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   ● 頚部脊柱管狭窄症 ●
   
■ どのような病気ですか?
   
   脊柱管狭窄症という病名は、頚椎の脊柱管が狭くなっているという状態を示した病名です。脊柱管が狭いと、ここを通る脊髄が挟まれて神経症状が出現します。脊柱管の大きさはもともと個人差があるために、生まれつき脊柱管が狭い人にこの病気が起こります。この病気がでてくるのは、成人以降です。もともと狭い脊柱管に加齢性の変化が加わって徐々にですが脊柱管がさらに狭くなってきます。脊柱管を狭くなっていく加齢性変化には、椎間板がつぶれること、靭帯が分厚くなること、頚椎の骨の並びに異常が生じることなどがあります。
   ■ どのような症状ですか?
 
 左図の赤いところに痛みやしびれを感じます。
 若いときからの肩こり症です。
 両手の指先からしびれてきます


 このような手足の症状は脊髄症といわれます
 詳しくは、脊髄症・神経根症の解説のページ
 参考にしてください。
   手のしびれが出てきます。脊柱管は首を反らす動きでも一時的に狭くなるため、理容室で頭を反らして洗髪してもらってから首まわりが痛いとか手がしびれるといった症状が出現する人がいます。症状が続くようになるとまずは敏感な指先のしびれに気がつきます。そのうちに足の先もしびれてきます。指先の感覚がなくなってくるためにボタンがかけにくかったり、字が書きにくい、ポケットの中を指先でさぐって小銭がとれないといったことに気がつきます。足の症状には最初は気がつきにくいですが、歩き方がぎこちなくなってきます。つま先がスムーズに持ち上がらないために、靴の先がひっかかりつまづくことが多くなっています。
 手足の運動の障害は、こわばったり、つっぱったりする動かしにくさではじまります(痙性麻痺、けいせいまひ)。足がスムーズに足が運ばないためにもつれたりしますので、階段を下るのが怖くなります。病状が進行すると手足の力が入らなくなりふらついて歩けなくなってきます。脊髄が圧迫されて生じる症状を脊髄症といいます。
   ■ 治療は? 手術は必要ですか?
   狭くなったところを手術で広げない限りは根本的には解決しません。
 症状が軽い場合は症状を和らげるのみ薬を飲むこともあります。神経の回復に必要なビタミン剤や神経の血流を改善するくすりがあります。痛みや筋肉のはりといった症状には鎮痛消炎剤や筋弛緩剤を飲むことがあります。
 病状が進行してくると手術が必要になる場合があります。多くの方は手術を怖がって手術を極力避けようとします。そのために経過の中でタイミングよく手術を決断するのは難しいことです。注意点として、
1.脊髄のダメージが大きくなってからでは手術をしても回復しないことがあります
2.気づかない間にタイミングを逃している場合があります
3.症状が前触れなく急に悪くなることがあります。
などの点があります。手術のタイミングを誤らないように、病状を点数化して判断の目安とする考え方があります(頚髄症治療判定基準:JOA score)。また、脊柱管の広さを画像検査で計測して目安にします。
   ■ 症状がある場合はどうしたらよいですか?
   診察を受けることをお勧めします。脊柱管の広さはMRI検査でよくわかります。MRI検査は体に負担もなく神経の圧迫の程度をみることができる非常によい検査ですのでお勧めしています。似たような症状を引き起こすで危険な病気の可能性もありますので、受診して正しい診断を受けることが大切です。