飛行機の爆音だの犬の鳴き声だのって!
近藤貞二普段私は都会人ぶっておりまして、これでも自分ではシティーボーイだと思っているのであります。はい。
ところがです、住んでいる所といえばしっかり田舎!!紛れもなく正真正銘の田舎!!
のはずでした!ところがところが、私が通勤のために毎日通っている道路は広くなったし、新しい道路もできました。おかげであっという間に新しい家やマンションが建ち並び、当然のことながら車も増えてビュンビュン走るようになりました。
とはいっても、田舎であることには変わりありません。
さて、私は毎日職場までの道のりを27・8分ほど歩いて通勤しています。その途中には、車がビュンビュン走る新しくできた道路を横切らなければならなくなりました。
しかも、その交差点を含めて近くには信号機はないのです。
私は車が近づいていないことを耳で確認すると、「えいやー」とばかりに、命がけで横断するわけです。
この交差点、これまでにも死亡事故は何件か起きているそうです。もちろん晴眼者です。
私も横断中に急ブレーキをかけられたことが何回かありました。そんな危険な状況ですので、信号機は設置していただけるように要望し、設置の確約はいただいていますが……優先順位があるとかでいつになるやら……。
数年過ぎましたがいまだにつきません。
とにかく、音だけで車の動きを知るには限度があります。この道路ができる以前ならそんな心配はなかったのに、見えない私がこれまでけがもなく横断できてるのが奇跡です。
で、私は当然耳で車の動きを十分確認しながら歩いているのですが、この交差点にさしかかる頃、いつも上空をジェット機が爆音をたててグオー…。どこへ向かう飛行機か知りませんけど、音を頼りに横断している私は、思わず白杖で突き落としてやりたくなる衝動を抑えながら、仕方なくジェット機の音が聞こえなくなるまで待つわけです。
その間、何分も待つわけではありませんけど、また、飛行機やそれに乗っている人たちに恨みがあるわけでもありませんけど、「自分たちが乗っている飛行機の爆音のために、私が今困っていることを知っている人は、あの飛行機に乗っている人の中にいったいどれくらいいるのだろうか?」と思ってしまうわけです。
さて、我が家の隣には新聞店がありまして、その新聞店の2階では犬を2匹もペットとして飼っています。
それ自体はどってことありませんけど、このバカ犬どもが毎日ワンワン キャンキャン鳴きわめき、それを注意するような飼い主の声も聞こえません。
そんなワンワンキャンキャンを毎日毎日聞かされている私としては頭が痛くなってしまうのであります。それも2匹でワンワンキャンキャンやられたらたまったもんではありません。
暖房や冷房を入れている時期ならともかく、季候のいい今の時期、あちらの窓は開いているのです。開いた窓からヒステリックにワンワンキャンキャン鳴かれては、隣の犬に恨みはないけれど、ついつい「じゃかましい!」と怒鳴ってやりたくなります。
犬が嫌いと言うわけではありません。犬がキャンキャン鳴くのも仕方がありません。けれど、周りに迷惑をかけないように配慮するのは飼い主の責任です。せめて、犬がいる部屋の窓ぐらい閉めて、鳴き声が外へ漏れないくらいの配慮はしてもらいたいものです。
ところで私は、毎日タバコを吸っています。1日に数本ですけど吸います。
ある日、友人数人で食事へ行った時のこと、私はいつものようにタバコを取り出してライターで火を付けて、気持ちよくスーパスーパ煙を吐いていました。
しばらくして向かいに座っていた友人が、「隣のテーブルの人が煙たそうな顔してるよ」と小声で教えてくれました。
またある日、我が家の窓を開けて、外へタバコの煙をはいていたら、例のヒステリー犬の家の窓がカラカラパタンっと閉じられる軽い音がしました。
私はタバコを吸いますけど、自分の部屋にタバコのにおいがこもるのがいやで、いつも窓を開けて外にタバコの煙を吐き出しているのです。
先にも書きましたように、私の家の隣は新聞店です。しかも、私の家の窓と隣の新聞店の窓との距離は3メートルも離れていませんので、あちらの犬の鳴き声もうるさく聞こえますが、私がはき出したタバコの煙も当然隣の家の中まで流れて行くのでしょう。
私ははっとしました。やれ飛行機の爆音だの、やれ隣の犬の鳴き声だの……。
私が迷惑を受けることもたしかにありますが、私も自分が気づかないうちに誰かに迷惑をかけていたのです。それに気づいたとき、自分はなんてエゴイストなんだろうと思いました。
もしかしたら、私が知らないところで、もっともっと誰かに迷惑をかけているかも知れませんね。
この文章を読まれている人の中にも、私から迷惑を受けておられる方もきっとあるのでしょうね。この場を借りて、ごめんなさい。
お、し、ま、い。