命題論理の自然演繹における諸定理 【16】拡大律・付加律 law of addition の証明 (1)

派生推論規則と しての拡大律・付加律1

 「A から AB を導出(推論)してよい」
 「B から AB を導出(推論)してよい」は、
 【命題論理における自然演繹】の推論規則
 
   *なぜ?→∨導入則そのもの。  

定理としての拡大律・付加律1




A,Bがどのような論理 式で あれ、
 「A」 を
 「仮定『A』 のもとで『AB』」
に書き換えてよい

  

 A 

  





 AB 





A,Bがどのような論理 式で あれ、
 「A」 を
 「仮定『B』 のもとで『AB』」
に書き換えてよい

  

 B 

  





 AB 


 「A,Bに、どのような論理式(命題変数単体に限らない)をいれても、A  (AB) 」は、
  命題論理における自然演繹定理。   →【証明:1】
 「A,Bに、どのような論理式(命題変数単体に限らない)をいれても、B  (AB) 」は、
  命題論理における自然演繹定理。   →【証明:2】


【証明1】A ⇒ (AB)

命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作
   端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「∨導入則」による書き換え 
    ・推論規則「⇒導入則」による書き換え 
のみで、
論理式A  (AB)」が得られること

を示す。 

 * 証明  → step01 / step02 / step03  
 * トピック冒頭→ 推論規則と しての拡大律・付加律 / 定理としての拡大律・付加律
 * トピック一覧→ 自然演繹の派生推論規則一覧 / 自然演繹の定理一覧


[step1]自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し
 ・論理式A」を仮定1として、書き出す。 
  

仮定1
 A
 


[step2]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え




【文献】
   ・前原『記号論理入門』3章§4(p.42)解答(p.181)


 
   

 ・推論規則「∨導入則」にしたがって、
    「A」を「AB」へ
    書き換える。
 ・推論規則「∨導入則」により、
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「AB」は、それぞれ、仮定1「A」 のもとにある。
 ・これで、推論規則「∨導入則」による書き換えによって、
  仮定1「A」から、
   「仮定1『A』のもとで『AB』」
  が導出されたことになる。

  

仮定1
 A 

 


(∨導入)  


AB



[step3]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「⇒導入則」にしたがって、「仮定1『A』のもとで『AB』」を「A(AB)」へ書き換える。
推論規則「⇒導入則」の規定にしたがうと、
   「A(AB)」への書き換え後に引き継がれる仮定は、
   書き換え前の仮定「A」から、仮定「A」を差し引いた分だけとなるから、   
   「A(AB)」への書き換え後に仮定はすべて差し引かれてなくなって しまい、
    仮定なしの「A(AB)」が得られる。
・これで、推論規則「⇒導入則」による書き換えで、
  「仮定1『A』のもとで『AB』」から、
  仮定なしの「A(AB)」が導出されたことになる。

  

[仮定1]
 [A] 

 


(∨導入) 


AB




(⇒導入)仮定1を解消 


 AAB 




 → 拡大律
 → 自然演繹の定理:トピック一覧
 → 論理記号:トピック一覧 
 → 総目次  


  

【証明2】B ⇒ (AB)

命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作
   端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「∨導入則」による書き換え 
    ・推論規則「⇒導入則」による書き換え 
のみで、
論理式A  (AB)」が得られること

を示す。 

 * 証明  → step01 / step02 / step03   
 * トピック冒頭→ 推論規則と しての拡大律・付加律 / 定理としての拡大律・付加律
 * トピック一覧→ 自然演繹の派生推論規則一覧 / 自然演繹の定理一覧


B  (AB)の証明】       

[step1]自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し
 ・論理式B」を仮定1として、書き出す。 
  

仮定1
 B
 






【文献】
   ・前原『記号論理入門』3章§4(p.42)解答(p.181)


 
   

[step2]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

 ・推論規則「∨導入則」にしたがって、
    「B」を「AB」へ
    書き換える。
 ・推論規則「∨導入則」により、
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「AB」は、それぞれ、仮定1「B」 のもとにある。
 ・これで、推論規則「∨導入則」による書き換えによって、
  仮定1「B」から、
   「仮定1『B』のもとで『AB』」
  が導出されたことになる。

  

仮定1
 B 

 


(∨導入) 


AB



[step3]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「⇒導入則」にしたがって、「仮定1『B』のもとで『AB』」を「B(AB)」へ書き換える。
推論規則「⇒導入則」の規定にしたがうと、
   「B(AB)」への書き換え後に引き継がれる仮定は、
   書き換え前の仮定「B」から、仮定「B」を差し引いた分だけとなるから、   
   「B(AB)」への書き換え後に仮定はすべて差し引かれてなくなって しまい、
    仮定なしの「B(AB)」が得られる。
・これで、推論規則「⇒導入則」による書き換えで、
  「仮定1『B』のもとで『AB』」から、
  仮定なしの「B(AB)」が導出されたことになる。

  

[仮定1]
 [B] 

 


(∨導入) 


AB




(⇒導入)仮定1を解消 


 BAB 




 → 拡大律
 → 自然演繹の定理:トピック一覧
 → 論理記号:トピック一覧 
 → 総目次