●草花はひかりに濡れ ●七月 ●あんなにお茶を飲んだのに ●海の色に染まる ●真昼のシネマ ●教えてくれないか ●ここにいるよ ●日曜日 ●五月連抄(一九八三年) ●だれもいない美術館 ●言葉 ●桜の森をてくてくゆくよ ●不眠の夜 ●この水はきれいです ●雨の日には ●ひかりよりも先に ●スケッチ ●水切り ●白いクジラは病気です ●空がいいんだ ●二十世紀の終りの四月 ●危ない魚 ●空に言った ●ひまわり ●ねむれぬ夜は ●朝を上手に ●電話をください ●いい声きかせてね ●さくら ●なく狼 ●いますぐどこかへつれてって ●抱いてあげましょうか
犬のからだに雨が降るよ いちにちに疲れた異人たちも 宇宙(そら)の縁に胸をさらし 時間の音を聴いているよ (時間の音はどんな音?) 危ない魚のはねる音 言葉の背中をうまくくぐって この朝がぼくだったことがある 街に大きな津波が押し寄せ 分裂病者が波乗りしてくる (かあさんぼくの靴がないよ) 犬の姿で川原に逃げた ぼくのシャツの汚れが落ちない ぼくの暮らしの疲れが抜けない 街で飲めない酒を飲み ダンスの下手な少女と 危ない魚になる