草花はひかりに濡れ
草花はひかりに濡れ
ぼくとは無関係に空を吸い
風は水を渡り
知らない村の瓦を伝い
祖父の煙草をくゆらした
まつげとまつげのあいだを
ひとたちの暮らしがゆく
紅い花差す妹が
お昼を告げに走ってくる
夢にすっかり浸された
いちにち
せつなくて
外がわをぜんぶ
溶かしてしまいたい
窓をあけると
ひかりが揺れ
ぼくは言うことができず
遠くからの
風に洗われた
世界はいくども
ぼくの地形を変容した
川のむこうで時間がきれ
みえない岸を流れてくる
ぼくは失せ・・・
けれどあそこをゆくのは
どこの私だろう
小犬をつれて
川岸には
山羊がみえてくる
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