2002年12月の映画  戻る


チップス先生さようなら(1939年版) GOODBYE,MR.CHIPS

1939年 米国/英国 115分 モノクロ MGM
監督 サム・ウッド 「マルクス兄弟オペラは踊る」 「マルクス一番乗り」 「打撃王」
原作 ジェームズ・ヒルトン「チップス先生さようなら」
撮影 F・A・ヤング
出演 ロバート・ドーナット(チップス先生)/グリア・ガーソン(キャサリン)/テリー・キルバーン(コリー、I、U、V)/ジョン・ミルズ(大人になったコリー)/ポール・ヘンリード(マックス・ステュフェル「カサブランカ」ラズロ)
メモ 2002.12.30 BS2録画
あらすじ
チップス先生は1870年25才の時にパブリックスクール・ブルックフィールドに着任。ブルックフィールドはコロンブスがアメリカ大陸を発見した1492年創立の古い学校だ。以来43年間小さな紳士達にラテン語を教え続け68才で退職した。それから15年たった今も校門側のウィケット夫人の家に部屋を借りている。楽しみは新入生や新任の教師をお茶に招く事。毎日うつらうつらしながら思い出すのは過去の数々の出来事。生徒のいたずら、生徒を楽しませた洒落、亡き妻キャサリン、辛かった戦争(第一次世界大戦)。生徒達の顔と名前が次々思い出される。ハーバー、ハズリット、ハットフィールド、、、、、。チップス先生は洒落に富むと共にすばらしい記憶力の持ち主だったのだ。先生が天職だった。
感想
映画を見た後、新潮文庫の「チップス先生さようなら」を再読する。この本のカバー袖に載っている写真がピーター・オトゥール主演、ハーバート・ロス初監督作品の「チップス先生さようなら(1969年版)」。 で、本を読んだ当時中学生のさぼてんはこの映画を見たいなあと思っていたんだな。ところが数年後TVで放映された映画はさぼてんのイメージからはかなり遠かった。高い評価を得た映画にもかかわらず。まず映画はミュージカルだった。確かに原作はリズムよく流れていくような文章ではある。が、歌い踊るのとはちゃうよなあ。絶対違う。それにウィットに富むというより全体にウェット。本と映画は別物とはいえがっかりしたのを通り越して腹立ってきた。のを思い出す。
振り返って1939年度版がどうだったかというと、、、、よかった。これが見たかったのよ。1969年版はこれと同じモノを作るわけにはいかなかったんだと、今広い心で許す。キャサリンに出会う中年のチップス先生はいきなりしょぼく老け込んでる。ロバート・ドーナットは色男なもんで中年ぐらいでは「いい感じのおじさま」に見えてしまったんだ、きっと。若い妻キャサリンとの月下氷人だったドイツ語教師マックス・ステュフェルの戦死を、敵軍にもかかわらず礼拝の時に読み上げるシーンと後ろ姿がいい。規則正しい生活と情、そして洒落・ユーモア・ウィットが人生を豊にすると言っているんだ。引き際も大事だ。

ロバート・ドーナットは本作品で1939年第12回アカデミー主演男優賞を受賞。1939年は第二次世界大戦が勃発した年であるとともに、アカデミー賞は作品賞、監督賞、主演女優賞と「風と共に去りぬ」が席巻した年。主演男優賞の候補作品「ビクター・フレミング監督・風と共に去りぬ」のクラーク・ゲーブル、「ウィリアム・ワイラー監督・嵐が丘」のローレンス・オリビエ、「青春一座」のミッキー・ルーニー、「フランク・キャプラ監督・スミス都へ行く」のジェームズ・スチュアートの中でロバート・ドーナットは競り勝った。
おすすめ度★★★★1/2
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マイノリティ・リポート MINORITY REPORT

2002年 米国 145分
監督 スティーブン・スピルバーグ
脚本 スコット・フランク/ジョン・コーエン
出演 トム・クルーズ(ジョン・アンダートン)/サマンサ・モートン(プリコグ・アガサ)/コリン・ファレル(ダニー・ウィットワー)/マックス・フォン・シドー/ピーター・ストーメア/キャサリン・モリス
メモ 2002.12.29 梅田ブルク7
あらすじ
時は西暦2054年。アメリカ合衆国ワシントン.D.C.では犯罪が激減していた。犯罪を未然に防いでいるのだ。どうしてそんな事ができるかというと、3人の予知能力者(プリコグ)により未来に起こる殺人がわかり現場に急行、容疑者を捕捉するのだ。ワシントンで実験的に行われていたこのシステムを6年間の実績を元に全米に展開しようとしていた矢先、司法省のダニー・ウィットワー(コリン・ファレル)が乗り込んでくる。本当に犯罪は発生するはずだったのか、人為的な操作はないのかを調査しにきたのだ。ざわざわした空気を察知したのかプリコグのひとりアガサが突然ジョン(トム・クルーズ)に抱きつき「あれが見える?」と囁き過去の殺人事件のイメージをモニターに映し出す。アガサひとりがこんな行動を起こすのは何故なのか? 3人のプリコグはいつも同じ影像を見ているのではないのか? こんな不安定な事実を司法省に知られてはならじとジョンはひとり探り始める。
感想
私寝てたんかなあ。肝心な所がさっぱりわからん。
(以下ネタバレかもしれません)
「ジョン(トム・クルーズ)は36時間後殺人を犯す」とプリコグが予知したのは何故か? 卵が先かニワトリが先かと混乱しとります。

予知能力者=プリコグはぷかぷか一日中浮きながら夢を見ているのね。それも殺人という悪夢。この人達はこれが自分の役割と使命に燃えているんだろうか? という疑問がひとつ。 犯罪予防局は妻の浮気に逆上した夫がふたりを惨殺するのを未然に防ぐの。夫はしてもいない犯罪で裁かれ、浮気者の妻にはおとがめなし。 これでいいんだろうか? ふたつ目の疑問。 としょっぱなから疑問を感じる映画の主題は「目的が手段を正当化するか」という事だと思う。そしてスピルバーグ監督が出した結論とは? なんか解決されていないような気がするなあ。終盤トーンダウンするし甘いし。

と文句言ってますが十分楽しみました。いかがわしい医者ピーター・ストーメアが手術する所がだらしなくて不潔で気持ち悪くてぞくぞくするし、網膜探査蜘蛛がいい動きしているよねえ。
おすすめ度★★★1/2
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幻の女 Phantom Lady

南瓜というより鳥の巣型の帽子
1944年 米国 87分 モノクロ ユニバーサル
監督 ロバート・シオドマク
脚本 バーナード・C.ショーンフェルド
音楽 ハンス・サルター
出演 フランチョット・トーン(マーロウ)/エラ・レインズ(キャロル)/アラン・バクスター(スコット・ヘンダース)/トーマス・ゴメス(バージェス)/イライシャ・クック
メモ 2002.12.27 WOWOW録画
あらすじ
「The night was young, and so was he. But the night was sweet, and he was sour. 夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった」で始まるウィリアム・アイリッシュ「幻の女」の映画化作品。離婚問題で妻と争い部屋を飛び出したスコットは、バーで奇妙な帽子をかぶった女と知り合う。夜をもてあましていたふたりはショーを見に出かけそのまま名前も知らずに別れた。日付が変わった頃部屋に戻ったスコットを待っていたのはニューヨーク市警。妻は殺されていた。ネクタイで絞め殺されていたのだ。スコットはアリバイを主張するがバーテンもタクシーの運転手もドラマーもショーの歌姫も帽子の女など見ていないと言う。そして手を尽くしても帽子の女は見つからない。
感想
<ピカピカ光るユニバーサルの地球>
製作から60年たった今見ても都会的なサスペンスだ。原作と同じ。スコットの友人で造形作家マーロウの部屋の美術がモダン。ドラマーが口封じに殺される所で殺人犯が自分の手を見ながら「手とは面白いものだ。鍵盤をたたいて音楽を生み、粘土をこねて美しい造形を生む。反面凶事も生む・・・・殺人。」のシーンがいい。監督は「らせん階段」で有名なロバート・シオドマク。ドイツからアメリカに渡った人。
友人マーロウ役のフランチョット・トーンはそげたようなルックスで印象深い。キャサリン・ヘップバーンの「偽装の女 (1937年)」、第8回アカデミー作品賞をとった「戦艦バウンティ号の叛乱(1935年)」、ベティ・デイヴィスがアカデミー主演女優を獲得した「青春の抗議(1938年)」、当時奥さんだったジョーン・クロフォードと共演したクラーク・ゲーブルの「空駈ける恋(1936年)」、ビリー・ワイルダー監督作品であるのみならずエリッヒ・フォン・シュトロハイムがロンメル将軍役の「熱砂の秘密(1943年)」といった出演作があるらしい。さぼてんは何一つ見ておりませんっ。
おすすめ度★★★1/2
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桃源郷の人々

2002年 日本 大映
監督 三池崇史
原作 青木雄二(「ナニワ金融道」)
出演 哀川翔(村長)/佐野史郎(鍬田)/徳井優(梅本省介)/キムラ緑子(梅本房江)/芦屋小雁(金貸し上原)/麿赤兒(永島大蔵)/木下ほうか(元興信所所員・梅川)/室井滋(マリ)
メモ 2002.12.13 レンタルビデオ
あらすじ
梅本印刷の社長梅本省介はいつもと変わらぬ朝を迎えていた。従業員はよう働いてくれる。息子や娘は反抗期真っ盛りでおやじには口も聞いてくれへんけど、それも毎度の事やし。ところがそれは嵐の前の静けさであった・・・。朝刊を開いてみればそこには「上底屋(あげぞこや)倒産」の文字が。うちはここの仕事で持っているんや。月末の一千万の手形が落ちへんかったら待ってんのは一家心中や!おやじの代からのつきあいやしと上底屋(あげぞこや)の会長に掛け合いにいくが「私財も押さえられてどもならん。」と狸に追い返される。
弁護士に相談しても「法律ちゅうのは困っている人を助けるために作られているんやないんですわ。」という事を学んだだけ。家には帰られへんと梅本社長は思い詰めるがひょんな事から村長(哀川翔)や鎌田(佐野史郎)と出会い、「破産宣告はあかん。夜逃げしなはれ」とそのテクニックを伝授される。
「桃源郷の人々」サイト
感想
ええ話やったなあ。「強きをくじき弱きを助ける。」 このせちがらい世の中こんな矜持を持った人物はおれへんなあ、おったらええのになあという話。そやねんけれどこの村長(哀川翔)もパーフェクトなおのこではなくぶっといアキレス腱があるのであった。

  腐れ縁の恋人マリ(室井滋)の言葉「金やったら、ないでぇー」に笑う。
おすすめ度★★★★★
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CUBE−IQ The Game Room

1998年 オーストラリア 95分 ギャガ・ヒューマックス
監督 ジョー・トルナトーレ
出演 ダニエル・スペンサー(マイケル)/バージニア・ヘイ(リサ)
メモ 2002.12.7 TV録画
あらすじ
マイケルの父は世界的に有名なバイオリニストだったが火事で屋敷が全焼、自分は半身不随となり脳もとろけてきている。そんな父親の介護をするため故郷に戻ってきたマイケルは地元の大学に通い始める。しかしマイケルの物理学の才能に嫉妬した教授やら同級生らにさんざん疎まれいじめられる帰国子女状態。プツンと切れたマイケルは家の建て直しの際恐らくシェルターと偽って地下牢を作るのだった。マイケルの家に招待された8人の教授と学生達が飲み放題食べ放題に興じていた所、テロリストにより細菌ミサイルが爆発。オーストラリアは炭疽菌に汚染されてしまった。パニックに乗じてマイケルは8人を地下に閉じこめてしまう。それからは蒸気責め、水攻め、兵糧責め、ネズミ責め、プレス責めと好き放題。冗談では済まなくなった事態はどう決着がつくのかっ。それよりもなによりも最後まで見れるかっ。
感想
チープ。とってもチープ。影像があせているのはわざと? 長い95分だったな(最後までみたんかい)。
Webの感想をちょっと覗いてみたら騙されたって人が多かったみたい。「映画に」ではなく「ビデオ会社に」

『CUBE』と間違えて借りた。」やら、「隣に置いてあるから続編かと思た。IQなんかついてるからもっと賢うなっているかと期待した。」やらで「つまらん」 「金かえせ〜」 「時間かえせ〜」 「くっだらね〜」 「なんじゃこりゃ」 「アホウ」 「バカア」 「ゴラァ」 「スカッ」ともう非難ごうごう雨あられ。他にも「CUBE IQ/ハザード」「デスCUBE」という「CUBE」トラップ映画があるんですと。TV欄の紹介記事も嘘。「鋼鉄のワナに幽閉された人々のサバイバルを描く」ってあなた。「サバイバル」っていやあ普通は「あの手この手で脱出を企てる」を期待するヤン。違うの。みんなでマイケルの悪口言っているだけー。
「細菌ミサイルが落ちたので屋外に出ないように」という臨時ニュースが流れた時にゃ「ほお。臨時ニュースまで作って罠にかけるのか。凝ってる〜。」と期待したのに。いったいあの事件がなけりゃどう騙くらかして監禁するつもりやったんやら。かみしめるように問うてみたい。
おすすめ度オススメしたら首絞められそう。でもバカ過ぎてちょっと面白いかも。
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トリック−劇場版−

2002年 日本 119分
監督 堤幸彦
脚本 蒔田光治
メモ 2002.12.6 ナビオTOHOプレックス
あらすじ
天才奇術師の奈緒子はアパートの立ち退きを迫られていた。彼女の才能に時代が追いついてこないのか、それとも遅く生まれすぎたのか、時代に合わず不遇なのだ。それに比べ胡散臭い天才物理学者の上田教授ときたら。本を2冊(学研)も出して人生順風満帆だ。そこに男女が現れる。「私達は300年に一度災いが起こる村から来た青年団長と副団長なんですう。村の人達の不安を取り除くため神さまのフリをしてもらえないでしょうかぁ。」と語る。そして「お金に目がくらんだ」奈緒子は引き受けてしまう。
感想
TV版を越える事もなく下がる事もないって感じですか。まっ1800円払うんですから下がってもらっちゃ困るけど。と言っているさぼてんのチケットは会社から貰ったモノ。東宝さまから買えっていわれてるねんね。きっと。

TV版の4回分くらいが集結していた。エセ神さま連中が竹中直人、ベンガル、石橋蓮司。村の長老が伊武雅刀。青年団長が山下真司(青年かいっ)とくせ者ばかりで豪華。そうだ、根岸季衣さんもいたな。日本のキャラクタ俳優はまだまだいるって事だな。トリックも大きい物が4つくらいあったし。「笑い鬼」と「泣き鬼」のがいっちゃん面白い。映画のしょっぱなにエリート達に「(奈緒子のは)しょーもない奇術。以前ラスベガスで見たマジックショーは象が消えたり・・・・」と言わせているところにこの映画のスタンスがある(言い訳とも言う)。つまりこれから出てくるのもちまちましたテーブルトリックばかりでっせという事を宣言している訳でそれはそれで楽しい。が、深夜ににんまり見ているマニア向けであるが故に劇場映画向きではないという事なのだ。どんとこい超常現象上田教授と奈緒子の張り合うトーンがいつもより低めだったのも気になる。「まるっとお見通しだ!」の決めゼリフもなかったし。とはいうもんのとっても楽しかった(^^)vにんまり。
おすすめ度★★★
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マッケンジー脱出作戦 The McKenzie Break

  シュルーター大佐
1970年 米国 107分
監督 ラモント・ジョンソン
原作 シドニー・シェリー
脚本 ウィリアム・ノートン
撮影 マイケル・リード
音楽 リズ・オルトラーニ
出演 ブライアン・キース(コナー大尉「風とライオン」「ネバダ・スミス」)/ヘルムート・グリーム(シュルーター大佐「ルードウィヒ/神々の黄昏」「地獄に堕ちた勇者ども」「キャバレー」)/イアン・ヘンドリー(ペリー少佐)/パトリック・オコネル(コックス曹長)/ジャック・ワトソン(カー将軍)
メモ 2002.12.1 BS2録画
あらすじ
スコットランドのマッケンジー捕虜収容所では騒ぎが絶えない。今回は「独軍が英国軍捕虜25人に手錠をかけているというジュネーブ協定違反」に対する報復だあ、独軍捕虜にも手錠をかけたれぇ、による大騒ぎ。捕虜は48時間の処罰中だが手錠はかけられないまま。マッケンジー捕虜収容所はUボート乗りのシュルーター大佐が牛耳って英国軍に抵抗している。しかしどこの国も空軍と海軍は反目しあうものらしい。ドイツも色々あるのだ。一方「他の収容所はおとなしいのに何故マッケンジーだけが?」と疑問を持つ英国情報部のカー将軍は「ドイツの動きと収容所の暴動は関係があるのかも、よからぬ事をたくらんでるのかもしれん。探ってこい。」と問題児をマッケンジーへ送り込む。その問題児のコナー大尉はアイルランド人で患者用のブランデーをもかすめる酒飲み。おまけにお楽しみのためなら「ドイツ語が読めなくてねぇ。」などと真っ赤な嘘もつける女好き、規則を守るという事にも少々問題アリの元ジャーナリストだった。
感想
ドイツ軍人シュルーター大佐はカリスマ性のある非情な男 (非情なヤツでもドイツ軍人ってどうしてかっこいいのかしら。なぜかしら)。敵のコナー大尉に「お前は殺しを楽しむタイプだ。」とまで言われる。戦争ゴッコが好みなのだ。英国軍のコナー大尉の方は「隠していることを探り出したい。」ブン屋根性の持ち主。そんな強い個性を持つはみ出し軍人ふたりの駆け引きがスリリング。脱走できるか阻止できるか。 くねくねした海岸線での追跡シーンも見物。

第二次世界大戦中の実話を元にしているそうです。
おすすめ度★★★1/2
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