Rock Listner's Guide To Jazz Music


Jimmy Smith


The Champ

曲:★★★★
演奏:★★★★
ジャズ入門度:★★☆
評価:★★★★
[Recording Date]
1956/3/27

[1] The Champ
[2] Bayou
[3] Deep Purple
[4] Moonlight In Vermont
[5] Ready 'N Able
[6] Turqupise
[7] Bubbis
Jimmy Smith (org)
Thornel Schwartz (g)
Donald Bailey (ds)
鍵盤を押していれば連続的に音が出続け、ぼんやりとくぐもった音像が独特な空気を作ることに向いているせいもあってファンクやソウル系では主にバッキングでその存在感を主張している、というのが僕のオルガンに対するイメージだった。もちろんタワー・オブ・パワーのチェスター・トンプソンのようなカッコいいソロを取る人もいるし、ロック系で言えばキース・エマーソンやジョン・ロードのような攻撃的なハモンド・オルガンを聴かせる人もいて僕はその独特なサウンドが好きだったりする。そんなオルガン好きがジャズを聴き始めれば、必然的にたどり着くのがこのジミー・スミス。ところが僕はジミー・スミスのアルバムにはなかなか馴染めなかった。理由はおそらく、アルバム1枚分オルガンだけで通されるとちょっとキツイこと、ギターとドラムがたいしたことなくスミス一人しか聴きどころがないためにインタープレイの楽しみがないことにあるのではないかと思っていた。しかし、繰り返し聴いているうちに、スミスの奏法そのものが他のすべてのオルガン奏者とは明らかに何かが違うからと判ってくる。そのきっかけになったのがこのアルバム。その演奏は、厚みのある低音域よりも高音域を多用したアグレッシヴなもの。絶え間なく動き回る手足。箸休めのギター・パートでも派手な音でバッキングを入れる落ち着きのなさ。当時の人がスミスのオルガンを聴いて「鳥がさえずっているみただな」と言ったというけれど納得できる。とにかく頭よりも肉体から発散されていることがよくわかるそのエネルギー。スローな曲でも中高音域を多用して世間でイメージされているジャズのようなおしゃれでアダルトなムードには決してならない。過激であるとすら言える音の洪水こそがスミスの聴きどころ。あくまでもブルースやゴスペルをベースにしていることから音楽そのものは決して前衛的ではなく、それこそが広く受け入れられた理由でしょう。僕はそれまでに聴いてきたオルガンから、オルガンとはこういうものというイメージを勝手に作り上げ、その枠にスミスがハマっていないから当初受け入れられなかっただけなんだと今になって気づいたというわけです。(2006年11月17日)

Live At The Club Baby Grant



曲:★★★★★
演奏:★★★★★
ジャズ入門度:★★☆
評価:★★★★★
[Recording Date]
1956/8/4

Vol.1
[1] Introduction by Mitch Thomas
[2] Sweet Georgia Brown
[3] Where Or When
[4] The Preacher
[5] Rosetta

Vol.2
[1] Caravan
[2] Love Is A Many Splendored Thing
[3] Get Happy
[4] It's Allright With Me
Jimmy Smith (org)
Thornel Schwartz (g)
Donald Bailey (ds)
初期のスミスはブルーノートにいくつかのライヴ・アルバムを残しているものの、録音状態が良くない。時代を考えれば仕方がないことで、このアルバムもその例に洩れずにそれなりの音質。でも、それが独特のムードになっていることもまた事実ではある。内容は同時期の他のアルバムと良い意味で変わらない。スミスにしては破天荒さがやや控え目でバランス良くまとまっているように思う。とはいえ、それは熱さがないという意味ではない。弾きまくり、弾き倒すパワーはここでも十分に発揮されていて、そのサウンドはスミスそのものであることに疑問を挟む余地はない。いつもはいてもいなくても困らないソーネル・シュワルツのギターの音が適度に歪んで、バッキングにソロにときどき存在感を発揮、ヘタクソ故に予想外なカッコよさを醸し出していて、バッキングに回っているときのスミスが常識的に抑えているところと合わせ、奇妙なバランスを感じさせるところも面白い。それにしても、常に弾きまくる、特にアップテンポの曲におけるスミスの集中力は凄い。キース・ジャレットのソロ・コンサートをチック・コリアやハービー・ハンコックが「集中力が凄い」と評しているけれど、ピアニストから見てスミスの集中力がどう映るのか訊いてみたい気がする。(2009年6月6日)

Groovin' At Small's Paradise

曲:★★★★
演奏:★★★★★
ジャズ入門度:★★
評価:★★★★★
[Recording Date]
1957/11/15

Disc 1
[1] Imagination
[2] Walkin'
[3] My Funny Valentine
[4] It's Only A Paper Moon
[5] I Can't Give You Anything But Love
[6] Laura

Disc 2
[1] Indiana
[2] Body And Soul
[3] The Champ
[4] Lover Man
[5] Slightly Monkish
[6] After Hours
[7] Just Friends
Jimmy Smith (org)
Eddie McFadden (g)
Donald Baoley (ds)
このスモール・パラダイスというクラブは、アルフレッド・ライオンが初めてジミー・スミスを観た場所であるのと同時にスミスのホーム・グラウンドでもあったらしい。その後、何枚かのアルバムを録音し終えた段階でライオンは、その初めて衝撃を受けた場所でスミスをライヴ・レコーディングしようと思い立った。その結果が「スモール・パラダイスのジミー・スミス(Groovin' At Smalls' Paradise)Vol.1」「同Vol.2」として世に出る。この CD はその2枚のオリジナル・アルバムに未発表曲を追加して2枚組とし、曲順も2枚のディスクにまたがって大幅に入替えたもので、ほとんど別作品として再編成されている。聴いてみて驚くのは観客の存在感のなさ。曲が終わっても拍手しているのは5人くらいじゃないかと思えるほどまばらで、こんなに拍手の寂しいライヴ盤は他に聴いたことがない。スミスのホーム・グラウンドのはずのこの場所、実はスミスのファンが多かったわけではなかったのだろうか。また、このアルバムは(も?)録音状態があまりよろしくない。特にドラムの音はシンバルもスネアの音もぼやけた印象を受ける。肝心の演奏については、50年代のスミスらしく、特徴ある中高音の使い方を織り交ぜながら音を絶え間なく繰り出すビジーなオルガンが縦横無尽に空間を埋め尽くし、バラードにおいても盛大に音を鳴り響かせ音の洪水に巻き込んでしまう。このスタイルは本当に当時受け入れられていたんだろうかと疑問に思うほど今聴いてもワイルド。それでもアヴァンギャルドにならないのは、やはりブルースやゴスペルといった伝統的な黒人音楽が根底にあるからに他ならない。サイド・メンのギターとドラムは個人的にはスミスと比べると数段落ちるプレイヤーだと思っているんだけれど、日常の姿であると思われるこのホーム・グラウンドでの演奏を聴くと、なるほどスミスさえ凄ければそれで十分ということを思い知らされる。(2007年2月26日)

House Party

曲:★★★★
演奏:★★★★☆
ジャズ入門度:★★★☆
評価:★★★★☆
[Recording Date]
1957/8/25
1958/2/25

[1] Au Privave
[2] Lover Man
[3] Just Friends
[4] Blues After All
Jimmy Smith (org)
Lee Morgan (tp [1][3][4])
Curtis Fuller (tb [3][4])
Lou Donaldson (as [1][2])
George Coleman (as [3][4])
Tina Brooks (ts [1])
Kenny Burrell (g [1][4])
Eddie McFadden (g [2][3])
Art Blakey (ds [1])
Donald Bailey (ds [2][3][4])
ジミー・スミスは通常のライヴ活動ではギターとドラムとのトリオで演奏していた。スミスのオルガンがもっとも自由に表現できるフォーマットだし、それ以上のメンバーが必要だったとも思えない。しかし、スミスに入れ込んでいたアルフレッド・ライオンは豪華メンバーを揃えてスミスとジャム・セッションさせたら素晴らしいものができるに違いないと考えていたようで、この種のセッションを何度か企画、実行している。このアルバムはそんな中の1枚。したがってブルーノートには珍しくイージーなセッションの色合いが強いのが特徴で曲も長め。それでも、ブルーノート・オールスターズと言っても良い豪華なメンバーが揃い、各々が自由奔放にブローイングすれば胸躍る演奏になるのは必然というもの。ハードバップが一番輝いていた時期だからこそ成功した企画だとも言える。個人的にはやはりアート・ブレイキー、ケニー・バレルが入っている[1]がいい。もちろん出番が少なくともリー・モーガンは素晴らしいし、[3][4]でジョージ・コールマンがアルトを吹いていて軽快な演奏を聴かせているのも珍しく、これがまた意外にいい。スミスはエキセントリックなフレーズこそ控えめながら、ここではバッキングのカッコよさでも聴き手を魅了する。(2007年2月18日)

The Sermon!

曲:★★★★
演奏:★★★★☆
ジャズ入門度:★★★☆
評価:★★★★☆
[Recording Date]
1957/8/25
1958/2/25

[1] The Sermon
[2] J.O.S.
[3] Flamingo
Jimmy Smith (org)
Lee Morgan (tp)
Lou Donaldson (as [1][3])
George Coleman (as [2])
Tina Brooks (ts [1])
Kenny Burrell (g [1][3])
Eddie McFadden (g [2])
Art Blakey (ds [1][3])
Donald Bailey (ds [2])
「House Party」と同じセッションからのもう1枚のアルバム。いきなり[1]から 20分に及ぶジャム・セッション。このセッション全体に言えることだけれど、このイージーな感じと適度な緊張感のあるブロウのバランスが絶妙で、いつ聴いても心地良い気分になれる。ことスミスの演奏について言えば「The Champ」のようにマシンガン的に音を繰り出しているわけでないものの、巧みなバッキングだけでも存在感は十分。スミスのオルガンを浴びるように聴きたいという人には物足りない内容とはいえ、セッションのムードを支配しているのがスミスのオルガンであるのは紛れもない事実で、それこそがこのアルバムの聴きどころと言えるでしょう。[2]のジョージ・コールマンのアルトが意外と聴かせるし、[3]のバラードにおけるリー・モーガンの表現力は改めてさすがと思わせてくれる。それにしてもこのセッションの「黒さ濃度」は相当なもの。(2006年11月17日)

The Complete Sermon Sessions

曲:★★★★☆
演奏:★★★★★
ジャズ入門度:★★
評価:★★★★★
[Recording Date]
1957/8/25 [1]-[8]
1958/2/25 [9]-[13]

Disc 1
[1] J.O.S.
[2] What Is This Thing Called Love
[3] Just Friends
[4] Cherolee
[5] Little Girl Blue
[6] 'S Wonderful

Disc 2
[7] The Blue Room
[8] Blues After All
[9] Lover Man
[10] Confirmation
[11] Au Privave
[12] Flamingo
[13] The Sermon
[1]-[8]
Lee Morgan (tp)
George Coleman (as)
Curtis Fuller (tb)
Eddie McFadden
             (g [1]-[3] [6])
Kenny Burrell (g [4][5])
Donald Bailey (ds)

[9]
Lou Donaldson (as)
JImmy Smith (org)
Eddie McFadden (g)
Donald Bailey (ds)

[10]-[13]
Lee Morgan (tp)
Tina Brooks (ts)
Lou Donaldson (as)
Kenny Burrell (g)
JImmy Smith (org)
Art Blakey (ds)
アルフレッド・ライオンが企画したジミー・スミスの57年8月25日と58年2月25日のセッションは、「House Party」と「The Sermon!」の2枚に合計7曲が振り分けられた。そして、アルバム収録に洩れた曲を含めたセッションの記録集としてリリースしされたのがコレ。一説によれば58年2月26日にも録音は行われていたとのことで、本当にコンプリートなのかという疑問は残るものの、個人的にはスミスのアルバムの中ではこのセッションが最高と思っているだけにトータル145分に亘って楽しめるのは至上の喜びである。豪華メンバーによるセッションなだけに無駄と思える演奏は一切なく、各メンバーの極上のパフォーマンスをたっぷりと楽しめる。リー・モーガンのトランペットをより浴びることができるだけでなく、フラーの柔らかくも太いトロンボーンの存在感をより強く感じることができるのがうれしい。そして曲が増えるほど、弾けば弾くほどにスミスの多彩なオルガンに唸らされる。録音日順に曲を並べてあるために、どの曲で誰が演奏しているのかわかりやすいというメリットもある。ただし、オリジナル盤は誰が参加しているかを意識させないほど選曲と曲順が練られているという言い方もできるので、一般的にはコンパクトに集約されたオリジナル盤で十分このセッションの本質的な魅力は堪能できる。スミスのオルガンを軸に、これだけのメンバーが気持ちよくブローしているというこの場の雰囲気の素晴らしさを骨までしゃぶり尽くしたいという僕のような人間にとって、この蔵出しは大いに歓迎。(2009年6月7日)

Crazy! Baby

曲:★★★★
演奏:★★★
ジャズ入門度:★★★
評価:★★★
[Recording Date]
1960/1/4

[1] When Johnny Comes
                   Marching Home
[2] Makin' Whoopee
[3] A Night Tunisia
[4] Sonnymoon For Two
[5] Mack The Knife
[6] What's New
[7] Alfredo
Jimmy Smith (org)
Quentin Warren (g)
Donald Baoley (ds)
一連のブルーノート作品の中でも人気が高いアルバム(らしい)。僕が初めて買ったジミー・スミスのアルバムでもある。「The Champ」の項目で書いた通り買った当時はあまりピンと来なかった。アーシーでアダルトなムードを期待していた僕の感覚と、中高音を多用した、刺激性までを備えたこの時代のスミスのオルガンにギャップがあったから。ところが一旦過激なスミスの凄さを知ってしまうとムード優先のオルガンでは物足りなくなってしまう。このアルバムはスミスらしさがある(特に[3])ものの、過激さはやや控えめ、そうかといって落ち着いたムードに支配されているわけでもないという、僕にとっては中途半端なものになってしまっている。スミスはこのあたりからヒットを狙ってオルガンならではの持続音を用いたアーシーなスタイルを強く打ち出すようになり、57年ころまでの過激さがなくなっていく。そして、狙い通りに売れるようになっていく。(2007年2月26日)

Midnight Special

曲:★★★★
演奏:★★★★
ジャズ入門度:★★★★
評価:★★★★
[Recording Date]
1960/4/25

[1] Midnight Special
[2] A Subtle One
[3] Jumpin' The Blues
[4] Why Was I Born
[5] One O'clock Jump
Stanley Turrentine (ts)
Jimmy Smith (org)
Kenny Burrell (g)
Donald Baoley (ds)
ブルース・フィーリング溢れるアーシーなテナーを吹かせれば天下一品のスタンリー・タレンタイン、やはりブルースの名手でしかも適度に洗練されているケニー・バレルが共演ときたらハマらないはずがない。それに応えるスミスのオルガンは、トリッキーなプレイを控えてこれまたアーシー。これでアート・ブレイキーがドラマーならという思いを抱きそうになるけれど心配ご無用。落ち着いた曲が中心だからドナルド・ベイリーの平坦なドラムでむしろ好都合。ビルボードのアルバム・チャートで28位に入ったということで聴きやすいだけの軽薄なアルバムという先入観を抱きそうになるものの、この豊潤なブルース・フィーリングは本物だけが持つ味わい。このアルバムをもってスミスの魅力のすべてが出ているわけではないけれど、これもスミスの本質の重要な一部であることに間違いない。夜に聴き入りたくなるディープなアルバムでしかもオルガン・ジャズの入門にも最適。(2011年10月21日)

The Cat

曲:★★★★★
演奏:★★★★★
ジャズ入門度:★★★★
評価:★★★☆
[Recording Date]
1964/4/27
1964/4/29

[1] Theme From "Joy House"
[2] The Cat (from MGM
    motion picture "Joy House"
[3] Basin Street Blues
[4] Main Title from
    "The Carpetbaggers"
[5] Chicago Serenade
[6] St. Louis Blues
[7] Delon's Blues
[8] Blues In The Night
Jimmy Smith (org)
Kenny Burrell (g)
George Duvivier (b)
Grady Tate (ds)
Phil Kraus (per)

Lalo Schifrin (arr, cond)
Ernie Royal (tp)
Bernie Grow (tp)
Jimmy Maxwell (tp)
Marky Markowits (tp)
Snooky Young (tp)
Thad Jones (tp)
Billy Byers (tb)
Jimmy Claveland (tb)
Urbie Green (tb)
Tony Studd (b-tb)
Ray Alonge (flh)
Jimmy Buffington (flh)
Earl Chapin (flh)
Bill Correa (flh)
Don Butterfield (tu)
このアルバムはジミー・スミスの代表作ということになっている。かなり売れたこと、聴きやすいことがその理由なんだろうけれど、オルガン奏者ジミー・スミスの本質が表に出たものかと訊かれると答えは「No」と言わざるを得ない。企画としては、売れっ子スミスとビッグ・バンドを組み合わせるというもので、それ自体はヴァーヴ時代の他のアルバムにもあって、特別なことではない。キモはそのビッグバンドのアレンジを「スパイ大作戦」「ダーティハリー」「燃えよドラゴン」で知られるラロ・シフリンが担当したことにある。このビッグ・バンド、常時バンバン鳴り響いているわけではなく、ここぞというクライマックスでは盛大に盛り上げる。良く聴けばベース奏者を含む基本的なコンボは実にグルーヴィで高水準の演奏をしているし、スミスのオルガンも十分に好調。だけど、ここぞで盛り上げるビッグ・バンドが時にそれをかき消してしまうほど勢いがある。反面、サックス抜きでトロンボーンの音が目立つサウンドが特徴のそのビッグ・バンドのアレンジ、演奏がこの上なくカッコいい。「スパイ大作戦」のテーマを聴いて胸が高鳴る人ならこのアルバムを楽しめること間違いなし。しかし、それはスミスの良さとは別のところにあり、このアルバムはあくまでも企画がもたらした名盤というべきでしょう。スミスが聴きたい、というよりはビッグ・バンドのこのアレンジが聴きたいと思ったときに手にしてしまうアルバム。1曲が短くトータルでも僅か33分とあって初心者にとっつきやすい。(2007年1月20日)

Further Adventures Of Jimmy And Wes

曲:★★★
演奏:★★★
ジャズ入門度:★★
評価:★★☆
[Recording Date]
1966/9/21
1966/9/28

[1] King Of The Road
[2] Maybe September
[3] OGD (aka Road Song)
[4] Call Me
[5] Milestones
[6] Mellow Mood
[7] 'Round Midnight
Jimmy Smith (org)
Wes Montgomery (g)
Grady Tate (ds)
Ray Barretto (per except [5] [7])

Track [5] [7]
Ernie Royal (tp)
Bernie Grow (tp)
Jimmy Maxwell (tp)
Joe Newman (tp)
Ernie Royal (tp)
Clark Terry (tp)
Jimmy Claveland (tb)
Melba Liston (tb)
Tony Studd (b-tb)
Bob Ashton (woodwinds)
Danny Bank (woodwinds)
Jerry Dodgion (woodwinds)
Jerome Richardson (woodwinds)
Phil Woods (woodwinds)
RIchard Davis (b)
オルガンとギターの名手によるコラボレーションで2人のリラックスした演奏を楽しめる。こに時期になるとスミスは手数が減ってアーシーなスタイルにもう変わっており、それに合わせてウェスが得意のハーモニクス奏法を披露するという構図。全体に落ち着いた曲が多くて心地良く身を委ねることができる。反面、刺激を求める人には物足りない。なぜか2曲は賑やかなビッグバンドを加えたものになっていて、アルバムとしてのバランス感を欠くのも減点材料。もちろん、ところどころにスミスらしいフレーズが出てくるけれど、このアルバムはスミスのベストではないし、ウェスのベストでもないと思う。(2007年2月18日)

Root Down

曲:★★★★
演奏:★★★★★
ジャズ入門度:★
評価:★★★★★
[Recording Date]
1972/2/8

[1] Sagg Shootin' His Arrow
[2] For Everyone Under The Sun
[3] After Hours
[4] Root Down (and Get it)
[5] Let's Stay Together
[6] Slow Down Sagg
[7] Root Down (and Get it)
   (alt take)
Jimmy Smith (org)
Steve Williams
      (harmonica [3])
Aurther Adams (g)
Wilton Felder (b)
Buck Clarke
         (conga, per)
Paul Humphery (ds)
先にも述べてきた通り、僕はスミスのオルガンに当初馴染めなかった。どうやら僕には合わない、しばらく横に置いておこうと思いとりあえず追求するのをやめていたある日、近所にある、とっても濃い(怪しい雑貨も売っていてコルトレーンやマイルスのポスターが貼ってある)本屋に行ったときに、店の中でカッコいい70年代前半の空気がムンムンするファンキーな音楽が流れていた。そしてレジにディスプレイしてあった「Now Playing」のCDこそが本作。これ、未だに「実はジミー・スミスじゃないよ」と言われたら信じてしまいそうなくらい50年代のスミスとはサウンドが違う。要はジャズじゃない。グルーヴィなエレキ・ベース(そうベースがいるのだ)に、歪んだファンク系ギターが絡み、そこに合わせてハジけるスミスのオルガンは50年代とは異なるファンク味の黒さが濃厚。ドラムはタイトかつ手数の多いタイプでこのファンク・グルーヴをさらに加速させている。そして、なんと言ってもベースから開放されたスミスのオルガンがまたメロディアスかつスタイリッシュでめちゃくちゃカッコいいし、いかにも70年代ならではのグルーヴ感がたまらない。ライヴとあって演奏に熱気があるところも重要なポイント。ファンキーでソウルフルなオルガンが聴きたければ是非このアルバムを。尚、オリジナルのアルバム(国内盤がそう)では [1][4][6]が編集されており、輸入盤では無編集となっていて、それぞれ約4分半、5分、4分半長くなっている。編集されたバージョンの方が締まりがあるけれど、このカッコいい音空間を削ってしまう行為は犯罪にも等しい。(2006年11月17日)