ひと夏の経験
おまえにおれの真昼をやる
世界の涯ての屹立をやる
見飽きた、知り飽きた風景をやる
おまえはおれに呪われる
贈られるのは一瞬の永遠
銀の小箱に入れられて
言葉以前が燃え上がる
おまえは初めて太陽を直視する
魂に惨劇がある限り
おれはやっぱりここにいて
酔っ払いながら覚醒するのだろう
おれがおれであることの火薬を
おまえに呪いをかける
おまえに憑依する
おまえの水際は退き
おまえの鰓は永遠に乾く
信じるな
おれもおまえも信じるな
立ったところが垂直だ
世界はどこにもない
おまえにおれの真昼をやる
世界の涯ての屹立をやる
見飽きた、知り飽きた風景をやる
おまえに呪いをかける
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