

脳血管攣縮はその程度によって症状は様々で、軽い人は無症状であり、ひどくなると脳梗塞を起こして死に至ることもあります。
神経症状に何らかの悪化を来すような脳血管攣縮の発生頻度は約30%と言われていますが、重症例ほど起こしやすいようです。また、最近の様々な予防的な治療法の開発で、その頻度は減少しています。
脳血管攣縮の詳しい発生機序については、まだ解明されていないことが多く、決定的な治療法もないのが現状です。
脳血管攣縮の治療
一般的な治療としては、まず十分な量の栄養と水分を与えて血管内の血液成分の量を十分に保つことが重要です。さらに、血圧をやや高めに維持して、脳血流を増やすことも効果があります。
脳内に溜まったくも膜下の血腫を排除するために、手術の時にくも膜下腔に留置した細い管(脳槽ドレナージといいます)から、血腫を溶かす薬剤や血管を拡張させる薬剤を注入することが有用であると報告されています。
カルシウムチャンネル遮断薬は、経口薬および点滴薬共に、その効果が科学的な臨床試験で証明されています。
また脳血管攣縮によって細くなった血管を直接広げる治療としては、塩酸パパベリンという血管拡張剤を脳血管撮影検査を行って細くなった血管に直接的に注入する方法があります。さらに、バルーンカテーテルと呼ばれる先端に風船のついたカテーテルで、血管を広げる方法も効果があるとされています。
脳血管攣縮に対する血管拡張術の画像

水頭症とは?
脳内で作られ脳および脊髄を循環している水(脳脊髄液)の流れや吸収が、くも膜下出血によって障害されて、脳内(脳室)に脳脊髄液が過剰に溜まる状態です。
くも膜下出血直後から生じる急性水頭症と、1か月ぐらいしてから起こる遅発性の水頭症があります。
急性水頭症は、急激に意識状態が悪くなり、緊急処置が必要です。遅発性の水頭症では、何となくボーとして意識がはっきりしないとか、ふらふらして歩きにくくなったとか、尿失禁をするようになったとか、そんな症状がゆっくり現われて、だんだん悪くなっていきます。
水頭症の画像
水頭症の治療
急性水頭症に対しては、脳室ドレナージといって、頭蓋骨に直径1cm程の穴をあけて、脳室に細い管を入れ、余分に溜まった脳脊髄液を体外に排出する処置を行います。通常は、クリッピング術と同時に行います。
遅発性の水頭症(正常圧水頭症とも言います)に対しては、余分に溜まった脳脊髄液を脳以外の別の体内に排泄する短絡術(シャント術)を行います。シャント術の中で最も広く行われている方法は、脳室腹腔短絡術(VPシャント)という方法です。これは、脳室内に挿入した細い管を、皮下を通してお腹までつなぎ、腹腔内に先端を挿入する手術法です。この管の途中には、脳脊髄液の流量を調節するためのバルブがついており、脳内の圧を調整することができます。