調査の対象は、2階以上または延べ床面積が200を超える非木造建物130,976棟でした。調査の結果、54.7%にあたる71,681棟が耐震性があることが明らかになりましたが、増加は前年より2.9%の微増にとどまりました。しかしながら、耐震診断の実施率は、昨年の11.1%と同じ水準の増加率となる11.6%と大きく伸びました。
都道府県別の実施率・耐震化率は、大きな格差が問題となっていましたが、一部地域で大きく改善したものの依然立ち遅れる現象は解消されていません。
調査は、都道府県教育委員会を通して全国の全ての公立小学校、中学校の学校にある建物の内で地震に対して危険性が大きい建物を指定し、学校施設を管理する市町村教育委員会に調査用紙を配付して行われました。
文部科学省は、今回の発表資料に都道府県別に各自治体の調査結果も付け加えました。(大阪府の各市町村別調査結果へ)
文部科学省「平成18年4月・耐震改修状況調査」より
1995年1月の1995年1月の阪神・淡路大震災を受けて同年6月、政府は公共建物の耐震診断を急ぐ必要性を認め、「地震防災事業五箇年計画」を策定してそれまで特定地域に対して行っていた耐震工事事業への補助を全国対象に広げ、かつ耐震診断と耐力度調査の費用に対しても国庫補助を行うこととしました。
しかしながら、2002年5月実施された初めての全国調査では、震災から8年が経過したにもかかわらず、耐震診断すら大きく立ち後れていることが明らかになりました。
文部科学省は、この調査結果を受け2002年7月31日付けで「公立学校施設の耐震診断実施計画の策定について」において、都道府県教育委員会に公立学校の耐震性能の把握と耐震診断実施計画の策定を依頼し、全国的な取り組みの強化を図りました。17年度までに全ての公立学校施設の耐震診断を終えようとする3カ年計画を求めたものでした。
上の耐震診断実施の経過を示すグラフを見れば、文部科学省の3カ年計画のその後も全国的な取り組みが行われたことが分かります。 府県別で見ると実施率10%台は沖縄県のみになり、20%台は佐賀・長崎の2県、30%台にとどまる県が青森・新潟など6県ありました。
学校施設が集中する都市部の拠点として、政令指定都市別で見れば財政力の事情もあり全体調査よりも10%程度高くなっていますが、ここでも14の政令指定都市のバラツキは大きく、北九州市の20%台、さいたま市の30%台は深刻です。
今回の調査結果でも、財政の厳しい中にありながらも、多くの自治体で公立学校施設の重要性に対応した取り組みが進んでいることを示しています。
財政基盤の強いはずの14の政令指定都市ですら、耐震化の平均値は66.5%です。17314棟の内、耐震化工事を終えたものや耐震性が確認されたのは、5555棟となりました。都道府県同様に、先進都市と遅れる都市の差はやはり大きくなっています。
最も耐震化が進んでいるのは、名古屋市で91.3%に達しました。職員厚遇問題で全国的に問題にされた大阪市の耐震化は80.3%と大阪府全体の平均値を大きく上回っています。耐震化のために抜本的な財政支援策が求められます。