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トップページ> 映画>レビュー> 2006年> 6月
June, 2006
花よりもなほ
監督: 是枝裕和
脚本: 是枝裕和
音楽: タブラトゥーラ
出演: 岡田准一、宮沢りえ
古田新太、國村隼
中村嘉葎雄、浅野忠信
原田芳雄、香川照之
田畑智子、夏川結衣
石橋蓮司、上島竜兵
木村祐一、千原靖史
加瀬亮、寺島進
平泉成、絵沢萌子
公式サイト(日本語)
是枝裕和にもハズレなし! ★★★★
父の仇を討つために東京・深川の貧乏長屋に住み着いた
田舎侍が繰り広げる、笑いあり、涙ありの人情時代劇。
誰も知らない』で一躍脚光を浴びた是枝監督が
初めて挑戦した非ドキュメンタリータッチの作品になります。

上に書いた出演者の顔ぶれを見ていただければわかるとおり、
隅から隅までずずずいっと豪華でございます!そして、その
メンツの顔をつぶすことなく、みんなの持つ味わいが
作品にうまく活かされていて、すばらしかった!
貧乏長屋を舞台にした時代劇として
オレのアタマに思い浮かんだのは、三谷幸喜脚本の
竜馬の妻とその夫と愛人』でした。
あれも笑いあり涙ありの時代劇でしたけど、
この『竜馬』と『THE有頂天ホテル』を足したあとに
ピカピカに磨きをかけたのが、
この『花よりもなほ』だったんじゃないかと思うのです。

つまり、心温まる楽しい傑作だ!と言いたいのであります。

ま、なんといっても、この素晴らしい雰囲気作りを
先導しているのは岡田くんでしたね!
ジャニーズに置いておくにはもったいない(?)
彼の演技力ですが、この映画における(いい意味での)
「存在感のなさ」がすごい!と思いました。うだつのあがらない
でも、優しくて他人の気持ちを理解できる、縁の下の力持ちタイプ
である主人公のキャラを完全にモノにしていましたねー。
いや、素晴らしかった!
そして、同じ長屋に住むビンボー町民の面々が、これまたサイコー!
社会の底辺にいる人間の、哀しくも楽しい日々の暮らしぶりが
にじみ出てましたよ。
「ま、なんとかなるさ」的な「毎日生きられることを
おてんとさんに感謝しつつ、その日その日を暮らしてる」的な
ノーテンキさがうらやましいなぁと、つくづく思いましたね。

そして、人の「命」というものの扱いが、重すぎず軽すぎず
いい塩梅なんですわ。江戸時代という時代がそうさせてたのかも
しれないなぁと思うと、なんだかうらやましくなってきました。
冷たいような温かいような、
無関心なようなそうでもないような、
勝ち組負け組の二極化ではなくて、
「負けるが勝ち」みたいなあいまいさがね、いいんです!

そんな、なんでもかんでもはっきりさせなくてもいいじゃん。
毎日を気分良く暮らせれば、それでよいではないか。
小市民の正直な人生観。
posted on 2006.06.28
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ナイロビの蜂
The Constant Gardener
監督: フェルナンド・メイレレス
原作: ジョン・ル・カレ
脚本: ジェフリー・ケイン
音楽: アルベルト・イグレシアス
出演: レイフ・ファインズ
レイチェル・ワイズ
ダニー・ヒューストン
ユベール・クンデ
ビル・ナイ
ピート・ポスルスウェイト
公式サイト(英語)
公式サイト(日本語)
第78回アカデミー賞最優秀助演女優賞受賞
フェルナンド・メイレレスにハズレなし。 ★★★★☆
スパイ小説で有名(だそう)なジョン・ル・カレの小説を
シティ・オブ・ゴッド』で鮮烈な世界デビューを果たした
ブラジル人監督フェルナンド・メイレレスが映画化した作品。

アフリカで暮らす英国外務省一等書記官ジャスティンと
妻テッサ。だがある日、テッサが謎の死を遂げ、
ジャスティンはその原因を追求していく中で、
彼女がその信念のために巨大な陰謀に巻き込まれていたこと、
そして、彼女の真実の愛を知る…。

というお話。
いやー、よかったですぅ!

アフリカとイギリスを舞台にした
製薬会社の陰謀をめぐるサスペンスであるにもかかわらず、
ひとつの夫婦の物語がしっかりと描かれていて、しかも
その両方が絶妙な折り重なり方をしてるんっすよね〜!
このへんは撮影力と編集力の勝利かもしれません。

そして、この監督の作品は
「しっかりと地に足がついてるなぁ」という印象がありますね。
物語も映像も、観客と近い目線に立っているので、
すごく同化しやすいというか、入り込みやすかったんです。
いつも冷静な夫といつも熱い妻という、
一見まったく噛みあわなそうな夫婦に見えるのに
実はお互いに唯一無二な存在であるわけで、
その点の設定に説得力を持たせるためには
役者さんの自然な演技力が最大限求められると思うんですけど、
そのへんがもうお見事でした!カンペキでしたよ。

最初はダンナの境遇に同情というか、ああはなりたくないな
と思って観てましたけど、最終的には「
ああいう夫婦って、いいな」ってうらやましくなりましたから。

それにしても、あのセリフはジーンとくるなぁ。
予告編でも使われてたセリフなんですけど、

危険が迫る主人公に対して、ある人が言うんです。
「お前、もうアフリカでのことは忘れて、家に帰れ」と。
そしたら、主人公はこう言うんですよ。

「わたしにはもう、帰る家がないんだ。
 テッサ(奥さんの名前)が家だったんだから」

ドワッーーーーーーと鳥肌が立ちました、このシーン。
これを聴けただけでも、この映画を観た甲斐があったわ!
posted on 2006.06.12
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明日の記憶
Memories Of Tomorrow
監督: 堤幸彦
原作: 荻原浩
脚本: 砂本量、三浦有為子
音楽: 大島ミチル
出演: 渡辺謙、樋口可南子
坂口憲二、田辺誠一
袴田吉彦、吹石一恵
香川照之、水川あさみ
及川光博、遠藤憲一
渡辺えり子、大滝秀治
公式サイト(日本語)
こんな夫婦になりたいなぁ。 ★★★
毎日愛読している「ほぼ日刊イトイ新聞」で
思い入れたっぷりの連載を読んでいた人間としては
否応なく期待せざるを得ない映画となっていた
この『明日の記憶』という作品。
ようやく観に行くことができました。
映画館内の客層は、(想像通り?)おばちゃん中心で
話題性の高さをうかがうことができました。

さて、「若年性アルツハイマー病」を題材にしたこの映画。
『トリック』や『ケイゾク』など、トリッキーな作品を
多く生み出してきた堤監督でだいじょうぶなの?と
最初は不安に感じましたが、それはまったくの杞憂でした。
ごくごく真っ当な、直球勝負の映画でしたね!
観ててすがすがしさすら感じました。

こういうのも、やればできるんじゃん!

「世界のケンさん」というと、高倉健ではなくて渡辺謙だ
という時代がそろそろ到来しつつある、渡辺謙さんと
イトイさんの奥方でもあり、最近はことごとく良作にしか
出演していないのではないか?と思われるほど、
すばらしい選球眼と演技力を持った樋口可南子さん。

この二人がそろえば、どう転んでも平均点以上のものは
できあがるんでしょうね。

それほどまでに、この二人はすばらしい「夫婦」でした。
鬼気迫る役者魂みたいなものを、
静かに、だけどまざまざと見せ付けられた感じ。脱帽です。
そして、その二人に絡む脇役たちがまた印象的でした。
他社でありながら信頼すべきパートナーを演じる香川さん、
陶芸家のボケジジイ、大滝さん、
アルツハイマー患者への悪影響をほんのりほのめかす木梨憲武、
佐伯さん(主人公の名前)の上司であり動機でもあるエンケンさん
(ミュージシャンのエンケンさんとは別人)などなど。
あ、あと、忘れちゃいけない、お医者さん役のミッチー!
出番は少ないけど、すばらしいスパイスを効かせてました。

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で、映画の総合的な雰囲気としては、
へヴィーな題材のわりにはさほど暗くなく、
深いんだけど、必要以上の深さを(観てる側に)感じさせない
明るさがあったように思います。
ま、それがよかったのか悪かったのかは、
観る側の受け取り方次第ですが、オレの個人的な意見としては
"もうちょっと暗い面も見たかったかなぁ"ってとこです。
根が暗いものですから…。すいません…。
っていうか、映画観ながら、すでに
「自分が同じ病気になったら?」を考え始めて、少し凹んでた…。

最近、同じ題材を扱った韓国映画がありましたよね。
私の頭の中の消しゴム』です。
映画を観終わってから、友人の指摘によって
「あ、そういえば同じ題材だね〜」なんて気づいた
鈍感なオレですが、どちらの映画にも同じような雰囲気が
あったように思います、そういえば。

なので、点数も両者引き分けということで。
posted on 2006.06.05
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