旅立ち
浅賀品子
電話のベルが鳴った
私は急いで受話器を取った
「お母さん 今から飛行機に乗る所なの
お父さんに宜しくね」
ああ やっぱりそうだった
心なしか弾んだ声だ
「はい 分かったよ
くれぐれも気をつけてね」
彼に変わった
「僕が守って行きますから」
「我侭な娘だけれど宜しくね」
私は できる限り明るい声で言った
カナダへ結婚式に旅立とうとしている 二人
反対していた夫を説得して
誰の見送りもなく
二人だけの 新しい人生の旅立ちだった
受話器を静かに置くと
あふれる物を抑えきれずに
二階へ駆け上がった
ほんの少し窓を開けると
空港の方に向かい手を合わせた
そして ただひたすらに 二人の無事を祈った
四月の風が 涙に濡れた頬を 優しく撫でて行った
(詩) 友よ
さだめの道の険しさに つまずいた時
足元に 優しくほほえむ花がある
冷たい雨に 立ち尽くした時
そっと差し出す 傘がある
やるせない思いに涙して 眠れぬ夜は
母の声の 子守唄
さあ 友よ 一人ではないから
勇気を出して
重い扉の向こうには
きっと誰かが 貴方を待っている
☆以上です。下手な作品で恥ずかしい!!