Rock Listner's Guide To Jazz Music


Gary Burton


Duster

曲:★★★★
演奏:★★★★☆
ジャズ入門度:★★
評価:★★★★
[Recording Date]
1967/4/18-20

[1] Ballet
[2] Sweet Rain
[3] Portsmouth Figurations
[4] General Mojo's Well Kaid Plan
[5] One, Two, 1-2-3-4
[6] Sing Me Softly Of The Blues
[7] Liturgy
[8] Response
Gary Burton (vib)
Larry Coryell (g)
Steve Swallow (b)
Roy Haynes (ds)
ジャズの世界においてヴァイブ奏者といえば何といっても巨人ミルト・ジャクソンと、継承/発展させたボビー・ハッチャーソンで、この2人さえいれば十分という印象を個人的には持っている。その次の世代の、そしてそこからやや知名度が下がったところにこのゲイリー・バートンが来る。ソロやデュオが多いバートンのアルバムの中から、ソロやデュオが苦手な僕が選んでみたのがこのアルバム。そもそも、管楽器やピアノと比較すると独自の音色を持たせにくい、言い換えると誰が演奏しても同じような音色になってしまうのがヴィブラフォンという楽器。しかし、バートンは先人2人よりもリズミカルで手数が多い奏法と4本間レットによる独自のハーモニーの使い方で個性を主張している。静かな曲ではスペイシーな音空間を作り、アップ・テンポの曲では流れるような力強い美しさを振りまく。さらに、ここではジャズ・ロックなギター・サウンドが加わることで、まるでドライアイスに触れて火傷をするかのようなクールな熱さで他に得難いサウンドを提示しているところが素晴らしい。アグレッシヴなベースと、どの時代でも最新のリズム感を身に纏うことができる驚異のジェネレーション・フリーなロイ・ヘインズのドラムがさらに先進的な印象を強くする。高度な演奏力と音楽性を持ったグループは、とかくもっと冗長な演奏にしてしまう時代に2分〜6分台というコンパクトな曲を揃え、密度の高い緊張感で勝負している点も潔い。(2007年2月14日)

Like Minds / Burton, Corea, Metheny, Haynes, Holland

曲:★★★★
演奏:★★★★☆
ジャズ入門度:★★★
評価:★★★☆
[Recording Date]
1997/12/15-17

[1] Question And Answer
[2] Elucidation
[3] Windows
[4] Futures
[5] Like Minds
[6] Country Roads
[7] Tears Of Rain
[8] Soon
[9] For A Thousand Years
[10] Straight Up And Down
Gary Burton (vib)
Pat Metheney (g)
Chick Corea (p)
Dave Holland (b)
Roy Haynes (ds)
プロデューサーとリーダーをゲイリー・バートンとするオールスター・メンバーによるアルバム。曲はバートンとパット・メセニー、チック・コリアのオリジナル。サウンドは意外性がなく極めてオーソドックス。メセニーはギタリストに徹した印象で、チックも彼らしいタッチでピアニストとして活躍、ホランドとヘインズは抑えたサポート、それでもそれぞれに個性を十分に発揮しているところはさすが。ベテラン揃いなだけに落ち着きとバランスの取れた演奏。よく考えてみると純粋な黒人はヘインズだけなので洗練されたモダンなジャズに仕上がるのは当然とい言えば当然。スリルという意味では少々物足りないものの質は申し分ない。スター軍団による演奏でもジャズでは主流の管楽器が含まれていないだけにサウンド的な派手さはなく、しかしそれこそがこのアルバムの魅力かもしれない。安心して質の高いジャズを聴くという意味で誰にでもお薦めできるけれど、あえて言うなら[6]のようなバートンのカラーがもっと出ていれば面白いものになったのではないかという感じもする。(2010年5月23日)

Common Ground

曲:★★★★
演奏:★★★★
ジャズ入門度:★★★
評価:★★★☆
[Recording Date]
Late 2010

[1] Late Night Sunrise
[2] Never The Same Way
[3] Common Ground
[4] Was It So Long Ago
[5] Etude
[6] Last Snow
[7] Did You Get It?
[8] My Funny Valentine
[9] Banksy
[10] In Your Quiet Place
Gary Burton (vib)
Julian Lage (g)
Scott Colley (b)
Antonio Sanchez (ds)
ブルーノート東京での素晴らしいライヴに感銘を受けて購入した、ゲイリー・バートン・ニュー・カルテットのアルバム。ヴァディム・ネゼロフスキというピアニストの曲と、各メンバーのオリジナル曲がバランス良く配置され民主的なグループであることを印象付けている。それでも、聴いてみればバートンの音楽以外の何者でもない。そのくらい、この人は確固とした自分の音楽を持っている。ライヴで、自由度が高く開放的な演奏をしていたのと比べると、スタジオで作りこんでじっくり演奏し、成熟した音楽として聴かせている。個人的には、全員がより自由な表現をしていたライヴ演奏に魅力を感じるものの、メランコリックでメロディアスな曲が多いスタジオ盤の芳醇さも捨て難い。そういうコンセプトで製作されているからパワフルなサンチェスが抑え気味の演奏になっているのは仕方がないところ。ライヴでも認識した通り、もう何年もバートンと活動を共にしているジュリアン・レイジの柔軟なギターは、ジャズ・ギターが得意でない僕にでさえ才能を感じさせるものがある。高揚させるというよりも味わうために聴く、高い音楽性を持ったカルテットによる1枚。(2011年8月5日)