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 ◆ 新刊のご案内 ◆ 


行動の仕方が変わること―。すなわち、「行動変容」
ということに重点をおいた「行動科学」入門用のテキ
ストです。学問の広さと深さに足を取られる前に、基
礎的な見方をすっきりと学べるようにまとめました。
「ソフトに科学する」というタイトルは、人間の行動を
いろいろな角度から柔らかく眺めてみること―から来ています。

「ですます体」で書かれていて
大変読みやすい解説書となっています。

お近くの書店から「青山社」までご注文下さい!


  目  次 

第1章 ソフトな行動科学に向けて 1

1.行動を科学すること 1 個人特性と状況特性 1 ハードな行動科学 3 ソフトな行動科学 4
帰納と演繹と仮説発想 7 統計から間違ったことをいうことができる 8 ■研究ノート   行動科学の始まり 10   挨拶空間 11
2.事実に基づくこと 12 ■研究ノート   統計的アプローチ 16

3.行動変容 18 行動変容に関わる四つの次元 18 行動変容と「喪失」 22 行動そのものを変えること 24 行動を要素に分解すること 25
第2章 こころということ 29

1.こころの三層構造 29 厳しい親と甘い親 31 ■研究ノート 33   愛着ということ 33   フロイトと交流分析 33
2.条件付け 35 古典的条件付け 35 オペラント的条件付け 36 ■研究ノート   嫌悪条件付けと学習性絶望 38
3.成長衝動 39 ■研究ノート   至高体験 41   マネジメントにおける動機付け 43

第3章 行動を左右する認識 45

1.帰属と感情 45 ■研究ノート   帰属の方向を切り替えること 48   偽情報と偽薬 50
2.認知的整合性 51 首尾一貫していることの落とし穴 53
3.一般意味論 55 ことばの世界の堂々めぐり 58
■研究ノート   ダブル・バインド 60   情報の縮退 61   自己言及型パラドックス 62
第4章 社会という影響力 65

1.他者という圧力 65 援助責任の拡散 66 社会的証明の原理 67 緊急事態としてアピールすること 69 時間経過と動機 70 助けられることの社会的な意味 71 ■研究ノート   指示への恭順 71
2.囚人のジレンマとゲーム理論 73 軍拡競争からダンピングまで 75 社会的ジレンマ 77 ■研究ノート   対人社会動機分析法 78
3.逸脱とラベリング 80 予言の自己成就 82
4.マネジメントの行動科学 83 X理論とY理論 84 強制と賞罰 85 人間的成長 87 ■研究ノート   産業構造の変化 88
第5章 こころとからだ 91

1.リラクセイション 91 腕のぶら下がり 92 社会性緊張反応 93 緊張と身構えがほどける 95

2.身体の脱社会化 97 身体に「社会」が組み込まれていること 98 生身というからだ 100 「おどり」ということ 101
第6章 超えていくこと 105

1.驚きと笑いと創造性 105 自己癒着から自己分離へ 107 創造性と二元結合 110

2.生きることの価値 113 おわりに 115
        (2002年9月出版)

カバーデザイン・挿絵 by つづら

Illustration (C) All Rights Reserved by Tsuzura, 2002

カバーデザインは「つづら」さんによるものです。
上記のアドレスをご覧下さい。いろいろな挿絵が掲載されて
いて楽しいです。

なお、このカバーデザインはただの模様…ではありません。
このカバーを最初にパッと見たときに何が見えるのか…に
よってその人の情報取得のタイプ、優先なチャンネルが
推測できるのです。
この程度のことでは、単なる推測に過ぎませんけれども (^_^;

  1. 文字が目に飛び込んできて、カラーの図柄の部分は特に気にならなかった人

  2. 図柄が目に飛び込んできて、それが漫画チックな絵だと分かった人

  3. 図柄のオレンジっぽい色が、目に飛び込んできた人

  1. 第一の型は「文字・概念」型と思われます。ともかく「意味」にすぐに反応します。
    しばしば、「微笑んでいる図柄」に気がつかず、ただのヒモのような模様だなあ
    …と思ったりしています。

  2. 第二の型は「視覚映像」型と思われます。文字や色ではなく「かたち」に反応するのです。
    そのため、文字の意味などにはとらわれず、フォントの種類や形態に敏感なので、
    文字情報は二の次となりがちですね。
    もちろん、図柄の絵が「微笑んでいる顔…」とすぐに分かったと思います。

  3. 第三の型はいわば「色覚」型と思われます。意味よりも形よりも「色」に感覚
    が向かう人です。

このように、同じ対象を眺めていても、人によって<何を見ているのか>
はずいぶん異なるものです。このため、暗示やイメージ誘導などを行うとき、
「…青い湖が心の中に浮かんできます…」などと話したとすると、
「文字概念」型の人には、そうした視覚映像が思い浮かばず、ミズウミの
漢字を思い出したりするのです。これに対して「視覚映像」型の人ならば、
そうした「湖」のイメージをきちんと思い描いているでしょう。さらに、「色覚」
型の人ならば、「青…」という色を強烈に思い描いていることでしょう。
あるいは…音声聴覚型の人ならば、「アオイ…」といったような言葉の音を
こころの中で響かせているかもしれません…。
このように、内的なイメージの世界も人によって違うのです…といったお話でした。



*このお話は、カバーを話題にしたもので、テキストの中では扱っていませんのでご了承下さい。

人によって、何が目に飛び込んでくるのか、何に関心を引かれるのかは、
上の話題にあるように実にさまざまです。いずれにしても、注意を向けた
こと・注意を奪われたことによって、その人にとって感じられ認識される世界
が決まっててしまいます。そうした認識の仕方によって行動のあり方が決まって
いくことになるわけです。
なお、テキストの中でふれられている「一般意味論」は、そのように知覚
され認識された内容が、次には言葉に変換されることによって、現実から
大きくそれていく過程を示すものです。さらに―

一般意味論→社会的な有徴項目による認識・比喩的認識
            →差別的認識→差別的行動…

といった大きな流れを考えることができます。
「おい、そこのメガネ!」と呼びつけられたりすると、これが差別的認識
であることはすぐに分かるわけですが、そうした認識が「換喩」という比
喩的な把握になっていることはあまり知られていません。
「メガネをしている」ことは社会的には「目立つこと」(有徴)であり、
そうした特徴の一部によって、その人が言い表されているかのようなので
す。 人間の行動が、その人の思いや認識の仕方によって左右される以上、テキ
ストでは「行動を左右する認識」という項目が立てられているのです。



定価 \1,500 (税込み)

お近くの書店から「青山社」へご注文下さい。
 Fax. 042-763-6443 

ISBN4-88359-090-9 C3011