実数の十進近似列が満たす性質2実数rの十進近似列の各項
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は、 0≦r-r1<1/10 0≦r-r2<1/100 0≦r-r3<1/1000 : 0≦r-rn<1/10n : を満たす。 |
→「十進近似列が満たす性質2」冒頭 |
証明[step1] ・実数rに随伴する数列を、a1,a2,a3,… とおくと、 任意の自然数nに対して、 r=rn+an+1/10n+1 つまり、r-rn=an+1/10n+1 が成立する。 このことは、数学的帰納法で示せる。 [step1-1] n=1のとき、 r=rn+an+1/10n+1 つまり、r-rn=an+1/10n+1の成立を示す。 ・実数rに随伴する数列の第1項a1,第2項a2 は、 a1=10(r−[r]) a2=10(a1−[a1]) と定義された。 ということは、 r = [r] + a1/10 a1= [a1] + a2/10 だから、 二行目を、一行目に代入して、 r = [r] + ([a1] + a2/10)/10 = [r] + [a1]/10 + a2/100 ・実数rに随伴する整数列の第1項d1は、 d1=[a1] と定義されたので、 上記の式は、 r = [r] + d1/10 + a2/100 と書き換えられる。 ・r1=[r]+d1/10 と定義されたので、 上記の式は、 r = r1 + a2/100 と書き換えられる。 [step1-2] n=kのとき、 r=rn+an+1/10n+1 つまり、r-rn=an+1/10n+1の成立を仮定すると、 n=k+1のとき、 r=rn+an+1/10n+1 つまり、r-rn=an+1/10n+1が成立すること を示す。 ・n=kのとき、r=rn+an+1/10n+1 の成立を仮定すると、 r=rk+ak+1/10k+1 …(仮定) ・実数rに随伴する数列の第(k+2)項 ak+2 は、 ak+2 =10(ak+1−[ak+1]) と定義された。 ということは、両辺を10で割ったうえで、移項すると、次の等式が得られる。 ak+1= [ak+1] + ak+2/10 … (1-2-1) ・rkは、 rk=[r]+d1/10+d2/100+d3/1000+…+dk/10k … (1-2-2) と定義されのだった。 ・(1-2-1) (1-2-2) を (仮定) に代入すると、 r=[r]+d1/10+…+dk/10k+ ( [ak+1] + ak+2/10 )/10k+1 =[r]+d1/10+…+dk/10k + [ak+1]/10k+1 + ak+2/10k+2 … (1-2-3) ・実数rに随伴する整数列の第(k+1)項dk+1は、 dk+1=[ak+1] と定義されたので、 (1-2-3)は、 r =[r]+d1/10+…+dk/10k+dk+1/10k+1 + ak+2/10k+2 … (1-2-4) と書き換えられる。 ・rk+1は、 rk+1=[r]+d1/10+d2/100+d3/1000+…+dk/10k+dk+1/10k+1 と定義されのだったから、 (1-2-4)は、 r = rk+1 + ak+2/10k+2 と書き換えられる。 これで、 (仮定)のもとで、n=k+1のとき、 r=rn+an+1/10n+1 つまり、r-rn=an+1/10n+1 が成立すること は示された。 [→赤攝也『実数論講義』定理8.4.4のなかの証明(pp.242-243)] [step2] 随伴数列の性質「(∀n∈N) (0≦an<10)」より、 an+1/10n+1 < 10/10n+1 =1/10n [step3] 随伴数列の性質「(∀n∈N) (0≦an<10)」より、 0≦ an+1/10n+1 [step4] step1とstep2,step3より、 0≦ r-rn<1/10n |
[文献]・赤攝也『実数論講義』§8.4「10進小数」定理8.4.4(pp.242-243)・加藤十吉『微分積分学原論』3.3有理数の稠密性(p.30): |
→「十進近似列が満たす性質2」冒頭 |