革の物作りを始めてみませんか。革の物作りをするときの基礎知識や作業工程の一例を紹介します。
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TUZIE実験室その1
鉄染みの除去


 鉄と革のタンニンが反応してできる青黒い鉄染み。鉄はどこにでもある金属で、いつの間にか指紋のあとが青黒く付いていると言うことがありますね。

 鉄染み除去に、私は蓚酸(しゅうさん)を長い間使っていたのですが、革のクラフトの先輩からレモン果汁の使用を勧めていただきました。

 ここで紹介するのは、その時おこなったテストです。

 レモン果汁の中の有効成分が、どうやらクエン酸のようなので、レモン果汁とクエン酸水溶液、そして従来からの蓚酸水溶液の3種を試しました。

鉄染み
 上の写真は、むりやり革に鉄の汚れを付けたものです。革を濡らしておいて、ダイヤモンド砥石で革包丁を研いだ研ぎ汁を、革にこすりつけました。ふだんは、このようにひどい鉄の汚れに出会うことはないわけですが、わかりやすいように激しく汚しました。
鉄染み
 一面が鉄で汚染されていた革に、鉄染み除去のために、それぞれ違う液を塗布しました。鉄染みが除去されて、あるいは薄くなって、白い筋ができています。


 左端 : レモン果汁。市販のボトル詰めの物を原液で塗布。

 左から2〜4番目 : クエン酸水溶液。左から順番に、1%・2%・5%・10% です。

 右から2番目 : 蓚酸水溶液 0.4%。

 右端 : レモン果汁を2倍に薄めたもの。


 以上のように塗布しました。ご覧のように、それぞれ効果がありますね。全くの当てずっぽうですが、レモン果汁はクエン酸の濃度が5〜10%とけっこう濃いのではないかと思っています。

 実験とは言っても、でたらめなものですので、濃度も私の都合で適当に決めています。

 実際には、これほどひどい鉄染みを対象とすることはないと思うので、レモン果汁もクエン酸もそれほど濃い物は必要ないのではないかと思います。

 それぞれphは3前後だと思われますので、渋鞣しの革に悪影響はないと思われます。教えてくださった先輩の経験上も、悪影響はないとのことでした。

 以上のように、レモン果汁とクエン酸水溶液で好結果が得られた以上、鉄染み除去に劇薬の蓚酸を使用する必要性はありませんね。

 私のHPで、当初は蓚酸を使用すると書いてしまいましたが、ここであらためてレモン果汁またはクエン酸水溶液の使用を勧めます。

 レモン果汁は、レモンをお絞りになるか食品店でボトル詰めの製品をどうぞ。クエン酸は薬局などでお求めください。(2003年現在、近くの薬局では、25g入りが300円。500g入りが1200円でした。)


 レモン果汁とクエン酸水溶液が有効なのは、クエン酸が金属と反応して無色の化合物を生成する性質があるからのようです。金属のマスキング剤としても使われると書いてありました。

 ところで、鉄とタンニンが反応した鉄タンニンインクですが、これはブルーブラックインクと言われる物と近い物ではないかと思われます。ブルーブラックインクの場合は、第1鉄イオンが酸化して第2鉄イオンになり、非水溶性の丈夫なインクとして紙に定着するのだそうです。(これは、インクの説明をしているサイトで共通の説明でした。意味はよくわかりませんが・・・・・。)

 インクには、いろいろな手が加えられているようですし、紙と革では違いがあるかもしれませんが、時間の経過で酸化して鉄タンニンインクの強度が増すのであれば、革に付いた鉄染みも早いうちに除去した方が良いような気がします。

 それから、革を始めた頃の話なのですが、蓚酸を硝酸と聞き間違って、硝酸の薄〜い水溶液を使ったことがあります。それでも鉄染みは落ちました。鉄染みは植物染料の鉄媒染状態とも言えますから、酸やアルカリなどに敏感なはずですし、ほとんどの酸は金属と何らかの反応するようですね。でも、必要のない劇薬を、身近に置くべからずです。

 蓚酸の他にも、アルコールや有機溶剤などの危険物が身近にあります。安全管理には、十分に気をつけましょう!

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