和装と洋服、どちらがお好き?

ロジェ

今年の梅雨はシトシト...というより、ザーッと3年前の東海豪雨を思い出させるような極端な雨の降り方が多いように思います。
 しかし、あと何日かでこの梅雨の時期も終わり、夏本番!こちらも梅雨同様、私にとっては苦手な季節となります。
 学生さんたちは夏休みに入り、あちこちで夏祭りや花火大会のイベントも盛りだくさん!
 今年は去年にも増して「浴衣」がテレビなどでよく取り上げられているようです。いつもなら水着の話題の方が多いのですが...。きっと、ユニクロが帯とセットの3980円なんていうものを販売するようになったからかもしれませんね。それに続けとばかりに4点セットで9800円というものを売り出した大手スーパーもあるようです。
 何年か前から若い女性の浴衣は段々と定着してきたようですが、今年の流行はパステルカラーなどのモダン柄ではなく、紺や白といった地味な色にとんぼなどのような古典柄のものが売れているとのことです。

先日、東京から来た友だちは最近和服にこっていて、浴衣やしわになりにくい化学繊維のモダンな着物を旅行先でも上手に自分で着ているのを見て、『あー、こうやって自分で着て着物も楽しめるといいなぁ...』と感じました。何しろ私などは振り袖をはじめ、浴衣を入れても数回しか着物を着たということがないのです。茶道や華道を習い続けていれば、きっと今頃はもっと着物にも感心や知識を持っていたかもしれません。
 その友人と話をしていて日本人でありながらあまりに和服のことを知らないことに愕然としました。高校生の家庭科の時間にほんの少し着物について勉強した覚えはありますが、部位の名前はおろか浴衣もきちんとはたためないのは恥ずかしいことです。西洋文化もいいですが、日本の文化も見直したいと感じました。

その友人が松坂屋が見たいというので、久しぶりに栄の松坂屋に行ってきました。もちろんメインは和装フロアです。
 友人は仕事で名古屋に来たのですが、仕事関係の人からも「名古屋なら一度は松坂屋を見ておいた方がいい」と言われたそうです。私も東京や他の地域に行くと時間があればデパートを見ます。出店しているブランドやメーカー名だけをみるとどこも同じように思いますが、その地域によってセレクトされている商品は微妙に違うものなのです。旅行慣れしている友人は、海外を含め時間がある時にはその地域にある動物園とデパートを見るそうです。これが意外に特色があって面白いという話も聞いたことがあります。
 JR名古屋高嶋屋が出来てから栄にまで行かなくても名古屋駅で用が足りてしまうようになったため、考えてみれば最近ゆっくりと栄のデパートを見ていませんでした。ましてや和装フロアなど私にはほとんど興味がないためそのフロアに降り立った記憶すらありません。

私の家からは松坂屋のある白川通り大津までバスで30分程度。バスを降り、いざ松坂屋へ!
 蒸し暑いので大津通りをわたって松坂屋の西側の入り口を入ろうとするとこの友人、「初めてのデパートはちゃんと正面の入り口から入る!」と言うのです。こういうこだわりのなかった私はそう言われて『松坂屋の正面入り口ってどこだったかしら??』と一瞬戸惑ってしまいました。建物にそって歩き、北側に正面入り口発見!そういえば、松坂屋の正面入り口ってここだったなぁ...と、見えていた頃の遠い記憶を思い出しました。
 ちなみに、この後行った三越でもちゃんとライオンの像がある正面入り口から入りました。

松坂屋の正面入り口を入ると友人は慣れた様子でフロア案内を見つけ、和装フロアの階数を確認。さすが元呉服屋からのでパート。最近フロアの片隅に追いやられる傾向のある和装コーナーも、ここではワンフロア丸ごと和装フロア。それを見つけた友人は急にニンマリ!あまりのうかれ気分でエレベーター前にたどりつく間に「あれっ、和装フロアって何階だったっけ?」と忘れてしまうほどでした。
 松坂屋は本館・北館(リビンザ)・南館と大きいのでこの正面入り口においてある館内案内の冊子を持って入ると便利です。友人のおかげで正面入り口にはこんな冊子がおいてあるのも初めて知りました。

さて、和装フロアに到着したものの出店されている和装バッグや草履のメーカーはもちろん友人の方が詳しいわけです。名古屋の松坂屋内とはいえもう私の出る幕はありません。友人の説明を聞きながらフロアをグルグル。私にとって嬉しいのは、この和装フロアは人が少ないため二人ならんで歩いてもほとんど人にぶつかる心配をしなくていいことでした。エアコンもよくきいていて涼しい!うーん、快適、快適!
 季節がら浴衣やじんべえ・サムエなどが多く陳列されていましたが、やはりこういうものにも地方色というものが表れるようです。東京では若者を意識してかモダンにアレンジされた柄や色が多いのだそうです。しかし、名古屋では伝統的な柄や色・デザインがほとんどのようで、友人はそれを見てテンションは挙がるばかりです。
 それほど種類などないと思っていた肌襦袢でさえ東京では見かけないものがあったらしく、荷物になるのにもかかわらずそれを買っていました。
 その時説明して下さっていた店員さんが私たちが足袋を見ていると、「こんなのもあるんですよ。」と出して下さったのがシークレットブーツならぬシークレット足袋!足の底の部分に草履の底のような感じであげ底になっているのです。披露宴やパーティなどの時にはくために買われていく方が多いのだそうです。でも、この足袋をはいてお茶席には座れませんね。底がおしりにあたって痛そうですもの!
 しかし、和装イコール伝統的とばかり思っていましたが、こういった笑わせてくれるような新しいアイデアものも出ているんですね。堅苦しい和装のイメージが少し変わりました。
 また、精算カウンターのところには伊勢えびのガラス細工が売られていました。こういうものも和装フロアにあるのか...と、意外な感じがしました。
 店員さんたちの間ではその赤い伊勢えびのガラス細工を「伊勢えび」ではなく、「ざりがに」と呼んでいたそうです。
 友人はこの後、飛騨の刺しこのきんちゃくを買い、後日名鉄百貨店でもあれこれと買って帰ったようです。

和装フロアを出てからは北館の食器売り場で私のためにマグカップをあれこれと見て回りました。
 作家さんの作品で陶器のふたつきのマグカップとウェッジウッドの花柄のブルーのグラデーションのカップがステキだったのですが、陶器の方はカップだけでかなりの重量があり、ウェッジウッドの方は普段つかいのマグカップに3,500円は適当か...と考えてしまい結局どちらも買うまでにはいたりませんでした。

その後、私たちは南館の宝来軒(ホウライケン)で少し遅い昼食を満喫!

 昨年の秋に来た時に一緒にひつまぶしを食べてから友人はすっかりひつまぶしのとりことなってしまったようです。昨年は同じ宝来軒でも熱田神宮に近い本店に行ったのですが、この松坂屋のお店はまったく違った雰囲気でした。
 お値段はお安いとは言えませんが、やっぱりおいしいものはクセになるようでまた食べたくなるものですね。

おなかがいっぱいになったところで、今度は私が開店当時からずっといってみたかった「オペーク」につき合ってもらいました。
 オペークは銀座・大阪にあったのですが、2年ほど前に名古屋にも出店したのです。名古屋のオペークはガスビルの隣にあります。3階程度の建物ですがガラスばりの建物のため夜になると中の光がボーッと浮き出た感じになってキレイです。最近、東京に出店する一流ブランドのビルはこういったグラスタワーのものが多く見られるようです。銀座のエルメスはペイルグリーンに浮かび上がって建物だけでも一見の価値はあるそうです。

さて、このオペークは私にとって嬉しい発見でした。というのも、商品の雰囲気が私の好きなヨーロビアンテイストだったからです。
 もともと、オペークははたらく女性を対象としていて、フロアごとにオフスタイルファッション・ウィークデイファッション・ランジェリーやネイルサロンなどのように分かれています。お洋服だけでなく靴やアクセサリー、バッグといったトータルで楽しめます。
 バッグのコーナーで夏向きの白いレースにブラウンの皮のショルダーベルトのステキなバッグを発見!7800円というそれほど高くはないお値段だったので買おうかどうしようかと迷っていたところ、友人が「買ってあげる!」と一言。らっきー!!やはり持つべきは仕事を持った自立しているお姉様の友人!?しっかりとこの一言にあまえさせていただき、自分では今年流行のアクリルリングをget!

これからもこのオペークは、チョコチョコとのぞきに行きたいと思います。
 自分の好みにあったお店をいくつか知っておくといざという時に便利です。カジュアルなものはこのお店...とか、コンサバならここ...、モードっぽいものを探すならあのブランド...といった具合に自分の好みと自分に似合うブランドやお店の雰囲気をつかんでおくことは大切ですよね。
 しかし、最近はそのブランドでも専属デザイナーが入れ替わったりすると今までのイメージはガラッと変わってしまうためちゃんとチェックしておくことが必要となります。
 和装フロアも楽しかったですが、やはり私にはこちらの西洋テイストの方が興味深かったです。
 でも、この友人のおかげでテレビやラジオを聴いていても日本の伝統のものに対して反応するようになりました。
 この辺りには有松しぼりや美濃和紙、飛騨の刺し子...などなど、たくさんの伝統美が残っていることに改めて気づかされました。それらの歴史や制作方法を聴くだけでも楽しく感じます。
 これをきっかけにこれからは日本の伝統やこの地方のものにも目を向けていきたいと思います。