Think ! / Lonnie Smith | ||
![]() 曲:★★★★ 演奏:★★★★ ジャズ入門度:★★★ 評価:★★★★ |
[Recording Date] 1968/7/23 [1] Son Of Ice Bag [2] The Call Of The Wild [3] Think [4] Three Blind Mice [5] Slouchin |
Lee Morgan (tp) David Newman (ts, fl) Melvin Sparks (g) Lonnie Smith (org) Marion Booker Jr. (ds) Henry "Pucho" Brown (timbales [2][5]) Norberto Apellaniz (conga [2][5]) Willie Bivens (conga [2][5]) |
路線としてはジミー・スミスの「Root Down」やグラント・グリーンの「Live At The Lighthouse」の系統に相当するいわゆるジャズ・ファンク。不詳につき、ロニー・スミスの本領がどんなものかわかっていないんだけれど、このアルバムを聴く限り、ジミー・スミスのような饒舌なフレーズで勝負するのではなく、渋いバッキングといかにもソウルフルなオルガンらしさが持ち味に見える。それはつまり凡庸に陥るリスクもあるスタイルでもあるけれど、ツボをガッツリ押さえて「そうそう、そういうのがいいんだよ」と思わせる心憎さがこのオルガンにはある。それは音楽全体にも言えるところで、決して勢いや音量で押して盛り上げるという安易な方法でなく、内面から滲み出る骨太なグルーヴによって音楽を成立させている。いかにもこのサウンドに合う直球テナーと、抑え気味も遊び心たっぷりのモーガンの組み合わせがまた絶妙。こんなにカッコいいジャズ・ファンクはそうはお目にかかれない。当時流行りのアフリカンで気怠いダラダラした曲かと最初思わせておいて、思わず体を揺らさずにはいられないパーカッションの饗宴に転じる[2]と、やはりラテンのフレーヴァーが効いている[5]が、更にファンキーな魅力を底上げしている。話題になることがほとんどない、しかしマニア向けの名盤。アルフレッド・ライオンが去ってからの録音とは思えないブルーノートらしさがある。(2016年9月27日) |
Let 'em Roll / John Patton | ||
![]() 曲:★★★★ 演奏:★★★★ ジャズ入門度:★★★ 評価:★★★★☆ |
[Recording Date] 1965/12/11 [1] Let 'em Roll [2] Latona [3] The Shadow Of Your Smile [4] The Turnaround [5] Jaykey [6] One Step Ahead |
Grant Green (g) John Patton (org) Bobby Hutcherson (vib) Otis Finch (ds) |
アーシーで泥臭いオルガンにギターとクールなヴァイブのボビー・ハッチャーソンが加わるという、これはもうメンバーの組み合わせの妙に尽きるアルバム。その混じり具合は絶妙で、ジャズというよりはソウル/ファンク/R&Bの色合いが濃いパットンのソウルフルなオルガンと、自身のアルバム以上にR&B/ソウル味なグリーンのギターで濃縮ソウル・ジャズになってしまうところに、まるで清涼剤のように溶け込むハッチャーソンのオーソドックスなヴァイブが奇妙な違和感を伴いつつも溶け込んでいるところがなんとも面白い。ドラムはシャッフルを多用し、スピーディでもバタ臭いタイプで純粋なジャズのスタイルとは違っているところもジャズ離れしたムードに拍車をかける。ポップな曲調も相まって今聴いても古臭く感じないこのユニーク極まりないサウンドは、オルガン・ジャズが好きな人にお勧めしたいのは勿論、70年代のソウルやファンクやが好きな人にも是非トライしてもらいたいと思わせる逸品。同じ編成でもオルガンがラリー・ヤングに変わって全く持ち味が異なる「Street Of Dreams / Grant Green」との聴き比べも面白いでしょう。(2007年12月1日) |
Face To Face / Baby Face Willette | ||
![]() 曲:★★★ 演奏:★★★★ ジャズ入門度:★★★ 評価:★★★☆ |
[Recording Date] 1961/1/30 [1] Swingin' At Sugar Ray's [2] Goin' Down [3] Whateer Lola Wants [4] Face To Face [5] Something Strange [6] High 'N Low [7] Face To Face (alt take) [8] Something Strange (alt take) |
Fred Jackson (ts) Grant Green (g) Baby Face Willette (org) Ben Dixon (ds) |
ジミー・スミスの後釜としてブルーノートが期待をかけたオルガン奏者として知られるベビー・フェイス・ウィレット。しかし、曲芸的とも言える荒業を駆使し、しかも本物のブルース/ゴスペル・フィーリングを横溢させるスミスと比較するのはちょっと可哀想。このアルバムを聴くとオルガン演奏のテクニックや奏法のエキセントリックさでは当然ながらスミスには敵わない。でも、ブルース/ゴスペル・フィーリングにかけては一歩も引けを取らないし、よりシンプルでオーソドックスなオルガン奏法は聴かせどころをよく心得たもの。スミスのアルバムはそのオルガンがすべての主役であったのに対して、こちらはソウル/R&B系ジャズ・ギターのシンボルでもあるグラント・グリーンがいるし、やはりR&B的で硬質なテナー・サックスを聴かせるフレッド・ジャクソンがいる。グループ全体でソウルフルなオルガン・ジャズを聴かせるという意味ではスミスよりもこちらの方が完成度が高い。1曲を除いてすべてオリジナルというのもブルーノート的で、一見安易なブルース集のようで統一感がある。スミスのアルバムは、どうしてもそのオルガン演奏に耳を奪われてしまう(それこそがスミスの絶対的な価値ですが)のに対して、グループ全体の音楽としてアーシーなオルガン・ジャズを楽しめるのがこのアルバムの価値。(2008年6月21日) |