命題論理の自然演繹における定理・派生推論規則 【6】交換律1-1 の証明 

派生推論規則と しての交換律1-1


 「ABからBAを導出(推論)してよい」は、
 【命題論理における自然演繹】の推論規則
 
*なぜ?→∨導入則そのもの。




A,Bがどのような論理式で あれ、
 「A
B」 を
 「仮定『A
B』 のもとで『BA』」
に書き換えてよい 

  

 AB 

  





 BA 


定理としての交換律1-1
 「A,Bに、どのような論理式(命題変数単体に限らない)をいれても、( AB ) ( BA ) 」は、
  命題論理における自然演繹定理。   →【証明:1-1】


【証明:1-1】( AB ) ⇒ ( BA )

(1)
 命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作
   端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「∧除去則」による書き換え  
    ・推論規則「∧導入則」による書き換え 
 のみで、
 派生推論規則と しての交換律1-1  




A,Bがどのような論理式で あれ、
 「A
B」 を
 「仮定『A
B』 のもとで『BA』」
に書き換えてよい 

  

 AB 

  





 BA 



 が得られること 

(2)
 命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作
   端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「∧除去則」による書き換え  
    ・推論規則「∧導入則」による書き換え 
    ・推論規則「⇒導入則」による書き換え 
 のみで、
 論理式「(AB)(BA)」が得られること

を示す。  [前原『記号論理入門』7章§1.2 (p.119)]


 * 証明 → step01/step02/step03/step04
 * トピック冒頭→ 派生推論規則と しての交換律 / 定理としての交換律
 * トピック一覧→ 自然演繹の派生推論規則一覧 / 自然演繹の定理一覧





【文献】

 ・前原『記号論理入門』7章§1.2(p.119); 
 ・野矢『論理学』1-2-2-公理系のサンプル2-問題25(p.65):一方向のみ。;1-2-3-LP-定理(p.68)
 ・林『数理論理学』例1.3(pp.25-26);例1.7(p.32)
 ・van Dalen,Logic and Structure(3rd ed.) 1.4Natural Deduction - T(p.31):一方向のみ。∧除去、∧導入、⇒導入のみ利用。


 
   * テキスト間でみられる揺れ:
      戸田山『論理学をつくる』は、交換律を(A∧B)⇒(B∧A),(A∨B)⇒(B∨A)としている。


[step1]自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し
 ・論理式AB」を仮定1として、書き出す。

  

 仮定1 
AB




[step2]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

 ・推論規則「∧除去則」にしたがって、
    「AB」を「B」へ
    「AB」を「A」 へ
    書き換える。
  ・推論規則「∧除去則」により、
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「B」「A」は、それぞれ、仮定1「AB」 のもとにある。
 ・これで、推論規則「∧除去則」による書き換えによって、
  仮定1「AB」から、
   「仮定1「AB」のもとでの『B』」
   「仮定1「AB」のもとでの『A』」
  が導出されたことになる。

  

 仮定1 
AB

  

仮定1
 AB 
 


(∧除去)


(∧除去)


B
A



[step3]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「∧導入則」にしたがって、
 「仮定1「AB」のもとでの『B』」
 「仮定1「AB」のもとでの『A』」
 を
 「BA
 へ書き換える。

推論規則「∧導入則」の規定により、
 書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
 書き換え後の「BA」は、仮定1「AB」 のもとにある。

・これで、推論規則「∧導入則」による書き換えで、
 「仮定1「AB」のもとでの『B』」
 「仮定1「AB」のもとでの『A』」
 から、
 「仮定1『AB』のもとで『BA』」
 が、導出されたことになる。

  
  

 仮定1 
AB




(∧除去)


B

  
 仮定1 
AB



(∧除去)


A



(∧導入)


BA

派生推論規則と しての交換律1-1ABからBAを導出(推論)してよい」  



A,Bがどのような論理式で あれ、
 「A
B」 を
 「仮定『A
B』 のもとで『BA』」
に書き換えてよい 

  

 AB 

  





 BA 


 は以上で得られた。
 定理となる論理式「( AB ) ( BA )」を獲得したいときは、次のステップへ。

[step4]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「⇒導入則」にしたがって、「仮定1『AB』のもとで『BA』」を「AB BA」へ書き換える。
推論規則「⇒導入則」の規定にしたがうと、
   「AB BA」への書き換え後に引き継がれる仮定は、
   書き換え前の仮定「AB」から、仮定「AB」を差し引いた分だけとなるから、   
   「AB BA」への書き換え後に仮定はすべて差し引かれてなくなって しまい、
    仮定なしの「AB BA」が得られる。
・これで、推論規則「⇒導入則」による書き換えで、
  「仮定1『AB』のもとで『BA』」から、
  仮定なしの「AB BA」が導出されたことになる。

  
  

 [仮定1] 
[AB]




(∧除去)


B

  
 [仮定1] 
[AB]



(∧除去)


A



(∧導入)


BA


(⇒導入)仮定1を解消


( AB ) ⇒ ( BA )


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