〜薫製をつくろう!〜

ここでは自分で燻製を作ってみたいという方のために、薫製について/ 薫製の基本的作業の流れ/ 薫製作りの道具/ スモークレシピ集 スモークサーモン 生ハム ビーフジャーキー ベーコン など、燻製作りについて失敗談などをまじえてご紹介していきます。

〜薫製について〜

《薫製のはじまり》
冷蔵庫などなく、食品を保存する方法がなかったはるか昔、人々はどうすれば食品を長く保存できるか頭を悩ませていました。そんな時、焚き火のそばに干され、煙が自然にかかった肉や魚に高い保存性があることに気づきました。これが薫製のはじまりだといわれています。

《なぜ保存性が高まるのか》
薫製の保存性が高まるのは、肉や魚に煙をかけることで、フェノール系化合物や有機酸が生じるからです。これらの成分には細菌の増殖や、脂の酸化を抑える働きがあります。また、食品の表面に膜のようなものをつくり、細菌が内部に侵入することも防いでいます。
モノが腐るのは細菌が繁殖するからですが、細菌が繁殖するには水分を必要とします。ですから、脱水すればするほど長期保存が可能になります。ただ、現代は冷蔵庫があるので、保存より味に力点をおいて、脱水も塩加減もほどほどがいいかと思います。

《薫製のおいしさ》
薫製のおいしさは、風味と香りではないでしょうか。薫煙することで薫製独特のほのかな味と香りが出てきます。この味や香りは保存性を高めるフェノール系化合物によるもので、多すぎると苦くなったり、嫌な匂いになったりします。ですから、煙をかけ過ぎると薫製は失敗してしまいます。
私のはじめての薫製は、キャンプに行った時にスポーツ用品店で買った「いぶす薫」で作ったビーフジャーキーでした。薫製とは煙で燻すことだと考えていたため、とにかく燻したのですが、できあがったものを味見したところ炭を食べているようでした。

〜薫製の基本的な作業の流れ〜


下処理 → 塩漬け → 塩抜き → 風乾 → 薫煙 → できあがり

*この作業工程はすべての薫製作りに共通しています。

<下処理>
素材の下処理です。肉なら余分な脂肪やスジを取り除き、適度な形に切りそろえます。魚ならエラ、内蔵、血合いなどを取り除きます。この作業をきちんとしないと、腐敗の原因になります。

<塩漬け>
塩そのものには殺菌効果があり、塩によって食材が脱水され、細菌の繁殖に必要な水分が取り除かれるため保存効果も高まります。また、塩によって食材の弾力性が増して歯ざわりがよくなったり、風味が増したりします。
塩漬け方法には、 ふり塩法ソミュール法 の2種類あり、食材や好みに応じて使い分けます。

<塩抜き>
食材に浸透した余分な塩を洗い流し、腐敗や生臭さの成分を取り除きます。塩抜きの時間を調節することで、食材の塩分濃度が変わってきます。塩抜き時間が短いとできあがりは塩からくなりますが、保存性は高まります。逆に長いと塩味が足りなくなり、保存性があまりなくなります。自分好みの味や保存期間に合わせて塩抜きをします。

<風乾>
塩抜きが終わった食材は水分を多く含んでいるため、清潔な布で拭きとって直射日光をさけて陰干しします。風通しのいい日陰で風乾するのがベストです。これによって水分が抜け、薫煙がかかりやすくなります。
風通しのいい日陰というコンディションを作れない人は、扇風機で乾燥させます。扇風機の風は直接あてると表面がぱさぱさになるので、間接的にあてるようにしましょう。
扇風機での風乾も無理な時には、冷蔵庫で乾燥させます。冷蔵庫にそのまま丸一日か二日入れておけばいいので、これが一番簡単な方法です。

<薫煙>
薫煙には、 冷薫法 温薫法 熱薫法 の三種類あります。

<できあがり>
できあがった直後のベーコンやビーフジャーキーなどは、作った者にしか味わえない最高のぜいたくです。できあがった薫製の味をみて、苦くて煙っぽいなど薫煙し過ぎたと思ったらしばらく風にさらしておきます。

薫製は作る時にはレシピや薫煙時間など、次のために必ず記録を取っておきます。同じように作っても、作る度に味が変わってくるのが薫製です。それだけにどんな味に仕上がっているか、味見の楽しみも格別です。

〜薫製作りの道具〜

薫製作りに必要な道具は、いつも使っている台所の調理道具でほとんど間に合います。特別に必要なものとしては次のようなものが挙げられます。

<スモーカー>
スモーカー(薫煙器)は、風乾の後の食材を薫煙する箱です。薫煙するスペースのあるものなら何でもいいわけで、段ボール箱など家庭にあるものを利用して作っても十分間に合います。

どんなスモーカーがいいかは、何を薫製するかで変わってきます。スモークサーモンを作りたいというなら、キャンプ用品としてスポーツ用品店やホームセンターで売られているものは小さ過ぎます。スモークサーモンのような冷薫の場合、温度を摂氏25度以下に抑えなければいけないので、小さいスモーカーだと温度が上がりすぎて失敗します。大きな段ボール箱の方がいいでしょう。パソコンの箱は大きくて丈夫でスモーカーにはぴったりです。

チーズ、ちくわ、かまぼこ、ゆで卵などの薫製には中華鍋がスモーカーとして使えます。鍋の底にチップを入れ、ガスコンロで熱することで手軽にできます。 その他には、天ぷらガードをガムテープで張り付けてスモーカーを作ることもできます。

自分でスモーカーを作ると薫製の楽しみが一気に広がってきます。自作のスモーカーを作る場合、考えておかなければいけないことは、熱源をどうするか、食材をどこにおくか、煙が出すぎた時に排煙をどうするか、温度計をどこに設置するかなどです。

私の場合、薪ストーブ用に製材所でもらってきた米マツの角材の残りがあったので、これを利用して 自作のスモーカーを作りました。スモークサーモンや生ハムなどの冷薫を主に作りたいと考えていたので、大きなスモーカーを作ったのですが、大きすぎて温薫や熱薫を作る時には炭やチップが大量に必要になるという厄介なことになりました。薫製を作るときには大量に作ることにしています。

<温度計>
温度計は必需品です。東急ハンズでスモーク用の 温度計を売っていますが、温度さえ計れれば、どのようなものでもかまいません。

<スモークチップ>
薫煙する時に使う薫煙材で、ヒッコリー、サクラ、ナラ、リンゴなど、食材に合わせてさまざまにあります。私の場合、すべてサクラを使っています。
薪ストーブ用にとリンゴ農家からもらってきたリンゴの木をチップに削って使ってみましたが、風味、香りとも満足できなかったので今では使っていません。
冷薫の場合、温度があがらないようにスモークウッドを使っています。はじめて使う時には戸惑いますが、慣れるととても便利です。このおかげで熱源と薫煙室をパイプなどの煙道で結ぶスモーカーが必要なくなり、スモークサーモンや生ハムなど、簡単に冷燻ができるようになりました。

<熱源>
スモークチップに熱を加えて煙を出す時に必要になるのが熱源です。熱源としては、ガスコンロ、電気コンロ、炭火などが考えられます。中華鍋やホームセンターなどで販売しているスモーカーなどは、家庭のガスコンロに直接おけばいいので、この場合特別の熱源はいりません。
ガスコンロは火力があり温薫や熱薫には向いています。キャンプ用の携帯用ガスコンロなどは屋外でも手軽に利用できて便利です。ここで気をつけなければいけないのが、熱源の温度があがりすぎてチップが燃えてしまわないようにすることです。
私の場合、スモーカーが森の中にあるので炭火を使っています。ただ、長時間薫製する場合、炭をこまめに足さなければならないという不便があります。


スモークレシピ集 (スモークチップはすべてサクラを使っています)

スモークサーモン

生ハム

ビーフジャーキー

ベーコン

アウトドアブームが続いていますが、キャンプに行った時に薫製をしたいと考えておられる方が多いのではないでしょうか。その場合、すべての作業をキャンプ場でというのは無理です。下処理、塩漬け、塩抜きは家で済ませ、キャンプ場では風乾(キャンプの日程が短い方は風乾も家で済ませておく)と薫煙をし、できあがりをゆっくり楽しむのがいいのではないでしょうか。自然の中で火を熾し、煙で燻された料理を食べるのは格別です。これにおいしいお酒があればいうことなしです。ぜひおためし下さい。

薫製作りについて皆さまからのご意見、失敗談、自慢話などの体験談など、何でも結構ですからコメントをお待ちしています。

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〜もう一度読みたい方へ〜

薫製について

薫製の基本的作業の流れ

薫製作りの道具

スモークレシピ集





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