言葉
言葉のさきの果てまで
よる 旅をするトリがいるんだよ
いく枚もいく枚もの空を
余白のようになびかせて
きみの水際を
旅するトリがいるんだよ
もうどうなってもいいんだ
このまま風のように
このまま星のように
ずっと落ちてゆくんだ
きみが眠る夜
きみの夢がきみを脱けるなら
きっとそこが止り木で
消えてゆく窓のように
ひっそり積もる時間のように
静かにトリは羽ばたくんだ
まぶたに風がちいさくゆれ
ひかりの粉を散らしている
空はぼくのかなしみではない
海はぼくのくるしみではない
だれかこの眼を潰してください
夢がきみを少しでも
きみの姿を嫌うなら
風に凍えるいちにちを
セクスのように慰めて
もう言葉に憑くしかないんだよ
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