都道府県別学校校舎の耐震化率と耐震診断実施率

   

耐震化

 耐震化は微増が続く

地震に対して安全が確認建物54.7%

未対策45.3%

 グラフ左のクリーム色は新耐震基準で建てられた昭和57年以降の建物です。緑色の部分は、耐震工事を終えた校舎と耐震診断により安全性が確認されたものの合計棟数です。右のピンクの部分は昭和56年以前の建物で耐震診断未実施か、耐震診断で補強工事が必要とされた合計棟数です。

 
 
 全国一の棟数がある大阪府は、この5年間に急速な対策が進み財政が厳しい中では大きな成果をあげたと言えますが、残る非耐震化の建物の数は、あまりにも大きく見えます。学校施設は、建物面積でみれば公共建物の内で半数近い比重を占め、非耐震の建物は、自治体財政の決算書には載らないマイナスの財産でもあります。
 市町村の決算書が黒字であっても、公共施設の耐震化が放置されているならば、帳票上の収支はともかく真の財政状態を正しく反映したものではありません。財政の厳しさを訴えながら、新しい箱ものづくりは続け耐震化は国の求める水準を遙かに下回る吹田市政は、早急な見直しが必要です。
  大阪府の中でも、市町村によって大きな格差があり、各市町村の姿勢と責任が問われるでしょう。
   


注 全国の公立小・中学校の調査対象棟数は、統廃合のために減少傾向にあります。

推進する都府県明らかに
 

新聞報道などでは、全国的データーによる記事が主になっていたために、自治体別の実態は明らかではありません。  このグラフでは、絶対的な保有棟数の違いと自治体の努力の成果である緑色に色分けした耐震補強工事済みと耐震診断で耐震性ありと確認された棟数の大きさを確認できます。  関東大震災と東海地震に対する対策を強めていた東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県などでの取り組みが積極的に行われ、成果となっていますが、大阪府、京都府、兵庫県を除く西日本での対策の遅れが明らかです。

 

 

 

 

 

 平成18年4月現在では

 吹田市は「29.8%」
  府の水準を大きく下回る

吹田市の学校の耐震化は、平成15年3月の市議会での答弁によると「約21%」、今回調査では29.8%と報告されました。大阪府全体の平均値51.3%に対して非常に低い水準に留まっています。

文部科学省「平成17年・耐震改修状況調査」より
耐震診断実施率は都府県で大きな差
 
 
 
 

耐震診断未実施棟数

 突出する福岡県、鹿児島県、     北海道

 耐震診断の実施率では、全国15位の大阪府は全体の棟数が東京都を上回る1位であり、56年以前に建てられた建物の比率も東京都、香川県に次ぐ高かった(71.2%)のですが、04年調査では未実施数、全国2位でしたがこの2年間の取り組みにより未実施棟数は急激に減少しました。
 福岡県は、大阪府の半分ほどの棟数ながら耐震診断実施率が全国平均を大きく下回る21.0%にとどまるため、北海道に次ぐ未実施数となっています。
 鹿児島県も福岡県と同じ傾向にあります。
 太平洋側以外での地震発生の少ない北海道では、札幌市を含む石狩管区以外の自治体の対応が遅れ未実施棟数が全国一となっています。
 調査対象のこの2年間に新潟中越地震と福岡県沖地震がありましたが、どちらの県でも耐震診断のレベルは大きく遅れる状態で、自治体の油断と取り組みの遅れは自然災害は待ってくれないことを知らされた感があります。

未実施棟数
ワーストランキング

 北海道  2587棟
 福岡県  2090棟
 鹿児島県 1519棟
 茨城県  1443棟
 長崎県  1406棟
 新潟県  1299棟
 大阪府  1284棟

 
 
文部科学省「平成18年4月・耐震改修状況調査」より

6都県が90%台

愛媛・秋田一気に

トップグループ入り

 耐震診断の実施率は、全国平均で60%超えましたが、静岡県の97.4%を先頭に、神奈川県95.7%、岐阜県94.0%、愛知県91.5%、東京都91.4%、愛媛県90.2%と90%を超える都県が前年の2県から6都府県となりました。80%台も4府県から7府県と増えるなど、先進都府県は引き続き耐震診断100%実施目指した取り組みを強めました。中でも愛媛県と秋田県は実施率を30〜45%も一気に引き上げ、トップグループの仲間入りを果たしました。
  2002年の第1回調査では、50%を超えた都県は、8都県に止まりまったことからは、大きな変化といえます。グラフは、自治体の危機管理には大きなバラつきがあることを改めて証明した形になっています。
  私たちの吹田市がある大阪府は、79.6%とこの1年間で10%近い実施率の向上を果たしましたが、全国の急激な取り組みの中で実施率ランキングは11位から15位と落とす結果になっています。
  市町村の中には、初回調査において、文部科学省の「2階以上、200以上の棟」という対象基準を誤って集計報告したと言うおそまつな対応をした事例もありました。
 文部科学省は、平成14年7月に市町村教育委員会が独自の計画として「耐震診断実施3カ年計画」の立案を行うことを求めましたが、自治体によっては財政状況の厳しさを理由に計画すら立案していないところもあります。
 吹田市では、体育館の耐震補強と統廃合してから校舎の耐震補強を計画した千里たけみ小学校の耐震補強工事だけが実施され、大震災から数年経って行われた17校の耐震診断以外はストップしたままで文部科学省の呼びかけた3カ年計画の立案は財政部局の判断でつぶされてしまいました。仕方なく、「耐震化優先度調査」の簡易耐震診断を実施し報告したようです。

 
最新版2007年4月第6回全国調査結果のページへ
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