写真展について

 

<最近観た写真展>

フジフィルムスクエア

フジフィルム・フォトコレクション展 日本の写真史を飾った写真家の「私の1枚」

 

日本新聞博物館

激動のOKINAWA42年


 

田沼武能/
戦後を生きた子どもたち


南良和/
秩父三十年 ―1957~1991―

 

立木義浩/
PIECE OF CAKE


<写真展寸評>
写真家順

 

企画展

 

<テレビ番組>
Hello!フォト☆ラバーズ
ミル・トル・アルク


 二川幸夫という人を私は知らなかった。朝日新聞で「日本の民家 一九五五年」という写真展が紹介されていたので興味を持ち、行くつもりであった。なかなかチャンスを見つけられないでいたら、本人が3月5日に80歳でお亡くなりになってしまった。写真展は3月24日までであったが、丁度都合良く東京に出る機会があったので、22日に鑑賞した。
二川幸夫は建築写真家として有名な方であり、そして同時に建築を見る事についても専門家(ただし建築家ではない)である。
 写真というものは、記録と創作(芸術)としての両方の機能を備えていると思う。それは対象が外にあるにも関わらず、内なる思いを通して撮るからだ。外にあるものが強く出れば記録性が強くなり、内なる思いが強くなれば創作(芸術)性が強くなる。今回の展覧会ではその両面がはっきり出ている気がした。民家を忠実に記録している写真とそれを使う人の息づかいが聞こえてくる様な写真と。
 展示会は、1957年から1959年にかけて「日本の民家」として出版(発表)された写真をプリントとして初めて展示したもので、それらは彼が若かりし頃に日本全国を歩いて撮った写真の数々である。すなわち、京・山城に始まり大和・河内、山陽路、四国路、西海路、陸羽・岩代、武蔵・両毛、信州・甲州、北陸路、高山・白川まで全部で72の写真が迷路の様に飾られていた。
 今見ると、撮った地域性もあるのだろうが、当時(1955年/昭和30年)は未だこんな生活だったのか、と思わせるものが殆どである。こんな生活とは、電化(機械的な)生活とは異なり、手作り感のある生活である。その生活にあった民家が未だ普通に使われており、数多く存在した様子がうかがえる。建物(民家)は地域によって大いに様相が異なる。京、大阪は町家の様相を呈しているが、他の地域は農家である。東北では曲屋、白川では合掌造り、北関東では蚕屋などである。
 今の街並みや集落の様子はどうだろう?思想も文化も感じられなくなってしまったなあ、と思わせる展覧会であった。
(2013年1月12日〜2013年3月24日 パナソニック汐留ミュージアムにて開催)