古事記（こじき）
稗田阿礼が暗誦していた「帝紀（天皇の系譜）」「旧辞（古い伝承）」を太朝臣安萬侶（おほのあそみやすまろ、太安万侶）が書き記し編纂した日本最古の歴史書。上（序･神話）・中（初代から１５代天皇まで）・下（１６代から三十三代天皇まで）の3巻に分かれる。
大友皇子との争い(壬申の乱)で勝利した大海皇子が天武天皇となり諸家の伝える帝紀と本辞とがあまりに虚実入交り真実とかけ離れている、今正さねば言い伝えの本旨と離れてしまう、帝紀と本辞こそが国家の行政の根本であり天子の事業の基礎なのだと、これを正し後世に伝えようと、一度見、聞いたことは忘れないという稗田阿礼（ヒエダのアレ）に帝皇の日継と旧辞を読み習わすよう命じられたが御代が変わって実現しなかった。
和銅四年九月十八日元明天皇により太安万侶が完成を促され、阿礼誦（よ）む所の旧辞類を撰録して天武天皇の命令から30年後の和銅五年（712年）に献上された。当時の伝承は口伝であり、膨大な記憶を文字に起こしたもので、日本語の書式を確立した書としても重要な書物である。

日本書紀（にほんしょき）
奈良時代に成立した日本の歴史書である。日本における伝存最古の正史で、六国史(りっこくし、《日本書紀》《続日本紀(しょくにほんぎ)》《日本後紀(にほんこうき)》《続日本後紀》《日本文徳天皇実録》《日本三代実録》の総称　)の第一にあたる。舎人（とねり）親王らの撰で、720年（養老4年）に完成した。神代から持統（じとう）天皇の時代までを扱う。全30巻　巻１と２が神代の物語である。
古事記、日本書紀の神代の物語を総称して「記紀神話」と呼んでいます。

続日本紀（しょくにほんぎ）
平安時代初期に編纂された勅撰史書で、『日本書紀』に続く六国史の第二に当たる。菅野真道らが延暦16年（797年）に完成した。
文武天皇元年（697年）から桓武天皇の延暦10年（791年）まで九十五年間の歴史を扱い、全四十巻から成る。奈良時代の基本史料である。

延喜式（えんぎしき）
平安時代中期に編纂された格式（律令の施行細則）で、三代格式の一つである。
三代格式のうちほぼ完全な形で残っているのは延喜式だけであり、かつ細かな事柄まで規定されていることから、古代史の研究では重要な文献となっている。
905年（延喜5年）、醍醐天皇の命により藤原時平らが編纂を始め、時平の死後は藤原忠平が編纂に当たり、927年（延長5年）に一応完成した。その後も改訂が加えられ、40年後の967年（康保4年）より施行された。
全50巻、約3300条からなる。律令官制に従い、巻1～10の神祇官関係の式、巻11～40の太政官八省関係の式、巻41～49のその他の官司関係の式、巻50の雑式の順となっている。
神祇官関係の式のうち、巻8には祝詞（のりと）が掲載されている。巻9・10は神名帳（神社の一覧表）となっていて、祈年祭奉幣を受けるべき2861社の神社が記載されている。延喜式神名帳に記載のある神社を一般に式内社と言って社格の一つとされ、当時朝廷から重要視された神社であることを示している。現在では消滅したり不明となっている神社も多い。

高天原（たかあまはら、たかのあまはら、たかまのはら、たかまがはら）
天津神（あまつかみ）の住まう場所、一般に天上にあると考えられているが、九州、大和等実在の場所という説もある。
地上の人間の住む世界は葦原之中津国（葦原中国）、根の国・黄泉（よみ）が地中にあるとされる。

天津神（あまつかみ）
高天原にいる、または高天原から天降った神の総称。天神ともいう。

国津神（くにつかみ）
地に現れた神々の総称とされる。天神に対し地祇ともいう。

葦原中国（あしはらのなかつくに）
日本神話において、高天原と黄泉の国の間にあるとされる世界。転じて日本の国土の異称。豊葦原中国（とよあしはらのなかつくに）とも呼ばれ、単に中津国（中つ国）とも言う。
神々の住む天上世界である高天原と対比して、人間の住む地上世界を指すと考えられる。

● 古事記によれば高天原に相次いで三柱の神が生まれた。
・
天御中主神
（あめのみなかぬしのかみ）
・
高御産巣日神
（たかみむすひのかみ）
・
神産巣日神
（かむむすひのかみ）

● 続いて、二柱の神が生まれた。
・
宇摩志阿斯訶備比古遅神
（うましあしかびひこぢのかみ）
・
天之常立神
（あめのとこたちのかみ）
この五柱の神は地上に成り出でる神とは別の天神（あまつかみ）と称せらますが、性別もなく、表立って神話には登場していません。

天に現れた神々に続いて地上にも次々と神が現れた。脂のように漂っていたもののうちから

●　二柱の神が現れた。
１）
国之常立之神
（クニノトコタチノカミ　生まれるべき地を神格化した神）
２）
豊雲野神
（トヨクモノノカミ　脂のようなものが次第に凝り固まり、広々とした沼のようになって行くことを示している）
この二柱も単独の神で姿をみせることはなかった。

● 続いて、五組十柱の神々が現れた。それぞれ男女対の神でした。
３）
宇比地邇神
（ウヒヂニノカミ）－－
須比智邇神
（スヒヂニノカミ）
脂のように漂うもののうちから、潮と土とは次第に分たれて、ようやく砂や泥を混じえた沼となった事を示している
４）
角杙神
（ツノグヒノカミ）－－
活杙神
（イクグヒノカミ）
沼地の泥が次第に固まり、角のように春芽が芽吹いて育って行くことを示している
５）
意富斗能地神
（オホトノヂノカミ）－－
大斗乃弁神
（オホトノベノカミ）
すなわち広やかな大地がここに固まったことを示している
６）
於母陀琉神
（オモダルノカミ）－－
阿夜訶志古泥神
（アヤカシコネノカミ）
男神が大地の表が不足なくととのったことを示し、女神は現れるとき時に「あやにかしこし」とあげた悦びの声を神格化したものである
７）
伊邪那岐神
（イザナギノカミ）－－
伊邪那美神
（イザナミノカミ）
互いに誘いあった神の意味である。
最初の単独の二柱をそれぞれ一代、男女の神五組それぞれを一代と数えクニノトコタチノ神からイザナミノ神に至るまでを神代七代と言う

常世
記紀神話によると、大国主命とともに国造りを行った少彦名神は国造りを終えた後に海の彼方にある常世の国に行ったという記述がある。 転じて、常世の国を死者の国や黄泉をあらわすともされる。
また、浦島太郎が行った竜宮城も万葉集では常世と記され、現実の世界とは時間の流れが著しく違う。このことから不老不死の楽園をあらわす考え方もある。
日本書紀の天照大神から倭姫命への神託では、伊勢を「常世の浪の敷浪の帰する国」とある。

天の八衢(やちまた)
高天原から中津国への途中の色々の方向への分かれ道。

祓詞
掛けまくも畏きいざなきの大神
筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に
御禊祓へ給ひし時に
生り坐せる祓戸の大神等
諸々の禍事罪穢有らむをば
祓へ給ひ清め給へと白す事を聞食せと
恐み恐みも白す

神武(ｼﾞﾝﾑ)
畝火（ｳﾈﾋﾞ）の白檮原（ｶｼﾊﾗ）（奈良盆地南部）に宮殿　陵は畝火（畝傍）山の北方、白檮の樹の生い茂った山裾のほとり

綏靖（ｽｲｾﾞｲ）
葛城（奈良盆地南西部）の高岡に宮殿　陵は衝田（ﾂｷﾀﾞ）の岡

安寧（ｱﾝﾈｲ）
片塩（ｶﾀｼｵ　奈良県大和高田市）の浮穴（ｳｷｱﾅ）に宮殿　陵は畝傍山の陰処に当たる場所

懿徳（ｲﾄｸ）
軽（ｶﾙ)）の境岡（ｻｶｲｵｶ）に宮殿　陵は畝傍山の真名子谷の上

孝昭（ｺｳｼｮｳ）
葛城の掖上（ﾜｷﾉｶﾐ）（御所市）に宮殿　陵は掖上の博多の山の上

孝安（ｺｳｱﾝ）
葛城の室（御所市）に秋津島の宮　陵は玉手の岡の上

孝霊（ｺｳﾚｲ）
黒田に盧戸（ｲｵﾄﾞ）（奈良県田原本町）の宮　陵は片岡の馬坂（奈良県王寺町）の上

孝元（ｺｳｹﾞﾝ）
軽に堺原の宮（橿原市）陵は剣の池の中岡（橿原市）の上

開化（ｶｲｶ）
春日の伊邪河（ｲｻﾞｶﾜ）（奈良市）に宮殿　陵は伊邪河の坂の上

崇神（ｽｼﾞﾝ）
師木（ｼｷ）（奈良県桜井市）に水垣の宮　陵は山辺道（ﾔﾏﾉﾍﾞﾉﾐﾁ）の勾（ﾏｶﾞﾘ）の岡の上

垂仁（ｽｲﾆﾝ）
師木（ｼｷ）（奈良県桜井市穴師）に玉垣の宮　陵は菅原の御立野（奈良市尼ヶ辻）の中

景行（ｹｲｺｳ）
纏向に日代の宮　陵は山辺の道（奈良盆地東端の古い街道）の上

成務（ｾｲﾑ）
近淡海（ﾁｶﾂｵｳﾐ）の志賀の高穴穂（大津市穴太）に宮殿　陵は沙紀（ｻｷ）の多他那美（ﾀﾀﾅﾐ）（奈良市山陵町）

仲哀（ﾁｭｳｱｲ）
穴門（ｱﾅﾄﾞ)の豊浦（ﾄﾖﾗ）（下関市長府豊浦）に宮殿、後に筑紫の訶志比（ｶｼｲ）（福岡市東区香椎）に宮殿　陵は恵賀の長江（藤井寺市藤井寺）大后は神功（ｼﾞﾝｸﾞｳ）皇后：新羅を伐つ

応神（ｵｵｼﾞﾝ）
軽島に明の宮（ｱｷﾗﾉﾐﾔ）（橿原市大軽町）陵は恵賀の裳伏の岡（羽曳野市誉田）

仁徳（ﾆﾝﾄｸ）
難波に高津の宮（大阪市中央区法円坂）陵は毛受（ﾓｽﾞ）の耳原（堺市大仙町）

履中（ﾘﾁｭｳ）
大和の伊波礼（ｲﾜﾚ）（桜井市池之内）に若桜の宮　陵は毛受（ﾓｽﾞ）

反正（ﾊﾝｼｮｳ）
多治比に柴垣の宮（羽曳野市丹比）　陵は毛受野(ﾓｽﾞﾉ)（堺市三国ヶ丘）

允恭（ｲﾝｷﾞｮｳ）
遠飛鳥（ﾄｵﾂｱｽｶ）に宮殿　陵は河内の恵賀の川岸をのぞむほとり

安康（ｱﾝｺｳ）
石上（ｲｿﾉｶﾐ）（天理市田町）に穴穂の宮　陵は菅原の伏見の岡（奈良県宝来）

雄略（ﾕｳﾘｬｸ）
大和の長谷（ﾊﾂｾ）（桜井市脇本）に朝倉の宮　陵は河内の国多治比の高○（亶に鳥）（ﾀｶﾜｼ）（羽曳野市鳥泉）

清寧（ｾｲﾈｲ）
大和の伊波礼（桜井市池之内）に甕栗（ﾐｶｸﾘ）の宮

顕宗（ｹﾝｿｳ）
近飛鳥に宮殿　陵は片岡の石坏（ｲﾜﾂｷ）（香芝市今泉）の岡

仁賢（ﾆﾝｹﾝ）
大和の石上（天理市田部市）に広高（ﾋﾛﾀｶ）の宮

武烈（ﾌﾞﾚﾂ）
大和の長谷（ﾊﾂｾ）（桜井市初瀬字出雲）に列木（ﾅﾐｷ）の宮　陵は片岡の石坏（ｲﾜﾂｷ）（香芝市今泉）の岡

継体（ｹｲﾀｲ）
大和の伊波礼（ｲﾜﾚ）（桜井市池之内）に玉穂の宮　陵は三島の藍（ｱｲ）（大阪府茨木市太田）

安閑（ｱﾝｶﾝ）
大和の勾（ﾏｶﾞﾘ）に金箸（ｶﾅﾊｼ）の宮　陵は河内の国の古市の高屋の村（羽曳野市古市）

宣化（ｾﾝｶ）
大和の檜坰（ﾋﾉｸﾏ）（奈良明日香村檜前）に廬入野（ｲｵﾘﾉ）の宮

欽明（ｷﾝﾒｲ）
大和に師木島（ｼｷｼﾏ）（桜井市金屋）の大宮

敏達（ﾋﾞﾀﾂ）
大和に他田（ｵｻﾀﾞ）（桜井市戒重）の宮　陵は河内の科長（ｼﾅｶﾞ）（大阪府太子町太子）

用明（ﾖｳﾒｲ）
大和に池辺（ｲｹﾉﾍﾞ）の宮（桜井市阿部）　陵は科長（ｼﾅｶﾞ）（大阪府太子町山田）

崇峻（ｽｼｭﾝ）
大和の倉椅（ｸﾗﾊｼ）（桜井市倉橋）に柴垣の宮　陵は倉椅の岡の上

推古（ｽｲｺ）
大和（奈良県明日香村）に小治田（ｵﾜﾘﾀﾞ）の宮　陵は科長（ｼﾅｶﾞ）の大陵（大阪府太子町春日とあるが山田に有る山田高塚古墳がそれであるとされている）