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トップページ> 映画>レビュー> 2006年> 5月
May, 2006
グッドナイト&グッドラック
Good Night, And Good Luck.
監督: ジョージ・クルーニー
脚本: ジョージ・クルーニー
グラント・ヘスロヴ
出演: デヴィッド・ストラザーン
ジョージ・クルーニー
ロバート・ダウニー・Jr
パトリシア・クラークソン
ジェフ・ダニエルズ
フランク・ランジェラ
レイ・ワイズ
公式サイト(英語)
公式サイト(日本語)
こういうキャスターがいなければなりませんよ! ★★★★
1950年代、不当な権力に対抗し、
「赤狩り」と呼ばれた時代に終止符を打った
伝説的なニュースキャスター、エド・マローと
彼とともに闘った男たちの実話に基づく物語。

こんなに熱い闘いを、こんなにも冷静に描けるとは
監督2作目とは思えませんね、ジョージ・クルーニーさん!
彼のお父さんもテレビのキャスターをやっていたそうで、
この物語の主人公エド・マローの映画を作ることは
お父さんへの敬意も込めた、彼のライフワークだったそうです。
それなら、なおさら、この冷静さはすごい!

エド・マローさんという人の持つ「冷静さ」が
映画全体のトーンとして表現されていたのかもしれません。

-----

オレは、アタマがいいわけでもなければ
政治・経済・歴史・世界情勢などなど、何も知りませんし、
確固とした意見・主義・主張などなど、何もありません。
バカな小市民です。でも、そんなオレでさえ、
最近のテレビには飽き飽きしています。
どれもこれもくだらない。
とは言いつつも、「めちゃイケ」とか「エンタの神様」とか
超くだらないバラエティー番組が大好きなのですが、
(自分で書いててすごく矛盾を感じます…)
でも、どーしても見なきゃいけないものではない、と
思っています。

できれば、オレの身近で起きている、
でも、オレが知らない、オレには難しすぎて理解できない
たくさんの事柄について、テレビに教えて欲しいのです。
何も考えず、ただ笑いたいがためにテレビを見るよりも、
テレビを通じて、何かを知りたい。そう思います。

いま、そうやって教えてくれる番組は少ないです。
純粋な「報道番組」など、日本ではすでに絶滅して
しまったのでしょうか?(あれば教えてください)
どの番組も「劇場型」で、冷静さに欠けるし、
「即効性」だけを求めて、深追いしません。
ひとつひとつの話題にかける時間が
圧倒的に少ないと思うんです。
「小さな悪」はコテンパンにやっつけようとするのに、
「大きな悪」については見て見ないフリをしてるのでしょうか?
日々の重要な出来事をわかりやすく教えてくれるのが
NHKの「週刊子どもニュース」だけというのは
あまりにもひどすぎるんじゃないかなぁ。

もっともっと、硬派な報道番組が見たいのです。
もっともっと、知的で冷静なキャスターの言葉が聞きたいのです。
ワイドショーなんかいらない。
みのもんたなんかいらないから、
次世代の筑紫哲也が出てきてほしいし、
あわよくば日本にもエド・マローのような人物が
出現してくれることを、切に願います。

あぁ、映画のことは何ひとつ触れられぬまま、終わってしまう…。
posted on 2006.05.30
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ヒストリー・オブ・バイオレンス
A History Of Violence
監督: デヴィッド・クローネンバーグ
原作: ジョン・ワグナー
ヴィンス・ロック
脚本: ジョシュ・オルソン
音楽: ハワード・ショア
出演: ヴィゴ・モーテンセン
マリア・ベロ
エド・ハリス
ウィリアム・ハート
アシュトン・ホームズ
ピーター・マクニール
公式サイト(英語)
公式サイト(日本語)
表が裏で、裏が表で。 ★★★★
アメリカの片田舎で食堂を経営しているトムと
弁護士であるエディのストール夫妻は
ふたりの子供とともに幸せな毎日を過ごしていた。
そんなある日、食堂が二人の強盗によって襲われた。
トムはとっさに逆襲、二人を射殺し、一躍ヒーローと
なったのだが、その光景をテレビで見た不審な男たちが
トムのまわりをうろつくように…。そして、次第に
隠されていたトムの過去が明らかになってゆく。

というお話。

この題材、ありがちといえばありがちなテーマですが、
これからいざ結婚しよう!としているわたくしにとっては
非常に興味深いものでした。

最愛の伴侶に、自分の知らない過去があると知ったら?
優しい夫が、実は殺人犯だったら?

考えただけでもおそろしいお話です。
よくドラマなんかで言われる
「キミがこれまでどんな人生を歩んできたかは関係ない。
 ボクは今のキミが好きなんだ」
的なセリフがいかに空虚か!ってことですよね。

「汚れた過去」と「長年のウソ」が積み重なれば
その人の信用は地に堕ちます。
「もう一緒には暮らせない」
そう思うんでしょう、きっと。
でも、信用できないと思う気持ちと
「やっぱり好きだわ」という気持ちで葛藤が起きる
ということも想像できるわけで、ほんと、そういう状況に
なってみないと、どんな気持ちになるのかわかんないなー
と思いました。

この映画の中盤、まるで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の
ジャック・ニコルソンとジェシカ・ラングが台所でやってたことに似た
激しいシーンがありました。
いけないことほど燃え上がる、的な感じや
それまでの仮面を脱いだ瞬間みたいなものがすごくうまく
表現されてて、よかったですねー。
もしオレが10代でこのシーンを見たならば、
心臓バクバクさせながら、ズボンにテントを張っていたことでしょう。

映画全体をみても、すごく締まりのある内容で
シンプルなように見えて、実はいくつもの意味が隠されている
構成がお見事!
いろんな意味での「ヒストリー」が垣間見えました。
歴史は続くんですよね〜。
posted on 2006.05.24
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ダ・ヴィンチ・コード
The Da Vinci Code
監督: ロン・ハワード
原作: ダン・ブラウン
脚本: アキバ・ゴールズマン
音楽: ハンス・ジマー
出演: トム・ハンクス
オドレイ・トトゥ
イアン・マッケラン
ポール・ベタニー
ジャン・レノ
アルフレッド・モリーナ
ユルゲン・プロホノフ
公式サイト(英語)
公式サイト(日本語)
んー、期待はずれ!? ★★☆
この週末に全世界で公開され、歴代2位のオープニング記録を
叩き出したという、ベストセラーの映画化です。
(ちなみに1位は『スター・ウォーズ EP3』!!)
テレビなどで大々的に取り上げられているので、
ここで言うまでもないですよね。

オレも、かれこれ1年以上前になりますか、原作本を読んで
トリコになった人間のひとりですし、
(ストーリーは大部分が記憶から消去されてましたけど…)
ロン・ハワード監督の映画も好きなほうですので、
まあまあ期待して観に行きました。
日曜日の朝一番でも、劇場はほぼ満員。

ルーブル美術館の館長ソニエールが何者かによって
殺害されるシーンからスタート、世界最大の隠蔽工作の全貌が
明らかにされるまでの2時間半を楽しむことができました。
それなりに…。

オレが個人的にこの原作のなかで一番興奮して読めたのは
リー・ティーピング卿の邸宅へ逃げ込んで、「最後の晩餐」の
種明かしをする場面。詳細かつ大量、理路整然とした謎解きと
同時に、サスペンスが進行するドキドキワクワク感がたまり
ませんでした。本についてた「最後の晩餐」の絵と、文章を
代わる代わる見比べながら、ノンストップで読んだ記憶が
あります。映画版でも、あの興奮を味わえれば…と思ってた
んですけども。

結果的には、
そこまでのカタルシスを得ることはできませんでした。
あの長編を2時間半に収めつつ、
エピソードをほぼ網羅するために
各場面に対してあまり時間をかけられなかったのかなぁ
と思いました。全体的に薄味な感じがしたんですよねぇ。
盛り上がりに欠けるというか…。
まぁ、あの原作を料理しようとすると、こうするしか
方法がなかったのかもしれませんね。
でも、せめて「最後の晩餐」の場面だけでも、
怒涛のセリフ爆撃を浴びせかけて欲しかったなぁ、と
少し残念。

あとはね、トム・ハンクスとロバート・ラングトンのイメージが
ちょっと違うかな?とか、ジャン・レノがファーシュ警部ってのも
なんか違うかな?とか、逆にティーピング卿を演じたのが
イアン・マッケランってのはドンピシャだな!とか、配役の点でも
思うところはいくつかありました。そして少なくとも、
この映画のおかげでオドレイ・トトゥが『アメリ』の呪縛から
逃れることに成功するだろうことだけはたしか!よかったね♪

とりあえず、「原作本(または関連情報)を読んでから
観に行たほうがいい」数少ない映画だし、嗜好を凝らした映像も
楽しめる一流のエンターテインメントだと思います。
超大作感も十分に感じられます。話題に乗り遅れたくない方はぜひ!
そうでない方は優先順位を落としてもいいかもね?
posted on 2006.05.22
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陽気なギャングが地球を回す
A Cheerful Gang Turns The Earth
監督: 前田哲
原作: 伊坂幸太郎
脚本: 長谷川隆、前田哲、丑尾健太郎
音楽: 佐藤"Fisher"五魚
出演: 大沢たかお
鈴木京香
松田翔太
佐藤浩市
大倉孝二
加藤ローサ
光石研
松尾スズキ
古田新太
公式サイト(日本語)
原作小説と映画版は別モノ…? ★★
ケツがこよなく愛する作家・伊坂幸太郎くんの
コミカルなミステリー小説が映画化されました。
やっと公開か!と前々から待ち望んでいた、まさに待望の一作。
ありがた〜く観に行きました。

ウソを見抜ける男・成瀬、精密な体内時計を持つ女・雪子、
スリが得意な大学生・久遠、口達者な演説オヤジ・響野。
この4人がチームを組んで銀行を襲い、4千万円を手にしたが
その襲撃後、別のギャングに襲われ、金を強奪される。
成瀬たちは果たして金を奪い返せるのか?
内部に裏切り者がいるのか?チームの行方は?

みたいなお話です。

映画の冒頭を観ただけでわかりますが、小説の持つ雰囲気とは
ちょっと違って、映画版はコミカル度がアップしています。
なんつうか、ロードランナーとかに代表されるスピード感満載の
アメリカアニメや、日本でいえばルパン三世的な感じかな!?
そんなアニメの匂いが漂う雰囲気なんですね。
(カーチェイスシーンなんかはモロそんな感じ)
映画でたとえるなら、ジム・キャリーの『マスク』的な感じかなぁ。
すべてがドンチャン騒ぎ!な雰囲気が似てると思ったんです。

このへん、先に小説を読んでいたものとしては、若干違和感…。
もっとスタイリッシュな、カチっとした、締まった映画に
なるものとばかり思ってたもので…。出演者の顔ぶれを見ても
それだけの実力派が揃ってますしねぇ〜。もったいない。

しかも、小説の設定ですら、けっこう複雑なものになってると
思っていたのに、それよりもさらに登場人物が増え、設定が増え、
エピソードが増えており、なんだかもう"てんこ盛り!"な状態。
佐藤浩市演じる響野なんて、相当ぶっ壊れたキャラになって
ましたしね。過剰な設定だったと思うのです。

製作サイドは「現実から少しだけ浮いた感じを出したかった」
んだそうです。うん、そういう意味では成功していたでしょう。
でも、そのおかげで、肝心のミステリー部分の印象がボヤけてた
気もします。
実際、観る人が違えば、かなり面白いのかもしれません。
でもなぁ、やっぱなぁ、伊坂ファンとしては
ちょっと納得できかねる脚色の仕方でした。
彼の面白さというのは、ああいう過剰さとは違うんだよなぁ。

ということで、星は少なめです。
妙な先入観を持たずに観に行けば、案外面白いかもしれませんよ。
(一応フォローしときます)
posted on 2006.05.15
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ブロークン・フラワーズ
Broken Flowers
監督: ジム・ジャームッシュ
脚本: ジム・ジャームッシュ
音楽: ムラトゥ・アスタトゥケ
出演: ビル・マーレイ
ジェフリー・ライト
シャロン・ストーン
フランセス・コンロイ
ジェシカ・ラング
ティルダ・スウィントン
ジュリー・デルピー
クロエ・セヴィニー
公式サイト(英語)
公式サイト(日本語)
2005年カンヌ映画祭グランプリ(審査員特別賞)受賞
のんびりとコーヒーでも飲みながら。 ★★★☆
前作『コーヒー&シガレッツ』での脱力っぷり(ほめてます!)も
記憶に新しい、ジム・ジャームッシュ監督作品が登場。

多くの女性たちと気ままな恋を楽しんできた中年男
ドン・ジョンストン(ビル・マーレイ)は、ある日、
「あなたの息子がもうすぐ19歳になります」と書かれた
匿名の手紙を受け取る。
困惑したドンは隣に住む親友のウィンストンに促され、
手紙の主を探すため、当時付き合っていた4人の女性を訪ねて
アメリカ大陸横断の旅に出るが…。

というお話です。

『コーヒー&シガレッツ』でも、強烈なのにフニャフニャな
キャラを演じていたビル・マーレイが、ここでもバツグンです!
もう、こういうオヤジをやらせたら、右に出る人がいない
気がしますよ、ほんとに。(ほめてます!)
『ロスト・イン・トランスレーション』と同じ系統ですけど。

もうね、セリフがいらないんですから。
っていうか、しゃべらないほうが伝わるんですよね。
それはもう「素」なんじゃないかと思うほど
ドン・ジョンソン、じゃなくて、ドン・ジョンストンの人となりが
にじみ出てるんっすよ。

そんな無口なオッサンを取り囲むのは、
陽気で人懐っこいお隣さんと
過去に付き合った美女たちと
ローファイなガレージギターサウンドと
なぜか知らないけどエチオピアの音楽、
そしてとても印象的だったマーヴィン・ゲイ。

ジム・ジャームッシュの選曲は、けっこうこんな感じですよねぇ。
エチオピアの音楽についてはよくわかりませんが…。
とにかく、肩の力が抜けた、まったくお金がかかってないけど
その分だけ一般市民に近い距離にある映画です。
感動も答えも救いもお涙もないけど、
ライトな笑いとユーモアとフラットな感覚で満たされた106分。
のんびり観たらいいと思いますよー。
posted on 2006.05.01
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