伊藤雄二:確率論

作成日 : 2022-09-17
最終更新日 :

概要

「まえがき」から引用する。

本書は測度論に基づく近代的確率論を学ぶための, 数学的にできるだけ厳密な入門書を意図して書かれたものである.

本書の章末には問題があり、略解が付されている。略解ではあるが、詳しめである。

積分の値

p.163 にある問題 6.11 は次のとおりである。

`int_0^oo (sinx/x)^2 dx = pi/2` であることを示せ.

p.267 の解答は次のとおりである。

`int_0^oo sin^2x/x^2 dx` を `u = sin^2 x, dv = 1/x^2 dx` とおいて部分積分すればよい.

やってみることにする。

`int_0^oo sin^2x/x^2 dx = -[1/x sin^2x]_0^oo - (-int_0^oo 1/x 2sinxcosx dx) = int_0^oo (sin2x)/x dx = pi/2`

なお、最後の等式は、本書の p.133 にある次の補題 15.1 を使った。

補題 15.1. `alpha` を任意の実数とすると,
`int_0^oo sin(alphat )/t dt = pi/2 "sgn" alpha`
ここで
`"sgn" alpha = {(1, alpha gt 0),(0, alpha = 0),(-1, alpha lt 0):}`
である.

確率論の専門家

「まえがき」から引用する。

当初本書の執筆者として予定されていた確率論の専門家が, 途中で断念されたという経緯もあって, 専門家とはいえないかもしれない筆者が執筆をお引き受けすることになってしまった.

この途中で断念された「専門家」が誰かが気になった。本講座の別の本のカバーを見ると、当初予定の著者の名前があったので、 ああこの方か、ということがわかった。

朝倉書店 新数学講座

  1. 伊藤雄二:微分積分学
  2. 服部昭:線型代数学
  3. 加藤十吉:集合と位相
  4. 永尾汎:代数学
  5. 西川青季:幾何学
  6. 高野恭一:常微分方程式
  7. 木村俊房・高野恭一:関数論
  8. 一樂重雄:位相幾何学
  9. 森本光生:関数解析とフーリエ級数
  10. 伊藤雄二:確率論
  11. 鈴木雪夫:統計学
  12. 和田秀男:計算数学
  13. 一松信:数値解析
  14. 組合せ数学
  15. 増田久弥:非線型数学

数式の記述

数式は MathJax を用いている。

書名確率論
著者伊藤雄二
発行日2002 年 3 月 20 日 初版第 1 刷
発行元朝倉書店
定価5200 円(本体)
サイズA5 版
ISBN4-254-11440-0
備考草加市立図書館で借りて読む

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