1.収束列の符号を反転した数列の極限

数列{an}が収束列ならば
 その符号を逆転した数列{−an}も収束列

数列{an}が実数αに収束するならば
 数列{−an}は、実数−αに収束する。
 
 記号を用いて表現すると、

     anα (n→∞)   −an→−α (n→∞) 
 

 
 




      lim an=α    lim an=−α= − lim an
n→∞ n→∞ n→∞


 ※なぜ?→証明
 ※数列{an}が収束しない場合→詳細 




[文献]
 ・神谷・浦井『経済学のための数学入門』定理2.2.1(p.69)
 ・黒田『微分積分学』§2.5.3定理2.8(pp.47-8)
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』2章例2.3(pp.16-17):定数倍、符号反転、逆数。証明付。


 
 




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証明:「収束列の符号を反転した数列の極限」

step1:仮定の分析】


 数列の収束の定義より、

 仮定「anα (n→∞)」とは、

  「任意の正の実数εに対して、ある自然数Nが存在して、
         『nNならば、 | an −α|<ε』を満たす
   (ε>0) (NN) (nN) ( nN | an−α|<ε)

 を意味する。 

 つまり、




  ご活用の際には、
  下記文献にアクセスして自ら確認されることをおすすめします。
  まだまだ至らないので…。

[文献]
 ・神谷・浦井『経済学のための数学入門』定理2.2.1(p.69)


 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』2章例2.3(pp.16-17):定数倍から導出。
 



 仮定「anα (n→∞)」  (ε>0) (NN) (nN) ( nN | an−α|<ε)  …(1)

step2:結論の分析】


 数列の収束の定義より、

 結論「−an→−α (n→∞)」とは、

  「任意の正の実数εに対して、ある自然数Nが存在して、
         『nNならば、 |an −(−α)|<ε』を満たす
   (ε>0) (NN) (nN) ( nN |an −(−α)|<ε)

 を意味する。 

 つまり、

  結論「−an→−α (n→∞)」  (ε>0) (NN) (nN) ( nN |an −(−α)|<ε)  …(2)

step3】


 | an−α||an−(−α))| …(3)
 である。 

 なぜなら、
  | an−α||−(an−α)|  ∵絶対値の性質 
     =|an+α|  
     =|an−(−α))|  

step4】

 
 ・(3)を用いて、(1)を見直すと、
    仮定anα (n→∞)の定義は、
     「任意の正の実数εに対して、ある自然数Nが存在して、
         『nNならば、 | an −α||an−(−α))|<ε』を満たす」
    となっていること、
    論理記号で書くと、
     仮定「anα (n→∞)」  (ε>0) (NN) (nN) ( nN | an−α||an−(−α))|<ε)  
    となっていることに気づく。
 ・つまり、
    仮定anα (n→∞)の定義
      「任意の正の実数εに対して、ある自然数Nが存在して、
             『nNならば、 | an −α|<ε』を満たす」
    は、
      「任意の正の実数εに対して、ある自然数Nが存在して、
         『nNならば、 |an−(−α))|<ε』を満たす」
    と表現しても、その意味はかわらない。

  論理記号で書くと、

  仮定「anα (n→∞)」  (ε>0) (NN) (nN) ( nN | an−α|<ε)  
               (ε>0) (NN) (nN) ( nN |an−(−α))|<ε)  …(4)

step5】


 ・(2)を用いて(4)を見直すと、
  仮定「anα (n→∞)」  (ε>0) (NN) (nN) ( nN | an−α|<ε)  
               (ε>0) (NN) (nN) ( nN |an−(−α))|<ε)  
                 結論「−an→−α (n→∞)」 
  となっていることに気づく。
 
 ・これは、
    仮定anα (n→∞)の定義
      「任意の正の実数εに対して、ある自然数Nが存在して、
             『nNならば、 | an −α|<ε』を満たす」
    は、
      「任意の正の実数εに対して、ある自然数Nが存在して、
         『nNならば、 |an−(−α))|<ε』を満たす」
    と表現しても、
      「−an→−α (n→∞)」。
    と表現しても、その意味はかわらない
  ということに他ならない。

 要するに、
  「anα (n→∞)」  「−an→−α (n→∞)」 



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