--- 序 ---

日本神話は古事記(こじき)、日本書紀(にほんしょき)などにより語られる高天原(たかまのはら・たかまがはら)の神々を中心とする「高天原神話(記紀神話)」を指します。すなわち「太陽神の子孫が天皇となって大和地域を支配するまでの物語」といわれます。

その主な舞台は、高天原(天上)・出雲(いづも 島根)・日向(ひゅうが 宮崎)となっています。これは高天原神話・出雲神話・日向神話と分けて呼ばれることがあります。

日向(宮崎)神話はニニギ(邇邇芸命)の降臨から・ホオリ(火折命=山幸彦)・ウガヤフキアエズ(鵜茅葺不合命)まで日向に居られた3代(日向3代)を中心とする神話です。

天孫(てんそん)ニニギ(邇邇芸命)が国津神(くにつかみ)の娘コノハナ(木花咲耶姫)を妃とし、その御子ホオリ(火折命)が海神(わたつみ)国に行き、海神の娘トヨタマ(豊玉姫)と結婚し、ウガヤフキアエズ(鵜茅葺不合命)が生まれるという物語です。 そしてウガヤフキアエズの子ワカミケヌ(若御毛沼命=後の神武天皇)が誕生して大和へ向かう(東征)という展開を見るのですが、天神、地神、海神の血が融合して神武天皇になる筋立てになっています。

梅原 猛先生は、稲作技術を持った弥生人が南九州へ到達し、狩猟民族の縄文人を征服しながら稲作の適地を探すうち、水の豊富な高千穂辺りに定着し、さらに勢力を宮崎平野へ伸ばしていった。その権力の伸長過程に土着の権力者の娘との代々の結婚があり、南九州一帯からついには大和に向かうまでに強大になったのではないかといわれます。

即ち、ニニギ(邇邇芸命)の妃・コノハナサクヤヒメ(木花咲耶姫)は狩猟民の娘、ニニギの子ホオリの妃トヨタマヒメ(豊玉姫)は九州南部の航海、漁業に秀でた部族(ハヤトであろうと言われる)の娘で、ニニギの孫ウガヤフキアエズ(鵜茅葺不合命)の妃・タマヨリヒメ(玉依姫)はトヨタマヒメ(豊玉姫)と姉妹であり、結果その子ワカミケヌ(若御毛沼命=サノノミコト=カムヤマトイワレヒコ・神倭伊波礼毘古命=神武天皇)の代では土着民の血がさらに濃くなり、「稲作・狩猟・漁業」の権力の統合の結果が東征を可能にしたのではないだろうか?との推測にたどり着きます。

田中英道東北大名誉教授著「高天原は関東にあった」(日本神話と考古学を再考する)に依れば鹿島を中心とする地域にあった「日高見国」がずっと後の人々の記憶の中にあった高天原ではなかったか?其処から鹿児島に舟で上陸した(天降った)のだ、弥生人の到来を天孫降臨とするのではなく、考古学的に検証すると、縄文人の文化は考えられているよりはるかに優れた文化を持っており、稲作も朝鮮半島から来たのではなく、縄文人がすでに稲作をしていたのは最近のDNA分析により解明されている、縄文人と弥生人は併存していたのだと言う。

日向(宮崎)神話の舞台

宮崎は南国の景色と同時に神話の世界の想像を掻き立てられるところでもあります。 神話を知ってその地に立てば、一段と面白みも増すのではないか?そんなガイドが有ればなあと思ってまとめてみました。

鵜戸(うど)神宮  神武天皇の父ウガヤフキアエズノミコト(鵜茅葺不合命)誕生の地と謂われる 地図

青 島  島中央に青島神社が有る、ウガヤフキアエズノミコトの父 ホオリノミコト(山幸彦)を祀る 地図