2011年度は、施設整備費の総額は前年の10億4200万円余から24億円超と1970年代新設校ラッシュ時代の高い水準となりました。

　しかし、議会で成立した当初予算では、耐震化工事を含む施設整備費の総額は、40億円を超えるものでした。市長選挙を前に、吹田市各地区自治連合から学校耐震化の遅れに対する厳しい声が吹き出し、吹田市の取り組みの遅れを大きく挽回しようとする意欲的な予算が組まれました。

　耐震化工事費用は2006年の２億8,000万円から2007年8,637万円に減少し2008年は3,550万円、2009年1億4,135万円となり、2010年度は5億8,000万円に増加し、2011年度は15億円（決算実績）。

　2011年4月に就任した新市長は、すでに成立していた予算について、自らの考えで見直すために、契約等の成立していない事項については、執行作業を停止し、市民、議会、職員が驚く「財政非常事態宣言」を行いました。北千里小学校跡を利用する6億円余りの事業見直しなどがおこなわれました。

　学校教育施設の耐震化の事業は、府下各市が一斉に取り組むため、元々特定の建築業者グループしか施工が出来ない耐震補強工事は、施工業者の確保が第一の課題となっています。巨額の耐震補強工事予算を組み、周到な準備のもとに初めて大量の耐震改修工事を進めようとしていた建築部局は、発注競争に大きく出遅れることになりました。

　小学校に比べ、中学校の耐震補強工事と維持管理工事は共に遅れていました。2011年度の耐震補強工事は、8校で行われましたが、4校は体育館、残る4校が校舎の耐震補強工事と二分されました。

　中学校施設改修費の総額は、2010年度の2億682万円から2011年度は8億8421万円と4倍になり、老朽化対策工事も前年比66％増加しました。設備改修工事では、老朽化による危険性が高いのはガス管ですが、開校から35年〜40年の片山中学校と西山田中学校で更新工事が行われました。今後の老朽化改修工事では、給排水管の更新が課題となりますが、現状は対症療法的な部分改修工事にとどまっています。