1983年、日本人間性心理学会主催の「カール・ロジャーズ」ワークショップに参加した際、竹内レッスンで知られていた竹内敏晴に出会い、身体を視野に入れた実践に惹かれたのをきっかけとして身体心理学的な方向を志す。
当初は、エンカウンター・グループや竹内レッスンを初めとする様々なワークショップ(バイオ・エネルギー法、ゲシュタルト・ワーク、トランス・パースナル、内観療法…)に参加した後、札幌において「こころとからだの会」を開始し実践の場を通じて体験を深めた。
1988年、暗黒舞踏「山海塾」メンバーの蝉丸による舞踏合宿に参加した後、心身探求の方法としての舞踏に意義を感じ、以来、舞踏の方法に基づいた身体心理学的アプローチを積み重ね、国内・海外でのButoh Dance Methodの指導を行い、今日に至る。
札幌学院大学人文学部 臨床心理学科教授(2004年四月〜)。
札幌学院大学心理学部 臨床心理学科教授(2020年三月定年退職)。
★リラクセイションの罠とウツ状態についての解説 → 「リラックスのために」(Apr.2009)
★身体心理学に関する論文:
腕の脱力について(竹内レッスンにおける「腕のぶら下がり」から)-数量的研究
- 葛西俊治 and Zaluchyonova,E.A. "腕の脱力の困難さに関する実験的研究"
An Experimental Study of the Difficulty in the Arm Relaxation Task"
人間性心理学研究、195-202, Vol.14,No.2, 1996a
- 葛西俊治 "腕の脱力の困難さについての再確認" 催眠学研究, 34-40, Vol.41, No.1-2, 1996b
- 葛西俊治 "腕の脱力における心理学的方略" 人間性心理学研究, 212-219, Vol.12, No.2, 1994
舞踏と身体性について-
- 葛西俊治 "腕のぶら下げから社会体操へ"
- 人間性心理学研究,21-26,No.8,1990
- 葛西俊治 "身体の脱社会化と舞踏"
- Memoirs of H.I.T.,217-224, No.19,1991
- 葛西俊治 "脱社会化身体"
- Memoirs of H.I.T., 265-273,No.20,1992
- Toshiharu Kasai "A Butoh
Dance Method for Psychosomatic Exploration"
- (フランス語訳・ポーランド語訳あり)
- Memoirs of Hokkaido Institute of Technology, No.27,309-316, 1999
- Toshiharu Kasai "A Note on
Butoh Body"
- (フランス語訳・ポーランド語訳あり)
- Memoirs of Hokkaido Institute of Technology, No.28,353-360,2000
- 葛西俊治 "身体性の展開に向けて―「腕の立ち上げ」レッスン―"
- Memoirs of H.I.T.,134-150,No30, 2002
- 葛西俊治・竹内実花 "心身セラピーとしての舞踏ダンスメソド"
- ダンスセラピー研究、1-8,Vol.2,No.1,
2002
- 葛西俊治 "ボディーワークにおける倫理をめぐって"
- 人間性心理学研究、139-147,Vol.20,No.2,2002
- Toshiharu Kasai and
Kate Parsons "Perception in Butoh Dance"
- (フランス語訳・ポーランド語訳あり)
- Memoirs of Hokkaido Institute of Technology,257-264, No.31, 2003
- 葛西俊治"舞踏ダンスメソドにおけるスピリチュアルなこころとからだ"
- 人間性心理学研究、92-100,Vol.21,NO.1, 2003
- 葛西俊治"身体心理療法の基本原理とボディラーニング・セラピーの視点"
- 札幌学院大学人文学会紀要 第90号,pp.85-141, 2006
- 葛西俊治「舞踏の創造についての新たな理解と創造的でオートポイエティックな舞踏―
下意識の隠れた観察者から身心システムの摂動まで」[日本語試訳(原文は英語)]
- 札幌学院大学人文学会紀要 2009年度 No.86, 21-36 new!
Psychosomatic and Butoh Workshop
海外などでの主なワークショップ指導 [2010年までの資料です]
2009-2010年 イギリスでの一年間の研究と指導
- ダンスムーブメント・サイコセラピーの研究
イギリスのHelen Payne教授(University of Hertfordshire)のもとでの研究
ロンドン・モーズレイ病院(精神科)、ケンブリッジ・フルポーン病院などでの舞踏ダンスメソド指導を含む。
- 舞踏のワークショップ指導・舞踏ライブ
イギリス、オランダ、スペイン、ラトビア、エストニアにて集中的ワークショップ指導などを行った。
特にロンドンでは多数回、舞踏レッスンを指導。
2007-2008年
*次のように国内での活動を充実させた。
- 日本ダンス・セラピー協会認定(JADTA)ダンスセラピスト資格取得
札幌ダンスムーブメントセラピー研究所運営
札幌学院大学臨床心理学科において、JADTA資格「ダンスセラピー・リーダー」取得可能となる科目運営をスタート。
- 質的心理学研究を推進するために、林の数量化理論を用いた質的分析法である「関連性評定質的分析」を開始し、研究発表や論文作成の実をあげた(学会発表・修士論文など約10数編)。
2006年
- Nov.6-12 Boston, Amherst, U.S.A.
Supported by Japan Foundation and The Japan Society of Boston.
2005年
- Jan.6-11 Bilbao, Spain at Bilbao Arte for Artedandando
2003年
- Apr.3-13 Krakow, Poland at Solvay for International Conference "Human Body - A Universal Sign"
2001年
- Apr.9-11 in Szczecine, Poland at Teatr Kana
- Oct.6-7 in Kalamazoo, MI, U.S.A. at Wellspring Theater
- Oct.8-9 in Asheville, NC, U.S.A. for Asheville Contemporary Dance
Thatre
- Oct.14, in Raleigh, NC, U.S.A. for 36th American Dance Therapy
Association
- "Mind-Body Learning by Butoh
Dance Method"
2000年 - Oct.28 in Seattle, WA for American Dance Therapy
Association
- Nov.3-4 in Vancouver, Canada for Vancouver International Dance
Festival
- Nov.6-7 in Asheville, NC, for Asheville Contemporary Dance Theatre
- Nov.8 in Asheville, NC, at Warren Willson College
「普遍的記号としての身体」国際会議及びワークショップ
International Conference "Human Body - A Universal Sign"
Krakow, Poland. Apr.7-13, 2003
「心身の探索と統合のための舞踏ダンスメソド」
"Butoh Dance Method for Psychosomatic Exploration and Integration"(in press)
ポーランドの古都、クラコフで開かれた「普遍的記号としての身体」国際会議に基調講演者の一人として招待され、日本との文化交流会館「Manggha」にて、"Butoh Dance Method for Psychosomatic Exploration and Integration"について2時間近い講演を行い、非常に好評であった。
なお、舞踏に関する著作で知られるニューヨーク大学の名誉教授、Sondra Fraleigh氏による舞踏関連の基調講演もあり、BUTOHということが大会の中心テーマであった。
この国際会議は、午前の「基調講演」、午後の「発表」及び「ワークショップ」、夕方の舞踏及び舞踊・演劇の公演が組み込まれた一大文化プロジェクトであり、名誉実行委員には高名な映画監督、アンジェイ・ワイダもその名を連ねていた。
期間中は、連日、国際会議に参加した各国の参加者やクラコフの関係者を対象に、舞踏ダンスメソドのワークショップの指導を行った。参加者からの感想では、決まった定型的な動きや型に縛られるのではない「動き」に基づくアプローチが新鮮だったという。
また、この大会には、"Perception In Butoh Dance"の共著者である Kate Parsons女史もはるばるアメリカから駆けつけ発表を行っており、親交を暖めることができた。期間中、ヨーロッパで最古といわれるクラコフのヤギェウォ大学日本語科の学生、Alicjaさん、Grzegorzさん、Fronchakさんにお世話になりました。記して感謝致します。
第二回国際Butohシンポジウム及びダンス交流プロジェクト Ex...it'99
Ex...it! '99 - 2nd International Butoh Symposium & Dance Exchange Project
Schloss Broellin,Germany. Aug.1-31, 1999
Psychosomatic Learning and Butoh Workshop
by Itto's Butoh Dance Method
Ex...itは、Exとitの間に文字を入れて、Experiment it!/Excavate it!/Exceed
it!などのようにイメージをふくらませる…という意図をこめたもので、1995年に続いて二回目のイベントとなった。
一ヶ月の長期にわたる Ex...it!'99のイベント、第一週はドイツ・イタリア・スペイン・フランス・イギリス・アメリカ・カナダ・ベラルーシ・ロシア・日本(森田一踏/竹内実花/長岡ユリ/アリシナ・ジュジュ
仏在住)から招請された14名の舞踏家による相互ワークショップであった。お互いに順に指導者となり他のメンバーをレッスンするもので、時間的内容的にハードな一週間となった。Butohに関するディスカッションも毎日行われ、これは後日の国際シンポジウムのたたき台を提供することになった。
第二週から三週目は、ヨーロッパを中心に参加してきた合宿生約50名に対して、舞踏家がレッスンを行うもので、参加者は少なくとも4−5名の異なった舞踏家の指導を受けることとなった。最終日、合宿生は舞踏家共々、ブローリン城内
Schloss Broellin にて二時間にわたるデモンストレーションを行い、ベルリンからの観客の喝采を浴びた。
また、舞踏に関する国際シンポジウムが開催され、舞台関係の専門家、哲学者、ジャーナリストなどによってテーマが提示され、舞踏家14名、合宿生50名による一大討論会となった。(近々その内容が出版される予定)
第四週目は、ポーランドの港町シュチェチン市 (Szczecin)にて、同様の舞踏発表会と各国の舞踏家による公演が行われた。それと同時進行的にベルリンにおいても舞踏公演が組まれ、Butohの文化的に多様なあり方が提示され非常に意義深い活動となった。
欧米の舞踏家との集中的な合宿訓練体験がもっとも貴重であったが、東洋哲学を舞踏という観点から研究しているドイツの哲学者Rolf Elberfeldとの出会いが最大の収穫だったかもしれない。その成果の一部が、"A Note on Butoh Body"(舞踏体についての覚え書き)という題名で論文となっている。
なお、日本のジャーナリストとしてシンポジウムに招請された立木あき子氏による体験記・評論が「季刊ダンサート」(2月10日発行、2000年)に掲載されている。
Ex...it!'99
「共振する肉体」 by 立木子
Seattle Butoh Workshops in 1999
Seattle, U.S.A., May 13-14, 17, 1999
Workshops of Itto's Butoh Dance Method
Joan Laage of Dappin Butoh in Seattle および D.Antonioの協力によって国際舞踏ワークショップとして開催された。Joan
Laageはシアトルに拠点をおくDappin' Butoh を主宰し、日本での舞踏活動に基づき舞踏に関する研究によって博士号Ph.Dを取得した舞踏家でもある。1998年から開始されたSeattle
Butoh Festivalを主催し、実践的に活動を展開している。
シアトルでのワークショップでは、ボディラーニング(身体学習 Body Learning)及びButoh Dance Methodを紹介指導すると同時に、1998年よりテーマの一つとしていた「文化的に条件付けられた心身反応」について洞察を得る貴重な機会ともなった。心身の深いリラクセイションなどが、社会文化的条件付けからの脱構築を必要とすることをあらためて確認するワークとなった。
第四回人間的心理学と教育学のための国際セミナー
4th International Seminar for Humanistic Psychology and Pedagogy
ウクライナ・リブネ 6/14-18,1998 発表とワークショップ 「舞踏の方法による心身の統合」
"Congruence of mind-body through Butoh dance
method"
首都キエフと古都リボフとの中間に位置するリブネ市はセミナーを全面的に支援し、キエフ・コステューク心理学研究所
Kostiuk Institute of Psychologyの主催によりセミナーが開かれた。ウクライナ、ポーランド、ロシアなどの東欧圏からの参加者を中心に、西ヨーロッパ、アメリカからの参加者もあった(葛西は日本からの初参加とのこと)。
会議での発表に続いて、実技参加者30−40名、見学者百数十名の中で実技指導が行われた。内容は準備状況を作るための身体ほぐしなどによるリラクセイションを手始めに、舞踏の基本的な方法により心身の深層に向かう方法が示された。関心は非常に高く、その後の舞踏ビデオ解説への参加者もかなり多かった。
キエフの心理学研究所にて心理専門職のスタッフを対象にワークを行い、心身統合へのアプローチの方法として高く評価され、今後の交流への基礎づくりとなった。
第六回対立解決国際会議 6th
International Conference on Conflict Resolution
サンクト・ペテルブルグ、ロシア 5/7-14,1998
ワークショップ 「舞踏の方法による心身のピースフルな次元」
"A peaceful dimension of mind-body through
Butoh dance method"
アメリカ、ロシア、東欧圏からの参加者を中心にした国際会議。主催はアメリカに本部を持つAssociation
for Humanistic PsychologyとペテルブルグのHarmony Instituteとの共催によるもので、経済・経営・組織・心理的な問題などの様々なレベルでの葛藤・対立を解決するための方法・実践などが発表された(ペテルブルグ大学にはConflictology、葛藤学と呼ぶべき学部がある)。
葛西は心身統合の観点から実技ワークショップを企画し、参加者30−40名を対象に4時間の指導を行い好評を得た。身体ほぐしなどのリラクセイションを導入として、舞踏の方法によって心身の深みへと向かう方法を提示し実技指導を行った。その他、非公式のイベントとしてペテルブルグの若者を対象に同メソドを指導。
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