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  ● 頚椎椎間板ヘルニア ●
   
■ どのような病気ですか?
 
    ヘルニアとは臓器などが脱出した状態を指す医学用語です。椎間板ヘルニアの場合は椎間板という脊椎のひとつひとつの骨をつなぐクッションの中身(髄核)がクッションの袋(線維輪)を破って脱出した状態をいいます。髄核のとびだした部分をヘルニアとよんでいます。知らない間に少しずつ袋に裂け目ができていて、何かの拍子にヘルニアを起こします。通常は後ろ方向に飛び出します。飛び出した程度は、少しふくれた程度の膨隆(ぼうりゅう)とよばれる軽い段階から大きく飛び出した脱出(だっしゅつ)とよばれる程度までさまざまです。
   ■ どのような症状ですか?
   
   症状の範囲を上の図に示します。
 A : 首・肩から腕の外側から親指・人差し指にかけて症状があるパターン
 B : 肩甲骨から腕の裏の肘から手の背にかけて症状があるパターン
 C : 肩甲骨内側の痛み、腕の内側から小指にかけてのしびれがあるパターン
 椎間板の線維輪(袋)に小さな裂け目が生じたときは首に違和感や痛みを感じます。このときは数日のうちに症状が消えてしまいます。本格的にヘルニアをおこすと強い首の痛みが生じます。飛び出したヘルニアが大きくて神経が圧迫されると首が痛くなると同時か数日おいてから、神経症状が出現します。飛び出す方向は多くの場合で左右の偏りがあり、手に伸びて行く神経の根元付近にヘルニアがあることが多いために、左右いずれかの首から肩・腕にかけて痛みやしびれが生じます。
 

左図 : 神経根症では首の動きで肩から腕に痛みが走ります左の図のように、頚椎の動きで神経の圧迫が強くなることがわかります。

 →脊髄症・神経根症の解説のページ
   にも神経根症の解説があります
  ■ ヘルニアは治るの?
   ヘルニアはひっこむことはないと考えられています。多少しぼむことや、飛び散るように脱出したヘルニアが吸収されることがあります。ただし、治るか治らないかという点を症状が消えるかどうかとい点でみると治ることの多い病気です。つまり、ヘルニアが元通りに引っ込まなくても、痛みやしびれの症状は軽くなることが期待で来ます。破れた部分が修復されたり、飛び出したときの生じた炎症が治まってくると症状が軽くなってきます。
   ■ 症状は治まってきますか?
    痛んだ部分が修復されたり、炎症は2週間程度を目安に治まってきます。鎮痛消炎剤を内服して痛みと炎症を抑えたり、頚椎を動かすと痛む場合は頚椎を固定する装具(頚椎カラー)を装着すると症状が軽くなります。頚椎を牽引することで、椎間板の内部の圧力を下げたり、脊椎の骨を動かしてヘルニアの神経へのあたり具合を軽くすることが効果がある場合があります。痛みが鎮痛消炎剤で効果がある場合は、最初の2〜3週間である程度よくなる可能性があります。その後もうまくいけば、3か月から6カ月程度かかって症状がかなりとれることがあります。ただし、一度よくなっても、何かの拍子にぶり返す危険がありますから、日常生活での症状に影響しそうな悪い動作・習慣を見直す必要があります。自然に治る時期をすぎても症状が取りきれない場合は、ヘルニアがつよく神経を押していることが考えられます。
   ■ 手術が必要な場合は?
   つらい症状が続いている場合は神経痛を取り除く方法として手術が有用です。ヘルニアが大きい場合に、”痛いから腕を切り落としてほしい”と思うほどの痛みが続く場合があります。ヘルニアを切除すると痛みがとれますので、手術が終わって麻酔が覚めて目がさめると手術前の痛みが消えていることが実感できることが多いです。
 手術のタイミングは、がまんの限界にきたら手術をするという決め方もありますが、自己判断では手遅れになる場合があります。手術が遅れると効果が得られずに障害を残す場合があります。知っておきたい点として次の点があります、手術のタイミングは、がまんの限界にきたら手術をするという決め方もありますが、自己判断では手遅れになる場合があります。手術が遅れると効果が得られずに障害を可能性があります。知っておきたい点として次の点があります、
1。もともと神経の障害は回復しにくい点
2。筋肉の衰えが回復しない可能性があること。
  麻痺の状態が長く続くと筋肉が痩せてきます。
  長く痩せた状態にある筋肉は、訓練してもなかなか太くなってきません。
3。しびれは治りにくいこと。
  びりびりするようなしびれは敏感な神経が感じている雑音です。
  雑音が一度まざると雑音が消えるまでの回復は望めないことが多いです。
4。痛みが慢性化することが知られていること。
  神経の回路は複雑なため、痛みが長く続くと原因がなおっても、痛みの信号が止
  まらないことがあります。神経回路に痛みを記憶するとも表現されます
   ■ 症状がある場合はどうしたらよいですか?
    診察を受けることをお勧めします。椎間板ヘルニアの大きさは頚椎MRI検査でよくわかります。MRI検査は体に負担もなく神経の圧迫の程度をみることができる非常によい検査ですのでお勧めしています。似たような症状を引き起こすで危険な病気の可能性もありますので、受診して正しい診断を受けることが大切です。