のディディエと近作では「ムッシュカステラの恋」のアラン・シャバ。アステリックスは「ビジター」「おかしなおかしな訪問者」の騎士ジャン・レノの従者ジャクイユ役、ドパルデューとは「俺たちは天使だ」で共演したクリスチャン・クラヴィエ。
好きなキャラは「腹が減った」が口癖でおつむがちょっと軽いオベリックス。ドパルデュー、名優よね。ジャン・ギャバンの息子役でとっても若いドパルデューを見たのはなんていう映画だったのかな。
おすすめ度★★★★
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バッドボーイズ2バット BAD BOYS 2BAD

2003年 アメリカ 146分 コロンビア
製作 ジェリー・ブラッカイマー
監督 マイケル・ベイ
撮影 アミール・モクリ
出演 ウィル・スミス(マイク)/マーティン・ローレンス(マーカス)/ガブリエル・ユニオン(マーカスの妹シド)/ジョー・パントリアーノ(ハワード警部)/ピーター・ストーメア(アレクセイ)/オットー・サンチェス(カルロス)
メモ 2004.1.18 南街シネプレックス
あらすじ
マイアミ市警では特捜チームTNT(戦術麻薬捜査班)を編成し麻薬を水際で阻止しようと戦っている。その特捜班の一員がわれらのマイクとマーカス。おう、俺たちの友情は永遠だぜ(のはずだった)。
感想
なんというか・・・・・・・・・・めちゃめちゃ
あれだけ高速道路で車が死体が宙を舞って 「警官に死人がでなかったのが幸いだった」(ジョー・パントリアーノのハワード警部談)ってか? ほんまか? 炎上してたぜ。 それとも民間人には死人がでてたのか?   なんでねずみが札束食ってんだよー。金がありすぎて始末に困っているのか? 猫をかえ猫をと思ったらどうやら悪人のカルロスは猫嫌いだったよう。 他国になぐりこみにいくなんてヤクザの出入りか? 国際問題になるぞー。 キューバの貧しい家の子達は突如現れた怪獣バッドボーイズツーラに踏み潰されているんちゃうか? 正義のためやったら手段を選ばないってのがなんやら背筋がうすら寒いぞー。生々しいぞー。アクションと銃撃戦があふれかえっていささか食傷気味だあ。
 
という思いに耳をかさなければ楽しい映画だ。さぼてんの軽いおつむにはちょうどいい。日ごろの憂さを晴らすにはぴったんこ。前作の「バッドボーイズ」からはかなり落ちるがこの悪ふざけのわめきあいっこは気楽で好きだ。いっちゃん好きなのはマーカスの娘のボーイフレンド・レジーをびびらすシーン。「10時01分に帰って来い。でないと殺しに行くからな。」
おすすめ度★★★
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えびボクサー CRUST

2002年 英国 90分 :アルバトロス・フィルム配給
脚本・監督 マーク・ロック
出演 ケヴィン・マクナリー(ビル)/ペリー・フィッツパトリック(スティーブ)/ルイーズ・マーデンボロー(シャズ)/マドハヴ・シャルマ(アミッド)/マーク・ベーズリー(クライヴ)
メモ 2004.1.12 レンタルDVD
あらすじ
イングランドの中部地方でパブを経営しているビルは気分がさえない。「パブの経営者になるのは俺の夢ではなかった」のである。若い頃のボクシングは大成しなかった。ここらで一旗あげなければと気はあせる。そこに「風変わりなビジネス」の話を持ってきたのが「何でも屋のアミッド」。南洋の海にはパンチで相手をノックアウトして食っちゃうという甲殻類のヘビー級チャンピオンがいるらしい。そのカマキリエビは普通体長15センチだがアミッドの見つけたのは2m10センチ。右フックが1m50センチという大物だ。21世紀はSFの時代だ。なんでもありだ。そのえびにボクシングの試合をさせて一儲けしようというのだ。アミッドが言うには昔スキッピーというボクシングをするカンガルーがいたが「カンガルーは愛らしい動物だしオーストラリアの象徴だ。」「殴れば非難される。」ところが「エビは醜い上に国の象徴でもない。」ときたもんだ。
感想
テアトル梅田で昨年上映していたがレイトショーで見れなかった作品。あー惜しい事したなあ。このはりぼて巨大えびはそこはかとなく愛嬌がある。おいしそうじゃないけど。ビバ!ミスターC! えびの場外乱闘シーンに笑ったよ。モンスターパニックになるかと。もっとイタイ映画かと思っていたな。しょぼくれた男が一念発起するという話で「フル・モンティ」やら「ステイル・クレージー」の英国映画やねんけど、うさんくささが「エド・ウッド」を思い出す。ビル役のケヴィン・マクナリーって役者さんは「パイレーツ・オブ・カリビアン」のギブスみたい。「女を船に乗せるのは縁起が悪い」って言って8年後には豚小屋で寝ていた人。
 
動物愛護団体からの抗議で上映は日本だけとか。まことか? 上映に値しないってゲテモノの烙印をおされたんじゃ。また理解不能に陥る。そりゃ中国の犬を食べる風習を非難するのはまだ100歩譲ればわかるような気もするよ。犬は食べないだろうから。でもえびは食べるのに。生きたままゆでて殺して食べるのはいいのにボクシングはだめとは。 しかもあれ本物じゃないのよ。よく見ないでもへぼなはりぼてよ。わからん。
おすすめ度★★★★
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女はみんな生きている chaos(混沌)

2001年 フランス 112分
脚本・監督 コリーヌ・セロー(「男と女の危機」「赤ちゃんに乾杯!」)
撮影 ジャン=フランソワ・ロバン
美術 ミシェル・アベ
音楽 リュドヴィク・ナヴァール
出演 カトリーヌ・フロー(エレーヌ「奇人たちの晩餐会」)/ラシダ・ブラクニ(ノエミ/マリカ)/ヴァンサン・ランドン(ポール「男と女の危機」「パパラッチ」)/リーヌ・ルノー(マミー)/オレリアン・ヴィイク(ファブリス)
メモ 2004.1.11 シネ・リーブル梅田
あらすじ
エレーヌとポールの夫婦は接待のディナー・パーティに出かける途中、若い女が走ってきて必死で助けを求めるのに遭遇する。しかし夫のポールは車をあわててロックし助けようとしないのだ。女は追っかけてきた男たちに捕まり殴られ蹴られ血まみれで倒れた。それでもポールが気にしているのはフロントガラスについた血だけ。エレーヌが救急車を呼ぼうとするのまで止める。
翌日罪悪感にかられたエレーヌは女が運び込まれた救急病院を探し出し会いに行く。集中治療室の若い女は意識がなく体中あざだらけの管だらけ。警察に事件を目撃した事を話したエレーヌにポールは怒鳴る「何故しゃべったんだ!」(係わり合いになるな。面倒はごめんだ)。言い返すエレーヌ「何もしゃべっていないわっ。あなたが車をロックした事とか、救急車を呼ぶのを止めた事とかは何もね。私はひとりで散歩していたのよっ」・・・ぎゃふんのポール。
感想
女たちが身勝手な男たちにお灸をすえる映画と思っていたら・・・・。やるなあ。スピーディに見せる。 まあお軽いお灸を据えられる男の人もいてはるんですよ。年老いた母親に「過去の女さ」とばかりに冷たいポールとか。
 
「すけこまし(下品かしら)と俺たちが同じかー同列かー。そりゃちょこっと女を便利使いしてるかもしれんよ。そやけどちょっとわがままなだけやん。だいたい男ってそんなもんやし。女かて女を武器に金持ちの男を破滅させて。お互い様ちゃうん」と言う声が聞こえてきそう。しかし痴漢だけやなく、歩いていてちょっとバッティングしそうになったら「チッ」と舌打ちされたり、「○バア」と小さな声で毒づかれたり「○○○」とすれ違った時に例の3文字ささやかれたりとろくでもないのがたまにいるのよ、この世には。若い男相手には絶対しないと思うな。ひ弱だと思ってなめてんのよ。(いや、しぶとくて手ごわいから目障りで腹がたつのかも)。
口にださなくても「男の連帯感」はあるが、表立っては自分のテリトリの大事な男達は連帯する事ができない。妻とマミーに反撃されたポールとファブリスの父と息子も、組織のトゥキもパリも。するどく弱みを突いていたな。反対に「他人の人生すら自分のものとしてしまう」女たちは連帯するのだった。
 
監督さんは「赤ちゃんに乾杯!」「男と女の危機」のコリーヌ・セロー。まあ言語道断な話は別にして、フツーの男と女でもお互い言い分のある難しい話をコミカルに見せる名人だ。エレーヌ役のカトリーヌ・フローという役者さんがほんわかしていて映画をやわらかくしている。
人は脳の奴隷だし性に縛られているのかもしれん。だから性同一性障害の人は体の性転換したいのかも。と思ったりする。常々不思議なのだ。両方の性を経験した事がないのにどうして「本当は男なんだ、本当は女なんだ」ってわかるのだろうと。違和感があるんだろうな。
おすすめ度★★★★
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脅迫/ロープ殺人事件 COMPULSION(動機なき殺人)

1959年 アメリカ 103分 モノクロ
1959年カンヌ国際映画祭 男優集団演技賞
監督  リチャード・O・フライシャー(「ソイレント・グリーン」「10番街の殺人」「見えない恐怖」「絞殺魔」「海底二万哩」
出演 オーソン・ウェルズ(ジョナサン・ウィルク)/ディーン・ストックウェル(ジャド・スタイナー)/ブラッドフォード・ディルマン(アーティ・ストラウス)/ダイアン・ヴァーシ(ルース・エヴァンス)
メモ 2004.1.10 WOWOW録画
あらすじ
14歳で大学に進学したアーティと18歳で大学院に入ったジャッドにとって世間のやつらはバカばかりだ(と思えたらしい)。ニーチェの超人思想をヒトラーのように曲解したのかなんやらわかりませんが、我らは感情をなくして事をなしとげられる強い人間である事を証明したかったのである。何故かそれは少年を誘拐して殺害する事なのである。しかし完全犯罪はジャドが落としためがねから足がつく。
ヒッチコック監督作品「ロープ」(1948)「完全犯罪クラブ」(2002)と同じく1924年に起こったロープ=レオポルド事件を元に作ってあるらしい。
感想
「オーソン・ウェルズはいつでてくるねん?」と思いながら見ていたが、ふたりの弁護士としてご登場。つまりこの映画は「事件のその後」がメーンだったんだ。
計画殺人のふたりに死刑を求める世間と検事に対し、弁護士は有罪答弁を行い終身刑を請う。有罪答弁だと12人の陪審員ではなく裁判長が刑を決めるらしい。12分の1のそれぞれ分散した良心ではなくただひとり裁判長に決断をゆだねる。
理由は3つ
1.未成年のふたりが金持ちの子息でなければ終身刑だったろうから。
2.正義という名のもとに死刑という人殺しを行っていいのか? 慈悲は人間の特権である。
3.ふたりは知能は高いが情緒面は7歳以下。アーティは精神分裂症(統合失調症)でありジャッジはパラノイアって判定がある。だからといって異常か正常かは判断できない。そんなに事は単純ではないのである。精神科医は「異常、正常は精神病用語にはない」って言う。
 
加害者を殺害する事でまた息子を殺された母親を作るわけであり、事の解決にはなっていないという映画がアメリカで作られていたのね。昔々に。 「アメリカはキリスト教社会である」って事は慈悲はキリスト教徒にしかかけられないんだろうか? このふたりは全然反省などしちゃいない。最後はもちろん終身刑、禁固99年の刑になるんやけれど、「死刑のほうがましだ。」「神など関係ない」って言い放つの。あっぱれなバカ。弁護士のオーソン・ウェルズはそれに答えて「あの眼鏡を落としたのは神の手ではなかったか。」・・・・・神様の問題は確かに難しい。神の手があるなら何故殺害を止めなかったのって思うやん。神様は少なくとも個別対応しないような気がするが。他人が処刑するのではなく被害者の親が復讐するならいいんかな? 不遜な発言かな。「死刑の是非」は昨年の「ライフ・オブ・デビット・ゲイル」へとつながり何十年も延々堂々巡りしている話なんだな。死刑囚に「かわいそうな人」と同情して獄中結婚する人もいるわけだし考え方は様々なのだと思う今日この頃。
おすすめ度★★★
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妹の恋人 BENNY&JOON

1993年 アメリカ 99分
監督 ジェレマイア・S・チェチェック(「悪魔のような女」「アベンジャーズ」)
脚本 バリー・バーマン
美術 二ール・スピサック
音楽 レイチェル・ポートマン
出演 ジョニー・デップ(サム)/メアリー・スチュアート・マスターソン (ジューン)/アイダン・クイン(ベニー) /ジュリアン・ムーア(ルーシー)/オリバー・プラット(エリック)/ダン・ヘダヤ(トーマス)/CCH・パウンダー(ドクター「バクダット・カフェ」)
メモ 2004.1.2 レンタルDVD
感想
この映画を見るのは3度目になるのかな。この間ドラマ「相棒」であったけれどベニーとジューンの兄妹は共依存(きょういぞん)関係にあるんやね。そこに風変わりな風来坊サム(ジョニー・デップ)が登場する。バスター・キートン、チャップリン、ロイドの真似をするジョニー・デップの演技が楽しい映画だ。メアリー・スチュアート・マスターソンは「恋しくて」「フライド・グリーン・トマト」と「妹の恋人」がいいな。最も好きなシーンはダイナーでウェイトレスのルーシー(ジュリアン・ムーア)に会うなりサムが「誰か、私の恋人を見た?」 「シンディ、あなたはビョーキだわ」 「シンディ!やめて」と意味不明な事を言い出すところだ。見ているほうは「へ?」。さっぱりわからん。ビューキはお前か? ところが後にルーシーは十代の頃女優をしていて「高校生 連続殺人鬼」に出演していたルーシー・マルネックだったという事がわかるわけ。サムはほくろからひと目で見抜き再現していたのだ。映画ファンの鏡だと思わん?ため息が出るほどその記憶力が羨ましい。
 
十年以上前かな、TVをつけたらアメリカのダウン症のドキュメンタリーをしていて。十代の男の子だったと思う。みかけはそうどちらに悪いかわからんがジミー大西を若くしたような人だった。お姉ちゃんが2人いたな。両親姉達に暖かく見守られていてね。ダウン症って明るい子が多いらしい。その人もいつも冗談を言っていて。そして音楽の才能というか記憶力が優れていて。オールディーズのイントロゲームではお姉ちゃん達はまったく歯がたたない。色々な経験をつもうと映画の端役(囚人の役だったと思う)をするためにハリウッドにお母さんと出かけるねんね。なんて言う映画かわからないけれどデミ・ムーアが出ていたらしく色々デミ・ムーアが彼に話しかけているシーンがあった。その場限りかわからんけどデミ・ムーアの好感度があがったな。
音楽の才能を活かして自立するために地元のラジオ局のDJのアシスタント(レコードを探してきたりかけたり)の仕事に応募するんやけれど、大学生の無給でOKというライバルが現れてだめなの。それでも最後はレンタルCD屋に勤める。機嫌よく嬉しそうに仕事をしている姿を見てなんか羨ましかった。
 
つまり何が言いたいかというと、サムのようにすごい映画の知識があって地元のレンタルビデオ屋で働くってのがさぼてんの夢なわけ。まあニューロンが日々死滅しつつあるし、映画の知識についても幼少の頃から夢中になっていないととても無理なんだろうな。レンタルビデオ屋もいつまであるかわからんし。ちぇ。ぐれてやる(^^)。
おすすめ度★★★★
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