命題論理の意味論 − 真理値分析 : トピック一覧  

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 総目次

※述語論理の場合は、林晋,鹿島亮を参照。


真理値分析  truth-value-analysis  〜 命題変数を1個だけ含んだ論理式について

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 → 真理値分析の手順
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【真理値分析とは?】

命題変数Pのみを含む論理式A(P) についての真理値分析とは、


 [目的] 論理式A(P)の真理関数 
        すなわち、
         《命題変数Pの真偽》(付値)に対して、
         《論理式A(P)の真偽》を対応づける規則
     を明らかにするために、      

 [方法] 論理式の真理値の決定原理に従って、
【真理値分析の一般化】
  →2個の命題変数のみを含む論理式の真理値分析
  →n個の命題変数のみを含む論理式の真理値分析   




【文献】
 ・野矢『論理学』1-1-4(p.35).      
 ・戸田山『論理学をつくる』3.2(p.41);3.5(p.54)  ;
 ●戸田山『論理学をつくる』3.5.1真理値分析とは何を やることだったのか3.5.2真理値割り当て(pp.55-8):真理値割り当てから、真理値分析でやっていたことを理解すると。。。
 ・清水『記号論理学』§1.2(p.12)"truth value analysis"。 



 

     A(P)の形成木の各ステップで認定したPから帰納的に定義される論理式」真理値を、
     順次確定していくことによって、


 [作業] 論理式A(P) の真理値表を書き出す作業
      すなわち、《命題変数Pの真偽》(付値)(2通り)に対応する《論理式A(P)の真偽》を書き出す作業

 のこと。 





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【真理値分析の手順】

命題変数Pを含む論理式A(P) についての真理値分析の詳細は、
 下記の通り。

 [手順1]

  A(P)の形成木 
   すなわち、
     論理式A(P)がPから帰納的に定義される論理式」に認定されるプロセスを、
     Pの認定ステップから、
     A(P)そのものの認定ステップまで、
     再現してたどり直し、
     各ステップで認定したPから帰納的に定義される論理式」を特定した履歴
  を作成 

 [手順2]

  命題変数Pの真偽(付値)に対する、
       A(P)の形成木の各ステップで認定したPから帰納的に定義される論理式」真理値を、
        Pの認定ステップから、
        A(P)そのものの認定ステップまで、
        順次各ステップごとに、
        論理式の真理値の決定原理に従って確定していく 

 [手順3]

     結果を真理値表にまとめる。



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【真理値分析の例】

【例1】論理式P についての真理値分析 

 [手順1] 論理式P形成木を作成 

        (step1) Pを、 Pから帰納的に定義される論理式に認定。

 [手順2] 命題変数Pの真偽(付値)に対する、
       A(P)の形成木の各ステップで認定したPから帰納的に定義される論理式」真理値を、 
      論理式の真理値の決定原理に従って確定。 

        (step1) (付値1) 命題変数Pに与えた真理値「真」に対して、
                  P真理値は、論理式の真理値の決定原理(1)より、「真」。
            (付値2) 命題変数Pに与えた真理値「偽」に対して、
                  P真理値は、論理式の真理値の決定原理(1)より、「偽」。
   
 [手順3] 結果を真理値表にまとめる。


 【論理式P真理値表

P 論理式P
[付値1] P真理値「真」を与える→
 真   真 
[付値2] P真理値「偽」を与える→  偽   偽 



【例2-1】 → 【例】 論理式「¬P」の真理値分析  


【例2-2】論理式 PP  についての真理値分析 

 [手順1] 論理式 PP の形成木を作成 

        (step1) Pを、 Pから帰納的に定義される論理式に認定。
        (step2) 「PP 」を、Pから帰納的に定義される論理式に認定。


 [手順2] 命題変数Pの真偽(付値)に対する、
      論理式 PP の形成木の各ステップで認定したPから帰納的に定義される論理式」真理値を、 
      論理式の真理値の決定原理に従って確定。

        (step1) (付値1) 命題変数Pに与えた真理値「真」に対して、
                  P真理値は、論理式の真理値の決定原理(1)より、「真」。
            (付値2) 命題変数Pに与えた真理値「偽」に対して、
                  P真理値は、論理式の真理値の決定原理(1)より、「偽」。

        (step2) (付値1) 命題変数Pに与えた真理値「真」に対して、
                  PP真理値は、(step1)と、論理式の真理値の決定原理(2-2)より、「真」。
            (付値2) 命題変数Pに与えた真理値「偽」に対して、
                  PP真理値は、(step1)と、論理式の真理値の決定原理(2-2)より、「偽」。
                     
 [手順3] 結果を真理値表にまとめる。


 【論理式 PP真理値表

P

 論理式P 

 論理式PP 

[付値1] P真理値「真」を与える→
 真   真  真 
[付値2] P真理値「偽」を与える→  偽   偽  偽 



【例3-1】  論理式 (¬P)P についての真理値分析 

 [手順1] 論理式 (¬P)∧P の形成木を作成 

        (step1) P を、 Pから帰納的に定義される論理式に認定。
        (step2) 「¬P」を、Pから帰納的に定義される論理式に認定。
        (step3) 「(¬P)∧P 」を、Pから帰納的に定義される論理式に認定。

 [手順2] 命題変数Pの真偽(付値)に対する、
      論理式 (¬P)∧P の形成木の各ステップで認定したPから帰納的に定義される論理式」真理値を、 
      論理式の真理値の決定原理に従って確定。

        (step1) (付値1) 命題変数Pに与えた真理値「真」に対して、
                  P真理値は、論理式の真理値の決定原理(1)より、「真」。
            (付値2) 命題変数Pに与えた真理値「偽」に対して、
                  P真理値は、論理式の真理値の決定原理(1)より、「偽」。

        (step2) (付値1) 命題変数Pに与えた真理値「真」に対して、
                  ¬P真理値は、(step1)と、論理式の真理値の決定原理(2-1)より、「偽」。
            (付値2) 命題変数Pに与えた真理値「偽」に対して、
                  ¬P真理値は、(step1)と、論理式の真理値の決定原理(2-1)より、「真」。

        (step3) (付値1) 命題変数Pに与えた真理値「真」に対して、
                  (¬P)∧P真理値は、(step2)(step1)と、論理式の真理値の決定原理(2-2)より、「偽」。
            (付値2) 命題変数Pに与えた真理値「偽」に対して、
                  (¬P)∧P真理値は、(step2)(step1)と、論理式の真理値の決定原理(2-2)より、「偽」。
                     
 [手順3] 結果を真理値表にまとめる。


 【論理式P)∧P真理値表

P

 論理式P 

 論理式¬P 

 (¬P)∧P 

[付値1] P真理値「真」を与える→
 真   真  偽 
[付値2] P真理値「偽」を与える→  偽   偽  真 

   ※このように、すべての付値に対して、真理値が偽となる論理式恒偽命題という。



【例3-2】  論理式 (PP)(PP) についての真理値分析 

 [手順1] 論理式 (PP)⇒(PP) の形成木を作成 

        (step1) P を、 Pから帰納的に定義される論理式に認定。
        (step2) 「PP」「PP」を、Pから帰納的に定義される論理式に認定。
        (step3) 「(PP)⇒(PP)」を、Pから帰納的に定義される論理式に認定。

 [手順2] 命題変数Pの真偽(付値)に対する、
      論理式 (PP)⇒(PP) の形成木の各ステップで認定したPから帰納的に定義される論理式」真理値を、 
      論理式の真理値の決定原理に従って確定。

        (step1) (付値1) 命題変数Pに与えた真理値「真」に対して、
                  P真理値は、論理式の真理値の決定原理(1)より、「真」。
            (付値2) 命題変数Pに与えた真理値「偽」に対して、
                  P真理値は、論理式の真理値の決定原理(1)より、「偽」。

        (step2) (付値1) 命題変数Pに与えた真理値「真」に対して、
                  PP真理値は、(step1)と論理式の真理値の決定原理(2-2)より、「真」、
                  PP真理値は、(step1)と論理式の真理値の決定原理(2-3)より、「真」。
            (付値2) 命題変数Pに与えた真理値「偽」に対して、
                  PP真理値は、(step1)と論理式の真理値の決定原理(2-2)より、「偽」。
                  PP真理値は、(step1)と論理式の真理値の決定原理(2-3)より、「偽」。

        (step3) (付値1) 命題変数Pに与えた真理値「真」に対して、
                  (PP)⇒(PP)の真理値は、(step2)と論理式の真理値の決定原理(2-4)より、「真」。
            (付値2) 命題変数Pに与えた真理値「偽」に対して、
                  (PP)⇒(PP)の真理値は、(step2)と論理式の真理値の決定原理(2-4)より、「真」。
                     
 [手順3] 結果を真理値表にまとめる。


 【論理式 (PP)⇒(PP) の真理値表

P

 論理式P 

 論理式 PP  

 論理式 PP 

 (PP)⇒(PP) 

[付値1] P真理値「真」を与える→
 真   真  真  真 
[付値2] P真理値「偽」を与える→  偽   偽  偽 

 真 


   ※このように、すべての付値に対して、真理値が真となる論理式恒真命題という。


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