2003年4月の映画  戻る


ディナーラッシュ Dinner Rush

2001年 米国 98分
監督 ボブ・ジラルディ
脚本 リック・ショーネシー/ブライアン・カラタ
撮影 ティム・アイヴス
出演 ダニー・アイエロ(ルイス)/エドアルド・バレリーニ(息子ウード)/カーク・アセヴェド(副シェフ・ダンカン)/ヴィヴィアン・ウー(ニコーレ「宗家の三姉妹 宋美齢」)/マイク・マッグローン(クィーンズのマフィア・カーメン「ボーン・コレクター」 「マクマレン兄弟」)/ジョン・コルベット(ビジネスマン・ケン)/ジェイミー・ハリス(バーテンダー・ショーン)/サマー・フェニックス(ウェイトレス・マーティ)/マーク・マーゴリス(画商フィッツジェラルド)
メモ 2003.4.28 レンタルビデオ
あらすじ
雪の降り積もるニューヨーク。大繁盛しているイタリアンレストラン”ジジーノ(ちいさいジジ)”の厨房はてんやわんやの戦争状態。みんなフライパンの上ではじけている様。アドレナリンが逆流しそうなほどの忙しさだ。。
オーナー・ルイスの息子のウードは創作料理のカリスマシェフ。一方副シェフのダンカンは伝統的イタリアンが得手。ふたりは恋でもライバルでありウェイトレスのニコーレを張り合っている。ウードは父がなかなか店を譲ってくれないといじけているし、ダンカンはギャンブルの借金に悩んでしるし、オーナーのルイスは旧友が殺されるし、客にはなかなか料理がこないしともおもお大変な一夜の物語。
感想
和食好みのアタクシでさえヨダレがたれそうな料理が次から次へと、、目が釘付け。ああああうまそう。それが見るだけ。勘弁してえ〜
監督さんは11店ものレストランのオーナーで映画中のレストラン”ジジーノ”もご自分の店だそうです(ロケ費用が安上がりやから・・・・とか言うんとちゃうの)。驚いたことに「ウォンテッド・ハイスクール/あぶない転校生(1987)」の監督さんなのですと。世間の評価低いけどさぼてんは好きなのだ「ウォンテッド・ハイスクール」。25才の証券マンがマフィアの悪行を目撃、姉の家に逃げ髪を金色に染めてパンクな高校生に化け、甥っ子のハイスクールに紛れ込むって内容でね。コメディっす。
かえって群像劇の「デイナーラッシュ」はマフィア映画っす(抗議は受け付けませんよって)。
 
アーチストなウェイトレス役のサマー・フェニックスはホアキン・フェニックスの妹。雑学博識バーテンダー役のジェイミー・ハリスはこの間亡くなった「ハリー・ポッター」のダンブルドア校長役リチャード・ハリスの息子さんらしいです。
おすすめ度★★★★
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リベリオン Equilibrium

2002年 米国 106分
監督&脚本 カート・ウィマー
製作 ヤン・デ・ボン(「スピード」「ツイスター」/ルーカス・フォスター
出演 クリスチャン・ベール(ジョン・プレストン「太陽の帝国」「ベルベット・ゴールドマイン」「アメリカン・サイコ」)/エミリー・ワトソン(メアリー 
「レッド・ドラゴン」)/テイ・ディッグズ(ブラント「ベストマン」)/アンガス・マクファーデン(デュポン)/ショーン・パートウィー(ファーザー「ロンドン・ドッグス」)/マシュー・ハーバー(ロビー・プレストン)/ショーン・ビーン(パートリッジ「ロード オブ・ザ リング」)/ウィリアム・フィッチナー(ジャーゲン)
メモ 2003.4.17 南街シネプレックス
あらすじ
21世紀初頭とうとう第三次世界大戦が勃発。廃墟となった地球でわずかに生き残った人類は、”種の存続”のため究極の選択をする。それは「怒り、嫉妬」といった感情を封じ込め平和を維持するというしろものだった。同時に「情熱、喜び、悲しみ」といった感情をも取り去る。そのために人々は日々プロジウムという感情を抑制する薬を注射する事を強いられ、のみならず感情をゆるがすため音楽、絵画、本、映画はご禁制となり平和ではあるが味も素っ気もない日々を黙々とすごしている。
しかしどこの世界にも抵抗勢力はあるわけで地下組織が昔の美術品を護っていた。その反乱分子を狩るのがクラリック(聖職者)・ジョン・プレストンの仕事。ジョンは武道GUN=KATA(ガン=カタ)の達人である。言語道断な程、強いのである。
感想
30人斬り、99人斬りってヤツ。ガンガンいく。かっこいいんだ、これが。
「赤ちゃんよ永遠に」とかトリュフォー監督の「華氏451」風管理社会レトロ味の近未来SFやねんけれど、新しかったな(ただ圧制者の代表としてヒトラー、スターリンはともかくフセインをあからさまに出すのはなんだかちょっと複雑)。
近作ではジュード・ロウをブレイクさせた「ガタカ」が似てるかな。どこが新しかったかと言うと問題作のSFってちょっと重苦しいやん。息つまりそうというか。湿っぽいというか。この映画はそこんところをアクションですかっと見せている。聖職者が異教徒をバッサバッサと狩る所から映画は非情に始まる。デュポン副総裁やディッグスへの「感情ないってあんた、それ怒ってへん? 笑ってへん? 楽しんでへん?」というツッコミもアクションシーンで問題なくスルー。
アクションのみならず、プレストンの徐々に変わっていく押し殺した感情表現がいい。それになにしろドイツ第三帝国を彷彿させる影像が好み。そびえ立つ建物とか沈鬱な空とか。「マイノリティ・リポート」はこの世界観の構築部分が弱かったな。なんでかわからへんねんけど映像がルネ・クレールの「自由を我らに(1931)」を思い出させる。チャップリンの「モダン・タイムス(1936)」がちょっと似ていると言われた映画。なんでかって聞かんとってね。うちにもわからへんねんから。内容もさる事ながらあの威圧的な建物のせいだと思う。

群衆の中で立ち上がって拍手しているウィリアム・フィッチナーを見かけて「おつ、カメオ出演か」と思いやした(笑)。
おまけ 息子が最後に父親を告発するとどきどきして見ておりました。古いSFだとそういう皮肉なオチがついている可能性高いし、という事は古い人間って事か、さぼてんは。
おすすめ度★★★★1/2
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猟奇的な彼女 MY SASSY GIRL

2002年 韓国 122分
監督&脚本 クァク・ジェヨン
原作 キム・ホシク
製作 シンシネ
撮影 キム・ソンボク
音楽 キム・ヒョンソク
出演 チョン・ジヒョン(猟奇的な彼女「イルマーレ」)/チャ・テヒョン(キョヌ)/キム・インムン(キョヌの父)/ソン・オクスク(キョヌの母)/ヤン・グムソク(キョヌの叔母)/ハン・ジンヒ(彼女の父)/ヒョン・スキ(彼女の母)/キム・イル(ラブホテルの主人他)
メモ 2003.4.13 動物園前シネフェスタ
あらすじ
女の子が欲しかった両親に7才まで女の子のように大事に育てられた”箱入り息子”の僕はキョヌ。兵役も終えていっちょ前の男になったとこ。工学部の大学生をたらたらしている。好みの女の子はストレートヘアにスレンダーな子。今日おばさんちに行く電車でいけてる子を見かけたんやけど、問題がひとつ。べろんべろんやんコイツ。酔っぱらいの女の子は堪忍やねん、僕。そやのに正体なくした女をおぶって夜の街を彷徨う事になってん。なんで? どーして?
感想
韓国の男の人達はこの映画を楽しんだって? ほんま?
さぼてんはおおいに楽しみました。とってもロマンチック。「猟奇的な彼女」はかわいい顔してえらく暴力的、とんがっている。きっぷが良くてわがままで目ん玉ひんむいて怒る。その顔がおかしい。ぶっ飛んでる。

「夕立(ソナギ)」ってお話の大胆なアレンジには、こっちが目をひんむいた。おかしい〜〜(@@)。

キョヌと「猟奇的な彼女」は電車の中でゲームを始めるんやね。負けた時のバツゲームが「アタシはキョヌにほっぺたパチン、キョヌはアタシにデコピン。」って言い渡すと、キョヌが「男女平等」と身の程知らずに抗議するねんね。そしたら彼女は「わかった。じゃ二人ともほっぺたパッチンだ。本気で殴るんだゾ。手を抜いたら殺す!。」 びびったキョヌ「・・・・じゃデコピンでいい。」・・・・・かくも男女平等というのは難しい。

「彼女には秘密があったのだ。」というあらすじを読んで「不治の病もの」と勝手に思いこんでいたもんで「えらい元気ええやん。はて?」と思って見ていた事を今告白いたします。

注:「猟奇的な彼女」とは「カル」ではなくちょっと変、風変わりという意味だそうです。
おすすめ度★★★★
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プレッジ pledge

2001年 米国 123分
監督 ショーン・ペン
原作 フリードリッヒ・デュレンマット「約束」
出演 ジャック・ニコルソン/ベニチオ・デル・トロ/ロビン・ライト・ペン/アーロン・エッカート /サム・シェパード/ヴァネッサ・レッドグレーヴ/ミッキー・ローク/ヘレン・ミレン/ハリー・ディーン・スタントン
メモ 2003.4.12 レンタルDVD
あらすじ
後6時間で退職のジェリーの送別パーティの最中その知らせはもたらされた。雪の森の中で9才の女の子が見つかったのだ。正視できない惨殺死体だった。地元の警察の代わりに少女の両親に事態を告げにいったジェリーは母親に”プレッジ・誓約”する。必ず犯人を捕まえると。
感想
きびしい。「男には守るべき約束がある」という孤独な男の生き様を描く・・・にはあまりに残酷。
事件がもう少し早くに起こっていたらジェリーは抜け作の変わりに捜査を担当し真犯人を追いつめる事ができた。反対にもう少し遅くに発覚したなら退職祝いのカジキ釣りに出かけていて巻き込まれずにすんだ。リタイアまであと6時間というタイミングで運命にからめ取られてしまう。
「それっておとり捜査ヤン。趣味の釣りと同じにエサをまいて仕掛けをしてるの?」 「母親にどう言い訳するん」 「そこまでしても犯人捕まえてこれ以上犠牲者をださないようにしてるん? その価値はあるん?」と執念の名刑事なんかなあとこちらを半信半疑にさせ、どーんと落とす。すごかった。

大自然での釣りってええ趣味やんなあ。ひとりで楽しめるし夕食用という実用性もあるしなどと思っていたのに。ジェリーにとって趣味とはなんだったんだろう。何にも勝る生き甲斐にはなり得なかったのか。2回離婚をして酒に溺れ”昔名刑事”は不完全燃焼だった ところに最後の花道のような事件が起こったとしても、趣味に生きる事はできなかったのか。。。釣りは思うようにならない仕事の代わりに過ぎなかったのか。リタイアしたら映画と推理小説ざんまいを夢見ているさぼてんにはいささかショックなのだ(今でも仕事に生きてないけど)。それだけでは満足できず空しさを感じたらどうしよう。

「ファイブ・イージー・ピーセス」といったアメリカン・ニュー・シネマで「世の中と折り合いのつけられない」逃げる男を演じていた名優ジャック・ニコルソンのためにショーン・ペンが作った映画と思えてならない。逃げずに”するべきだと思った事をした”結果がこれだ・・・。
おすすめ度★★★★
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レッド・ドラゴン REDDRAGON

2002年 米国 125分 ユニヴァーサル
監督 ブレット・ラトナー(
「ラッシュアワー」「天使がくれた時間」)
原作 トマス・ハリス
脚色 テッド・タリー
音楽 ダニー・エルフマン(「スリーピー・ホロウ」「スパイダーマン」
出演 レイフ・ファインズ(D フランシス・ダラハイド「スパイダー」)/エドワード・ノートン(ウィル・グレアム)/アンソニー・ホプキンス(ハンニバル・レクター)/ハーヴェイ・カイテル(ジャック・クロフォード)/エミリー・ワトソン(リーバ・マクレーン「奇跡の海」)/フィリップ・シーモア・ホフマン(記者フレディ「ハピネス」)/メアリー=ルイーズ・パーカー(モリー・グレアム「フライド・グリーン・トマト」)/アンソニー・ヒールド(チルトン博士)/ケン・リュン(ロイド・ボウマン)
メモ 2003.4.3 ナビオTOHO
あらすじ
「羊たちの沈黙」の前。ハンニバル・(人喰い)・レクターがFBIに捕まる所からお話は始まる。レクターはFBI捜査官ウィル・グレアムの師でもあった。グレアムを導きプロファイルで捜査の手助けをしていたのだ。尊敬していたレクター博士が殺人鬼だったとは。体と心の傷からグレアム捜査官はFBIを辞職し家族と共に過ごす事を選ぶ。
しかし、元上司のジャック・クロフォードがグレアムに連続殺人事件の協力を求める。クロフォードはレクター博士の力を借りてでもこの事件の解決を望んでいた。レクターと対決できるのはグレアムしかいない。
感想
「おっ、いきなりかいっ」(「いきなりやんけ」の方がいいかな)という場面で、心理戦のみならずアクションにも力がはいってるんやなというのがわかる。
上の表紙絵のように高みからレクター博士が人々を操り扇動し、グレアムは操られながらもレクターと対決する。

そのふたりの対決の内側でもうひとりレクターにアジられ殺戮を繰り返す”咬み付き魔(レッド・ドラゴン)”がいた。レッド・ドラゴンはレクター博士に導かれグレアムに襲いかかる。

しかしレッド・ドラゴンはレクター博士のような確信犯ではなく精神的に揺れている。盲目のリーバに惹かれ始めるとレッド・ドラゴンの内なるふたつの人格が戦い始める。
という三層構造になっている。
こういう複雑な構造がバランスよく的確に表現されていた。芯となるのは二層目のレッド・ドラゴンと盲目のリーバのおずおずしたぎこちない関わり合いだ。レッド・ドラゴンのダークな歪んだ変身願望は記者ラウンズに見せつける所で表わされている。一方リーバに対しては思いやり深いという2面性の設定がありふれていて難しい。レイフ・ファインズの抑圧された狂気の男がうまいのだな。
おすすめ度★★★★
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