「はじめに」から引用する。
「無限を完全になっとくすることは永遠にできない.だから面白いのだ」 ということをなっとくしていただければ,著者としてそれほどうれしいことはない.
なお本書刊行後、同じ著者のブルーバックスとして「無限とはなんだろう 限りなく多く、大きく、遠いふしぎな世界」が刊行された。
ブルーバックス版を紹介する講談社のホームページには、本書は『なっとくする無限の話』(講談社 2004年4月)のブルーバックス版です。
とある。私が読んだのはブルーバックス版ではない単行本である。
p.34 から引用する。
`epsilon-n` 論法での収束は次のとおりである.
収束の定義(`epsilon-n` 論法) 数列 `{a_n}` が `a` という値に収束するとは,任意の正の数 `epsilon` に対して,ある番号 `m` を決めると,`n ge m` をみたす任意の `n` に対して `abs(a_n - a) lt epsilon` となることと定義する.このとき,`lim_(n -> oo) = a` と表す.
ここでは,「限りなく近づく」という考え方が消えてしまっている.論理を用いて収束をゲーム的に考え,無限の議論をうまくさけることができたのである.
わたしもこの記述に納得している。`epsilon-n` 論法は後だしじゃんけんの理屈だと私は思っているからだ。
p.153 の図 7.3 には「巨大な個数」というキャプションがある。この図を見てみると、巨大な個数にいろいろあって、さらに階層があるので目がくらくらする。 巨大な個数のことを専門用語では巨大基数というのだが、この巨大基数を研究している人たちには畏敬の念を覚える。
書名 | なっとくする無限の話 |
著者 | 玉野研一 |
発行日 | 2004 年 4 月 30 日 第 1 刷発行 |
発行元 | 講談社 |
定価 | 2700 円(本体) |
サイズ | A5 判 188 ページ |
ISBN | 4-06-154548-5 |
備考 | 越谷市立図書館で借りて読む |
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