実数の十進近似列の具体例

 「随伴する数列」「随伴する整数列」「十進近似列」は、
  実数の小数表示の理論付け・定義づけのための準備として、しつらえられている。

 しかし、何をやっているのか、これだけでは、わかりづらい。

 そこで、順序はあべこべになるけれども、
  実数を小数として表示できることを前提してしまったとき、
   「随伴する数列」「随伴する整数列」「十進近似列」は、何を意味するのか?
 具体的な数値例を通して、みてみよう。

    [具体例]
     ・「有限桁の小数で表せる正の有理数」の十進近似列定義1/定義2) 
     ・「有限桁の小数で表せる負の有理数」の十進近似列定義1/定義2
     ・「循環小数で表せる正の有理数」の十進近似列定義1/定義2) 
     ・「循環小数で表せる負の有理数」の十進近似列定義1/定義2
     ・「循環しない無限桁の小数でしか表せない正の無理数」の十進近似列定義1/定義2
     ・「循環しない無限桁の小数でしか表せない負の無理数」の十進近似列定義1/定義2


「十進近似列の具体例」冒頭 
十進近似列」冒頭




 -1/7 の十進近似列(定義1)  

       cf.-1/7の十進近似列(定義2)  

 ・−1/7=−0.142857 142857 …=−1+(6/7)=−1+0.857142 857142 … に随伴する数列とは、以下の数列
    a1=10(−1/7−[−1/7])=10(−0.142857 142857 …−[−0.142857 142857 …])=10(−0.142857 142857 … −(−1))=10・(1−0.142857 142857 …)=10・0.857142 857142 … =8.57142 857142 …  
                要するに、a1は、−1/7を−1+0.857142…と表したときの、0.857142…を10倍して、一桁ずらしたもの。
    a2=10(a1[a1])=10(8.57142 857142 …−[8.57142 857142 …])=10(8.57142 857142…−8)= 10・0.57142 857142…=5.7142 857142 857142…
                要するに、a2は、−1/7を−1+0.857142…と表したときの、0.857142…の小数点以下第一位を消去したものを、100倍して、2桁ずらしたもの。
    a3=10(a2[a2])=10(5.7142 857142…−[5.7142 857142…])=10(5.7142 857142…−5)=10・0.7142 857142…=7.142 857142 857142…
                要するに、a3は、−1/7を−1+0.857142…と表したときの、0.857142…の小数点以下第二位までを消去したものを、1000倍して、3桁ずらしたもの。。
    :
    an =「−1/7を−1+0.857142…と表したときの、0.857142…の小数点以下第(n−1)位までを消去したものを、10n倍して、n桁ずらしたもの」
    an+1=「−1/7を−1+0.857142…と表したときの、0.857142…の小数点以下第n位までを消去したものを、10n+1倍して、n+1桁ずらしたもの」
     :

  −1/7=−0.142857 142857 …=−1+(6/7)=−1+0.857142 857142 … に随伴する整数列とは、以下の数列
    d1[a1][8.57142 857142 …]=8 つまり、−1/7を−1+0.857142…と表したときの、0.857142…の小数点以下第1位
    d2[a2][5.7142 857142…]=5   つまり、−1/7を−1+0.857142…と表したときの、0.857142…の小数点以下第2位
    d3[a3][7.142 857142…] =7  つまり、−1/7を−1+0.857142…と表したときの、0.857142…の小数点以下第3位
     :
    dn =「−1/7を−1+0.857142…と表したときの、0.857142…の小数点以下第n位」 
    :   
   
  −1/7=−0.142857 142857 …=−1+(6/7)=−1+0.857142 857142 …の十進近似列とは、以下の数列
    r1[−1/7]d1/10      =[−0.142857 142857 …]+1/10      =0.1        つまり、1/7=0.142857 142857 …の小数点以下第一位までを残し、小数点以下第二位以下を切り捨てたもの。
    r2[−1/7]d1/10+d2/100  =[−0.142857 142857 …]+1/10+4/100   =0.14    つまり、1/7=0.142857 142857 …の小数点以下第二位までを残し、小数点以下第三位以下を切り捨てたもの。
    r3[−1/7]d1/10+d2/100+d3/103[−0.142857 142857 …]+1/10+4/100+2/103=0.142  つまり、1/7=0.142857 142857 …の小数点以下第三位までを残し、小数点以下第四位以下を切り捨てたもの。
     :
    rn =「−1/7を−1+0.857142…と表したときの、0.857142…の小数点以下第n位までを残し、小数点以下第(n+1)位以下を切り捨てたもの。」 
    :      

   ここで、−1/7の十進近似列 の極限とは?−1/7の小数表示−1+0.857142…にほかならない。
   






     lim
 rn
 = [r] + 
Σ  di/10i  

n→∞

i=1


         =[−1/7]+d1/10+d2/100+d3/103+… 
          =−1 +8/10+5/100+7/1000+…
          =−1 +0.857142…


  →[冒頭/結論] 


「十進近似列の具体例」冒頭 




 -1/7 の十進近似列(定義2)  

       cf.-1/7の十進近似列(定義1)  

 step1-1:d1とは?
    d1を、「d1/10≦r[r]<(d1+1)/10」を満たす「0から9までの整数」に、定める。
       r[r]=9/8−[9/8]=1.125−[1.125]=1.125−1=0.125だから、
       「d1/10≦r[r]<(d1+1)/10」を満たす「0から9までの整数」d1とは、1。
    つまり、d1は、9/8=1.125の小数点以下第一位。   
 step1-2:r1とは? 
     r1[r]d1/10=[9/8]+1/10=1.1  つまり、r1は、9/8=1.125の小数点以下第一位までを残し、小数点以下第二位以下を切り捨てたもの。
 step2-1:d2とは?
    d2を、「d2/100≦rr1<(d2+1)/100」を満たす「0から9までの整数」に、定める。
       rr1=9/8−1.1=1.125−1.1=0.025だから、
       「d2/100≦rr1<(d2+1)/100」を満たす「0から9までの整数」d2とは、2。
    つまり、d2は、9/8=1.125の小数点以下第二位。   
 step2-2:r2とは?
     r2[r]d1/10+d2/100=[9/8]+1/10+2/100=1.12  つまり、r2は、9/8=1.125の小数点以下第二位までを残し、小数点以下第三位以下を切り捨てたもの。
 step3-1:d3とは?
    d3を、「d3/103rr2<(d3+1)/103」を満たす「0から9までの整数」に、定める。
       rr2=9/8−1.12=1.125−1.12=0.005だから、
       「d3/103rr2<(d3+1)/103」を満たす「0から9までの整数」d3とは、5。
    つまり、d3は、9/8=1.125の小数点以下第三位。   
 step3-2:r3とは?
     r3[r]d1/10+d2/100+d3/103[9/8]+1/10+2/100+5/103=1.125   つまり、r3は、9/8=1.125の小数点以下第三位までを残し、小数点以下第四位以下を切り捨てたもの。
 step4-1:d4とは?
    d4を、「d4/104rr3<(d4+1)/104」を満たす「0から9までの整数」に、定める。
       rr3=9/8−1.125=1.125−1.125=0だから、
       「d4/104rr3<(d4+1)/104」を満たす「0から9までの整数」d4とは、0。
    つまり、d4は、9/8=1.125の小数点以下第四位。   
 step4-2:r4とは?
     r4[r]d1/10+d2/100+d3/103d4/104[9/8]+1/10+2/100+5/103+0/104=1.1250   つまり、9/8=1.125の小数点以下第四位まで表示したもの。
 step5-1:d5とは?
    d5を、「d5/105rr4<(d5+1)/105」を満たす「0から9までの整数」に、定める。
       rr4=9/8−1.1250=1.125−1.1250=0だから、
       「d5/105rr4<(d5+1)/105」を満たす「0から9までの整数」d5とは、0。
    つまり、d5は、9/8=1.125の小数点以下第五位。   
 step5-2:r5とは?
     r5[r]d1/10+d2/100+d3/103d4/104d5/105[9/8]+1/10+2/100+5/103+0/104+0/105=1.12500   つまり、9/8=1.125の小数点以下第五位まで表示したもの。
 :
 step (n+1)-1:dn+1とは?
    dn+1を、「dn+1/10n+1rrn<(dn+1+1)/10n+1」を満たす「0から9までの整数」に、定める。
       rrn=9/8−1.1250…0=1.125−1.1250…0=0だから、
       「dn+1/10n+1rrn<(dn+1+1)/10n+1」を満たす「0から9までの整数」dn+1とは、0。
    つまり、dn+1は、9/8=1.125の小数点以下第(n+1)位。   
 step5-2:rn+1とは?
     rn+1[r]d1/10+d2/100+d3/103d4/104d5/105+…+dn+1/10n+1[9/8]+1/10+2/100+5/103+0/104+0/105+…+0/10n+1=1.12500…0   つまり、9/8=1.125の小数点以下第(n+1)位まで表示したもの。
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「十進近似列の具体例」冒頭