実数の十進近似列の具体例

 「随伴する数列」「随伴する整数列」「十進近似列」は、
  実数の小数表示の理論付け・定義づけのための準備として、しつらえられている。

 しかし、何をやっているのか、これだけでは、わかりづらい。

 そこで、順序はあべこべになるけれども、
  実数を小数として表示できることを前提してしまったとき、
   「随伴する数列」「随伴する整数列」「十進近似列」は、何を意味するのか?
 具体的な数値例を通して、みてみよう。

    [具体例]
     ・「有限桁の小数で表せる正の有理数」の十進近似列(定義1/定義2) 
     ・「有限桁の小数で表せる負の有理数」の十進近似列 (定義1/定義2)
     ・「循環小数で表せる正の有理数」の十進近似列(定義1/定義2) 
     ・「循環小数で表せる負の有理数」の十進近似列(定義1/定義2)
     ・「循環しない無限桁の小数でしか表せない正の無理数」の十進近似列(定義1/定義2)
     ・「循環しない無限桁の小数でしか表せない負の無理数」の十進近似列(定義1/定義2)


→「十進近似列の具体例」冒頭 
→「十進近似列」冒頭



 −π の十進近似列(定義1)  
       cf.−πの十進近似列(定義2)  

 ・−π=−3.141592…=−4+0.8584073… に随伴する数列とは、以下の数列。
    a1=10(−π−[−π])=10(−3.141592…−[−3.141592…])=10(−3.141592…−(−4))=10(4−3.141592)=10・0.8584073…=8.584073… 
                      要するに、a1は、−πを−4+0.8584073…と表したときの0.8584073…を、10倍して、一桁ずらしたもの。
    a2=10(a1−[a1])=10(8.584073…−[8.584073…])=10(8.584073…−8)= 10・0.584073…=5.84073…
                      要するに、a2は、−πを−4+0.8584073…と表したときの0.8584073…の小数点以下第一位を消去したものを、100倍して、2桁ずらしたもの。
    a3=10(a2−[a2])=10(5.84073…−[5.84073……])=10(5.84073…−5)=10・0.84073…=8.4073…
                      要するに、a3は、−πを−4+0.8584073…と表したときの0.8584073…の小数点以下第二位までを消去したものを、1000倍して、3桁ずらしたもの。
    an=「−πを−4+0.8584073…と表したときの0.8584073…の小数点以下第(n−1)位までを消去したものを、10n倍して、n桁ずらしたもの」
    an+1=「−πを−4+0.8584073…と表したときの0.8584073…の小数点以下第n位までを消去したものを、10n+1倍して、n+1桁ずらしたもの」
  −π=−3.141592…=−4+0.8584073…に随伴する整数列とは、以下の数列。
    d1=[a1]=[8.584073…]=8  つまり、−πを−4+0.8584073…と表したときの0.8584073…の小数点以下第一位。
    d2=[a2]=[5.84073…]=5   つまり、−πを−4+0.8584073…と表したときの0.8584073…の小数点以下第二位。
    d3=[a3]=[8.4073…] =8  つまり、−πを−4+0.8584073…と表したときの0.8584073…の小数点以下第三位。
     :
    dn =「−πを−4+0.8584073…と表したときの0.8584073…の小数点以下第n位」 
    :      

   ここで、−π=[−π]+d1/10+d2/100+d3/1000+…+dn/10n+… 
          =−4 +8/10+5/100+8/1000+…+dn/10n+…
          =−4 +0.8584073… 

   −π=−3.141592…=−4+0.8584073…の十進近似列とは、以下の数列。
   r1=[−π]+d1/10     =[−3.141592…]+8/10    =−4+0.8  つまり、−πを−4+0.8584073…と表したときの0.8584073…の小数点以下第一位までを残し、小数点以下第二位以下を切り捨てたもの。
   r2=[−π]+d1/10+d2/100 =[−3.141592…]+8/10+5/100 =−4+0.85 つまり、−πを−4+0.8584073…と表したときの0.8584073…の小数点以下第二位までを残し、小数点以下第三位以下を切り捨てたもの。
   r3=[−π]+d1/10+d2/100+d3/103=[−3.141592…]+8/10+5/100+8/103=−4+0.858
                 つまり、−πを−4+0.8584073…と表したときの0.8584073…の小数点以下第三位までを残し、小数点以下第四位以下を切り捨てたもの。
     :
    rn =「−πを−4+0.8584073…と表したときの0.8584073…の小数点以下第n位までを残し、小数点以下第(n+1)位以下を切り捨てたもの。」 
    :      

   ここで、−π=−3.141592…=−4+0.8584073…のの十進近似列 の極限とは?−π=−4+0.8584073…にほかならない。
   




∞

     lim
 rn
 = [r] + 
Σ  di/10i  

n→∞

i=1


 
         =[−π]+d1/10+d2/100+d3/103+… 
          =[−3.141592…]+8/10+8/100+8/103+…
          =−4+0.8584073…
  →[冒頭/結論] 



→「十進近似列の具体例」冒頭 



 9/8=1.125の十進近似列(定義2)  

       cf.−πの十進近似列(定義1)  

 step1-1:d1とは?
    d1を、「d1/10≦r−[r]<(d1+1)/10」を満たす「0から9までの整数」に、定める。
       r−[r]=9/8−[9/8]=1.125−[1.125]=1.125−1=0.125だから、
       「d1/10≦r−[r]<(d1+1)/10」を満たす「0から9までの整数」d1とは、1。
    つまり、d1は、9/8=1.125の小数点以下第一位。   
 step1-2:r1とは? 
     r1=[r]+d1/10=[9/8]+1/10=1.1  つまり、r1は、9/8=1.125の小数点以下第一位までを残し、小数点以下第二位以下を切り捨てたもの。
 step2-1:d2とは?
    d2を、「d2/100≦r−r1<(d2+1)/100」を満たす「0から9までの整数」に、定める。
       r−r1=9/8−1.1=1.125−1.1=0.025だから、
       「d2/100≦r−r1<(d2+1)/100」を満たす「0から9までの整数」d2とは、2。
    つまり、d2は、9/8=1.125の小数点以下第二位。   
 step2-2:r2とは?
     r2=[r]+d1/10+d2/100=[9/8]+1/10+2/100=1.12  つまり、r2は、9/8=1.125の小数点以下第二位までを残し、小数点以下第三位以下を切り捨てたもの。
 step3-1:d3とは?
    d3を、「d3/103≦r−r2<(d3+1)/103」を満たす「0から9までの整数」に、定める。
       r−r2=9/8−1.12=1.125−1.12=0.005だから、
       「d3/103≦r−r2<(d3+1)/103」を満たす「0から9までの整数」d3とは、5。
    つまり、d3は、9/8=1.125の小数点以下第三位。   
 step3-2:r3とは?
     r3=[r]+d1/10+d2/100+d3/103=[9/8]+1/10+2/100+5/103=1.125   つまり、r3は、9/8=1.125の小数点以下第三位までを残し、小数点以下第四位以下を切り捨てたもの。
 step4-1:d4とは?
    d4を、「d4/104≦r−r3<(d4+1)/104」を満たす「0から9までの整数」に、定める。
       r−r3=9/8−1.125=1.125−1.125=0だから、
       「d4/104≦r−r3<(d4+1)/104」を満たす「0から9までの整数」d4とは、0。
    つまり、d4は、9/8=1.125の小数点以下第四位。   
 step4-2:r4とは?
     r4=[r]+d1/10+d2/100+d3/103+d4/104=[9/8]+1/10+2/100+5/103+0/104=1.1250   つまり、9/8=1.125の小数点以下第四位まで表示したもの。
 step5-1:d5とは?
    d5を、「d5/105≦r−r4<(d5+1)/105」を満たす「0から9までの整数」に、定める。
       r−r4=9/8−1.1250=1.125−1.1250=0だから、
       「d5/105≦r−r4<(d5+1)/105」を満たす「0から9までの整数」d5とは、0。
    つまり、d5は、9/8=1.125の小数点以下第五位。   
 step5-2:r5とは?
     r5=[r]+d1/10+d2/100+d3/103+d4/104+d5/105=[9/8]+1/10+2/100+5/103+0/104+0/105=1.12500   つまり、9/8=1.125の小数点以下第五位まで表示したもの。
 :
 step (n+1)-1:dn+1とは?
    dn+1を、「dn+1/10n+1≦r−rn<(dn+1+1)/10n+1」を満たす「0から9までの整数」に、定める。
       r−rn=9/8−1.1250…0=1.125−1.1250…0=0だから、
       「dn+1/10n+1≦r−rn<(dn+1+1)/10n+1」を満たす「0から9までの整数」dn+1とは、0。
    つまり、dn+1は、9/8=1.125の小数点以下第(n+1)位。   
 step5-2:rn+1とは?
     rn+1=[r]+d1/10+d2/100+d3/103+d4/104+d5/105+…+dn+1/10n+1=[9/8]+1/10+2/100+5/103+0/104+0/105+…+0/10n+1=1.12500…0   つまり、9/8=1.125の小数点以下第(n+1)位まで表示したもの。
 :



→「十進近似列の具体例」冒頭