有名な作品、どこかできいたあのことば、それを古典ギリシア語で知りたい、 という人のためのはじめの一歩。
理系だったからギリシア文字そのものは抵抗がない。これが幸いしたかな、と思う。 最初の「パテーマタ マテーマタ」(日本語にすれば、「苦難は学び」、 かっこうつけていえば「艱難辛苦汝を珠にす」か)も、 つぎの「グノーティ タウトン」(汝自らを知れ)も、 ギリシア語として発音すると重々しくて得をした気分になる。
おもしろかったのは、「貸す」を「借りる」と同じ動詞で表現することで、 これは自分のメビウスのことばに書いた。
それから、そしてを意味する και という接続詞が出てきたのをみて、 これがエスペラントの kaj になったのか、という思いにしみじみ浸ったりした。 また、単数、複数とはことなる双数の概念をここで詳しく知った。 単に2を表すときに必ず双数になる、というわけではなくて、 ペアであることに特別な意味があるときに双数を使う、ということだった。 たとえば、君と私のような場合にも場合によっては双数が使えることに驚いた。
小文字ならば ὦμος(肩) を表すときに、両肩を τὼ ὤμω という形になるので、 これが双数を表す。ただ、二つのものがあれば必ず双数で表す決まりというわけではない、 ということも知った。これにはまたおどろいた。 (2010-05-22)
書名 | 古典ギリシア語のしくみ |
著者 | 植田 かおり |
発行日 | 2009年9月13日(初版) |
発行元 | 白水社 |
定価 | 1800円(本体) |
サイズ | 判 |
ISBN | 978-4-560-08516-5 |
その他 | 草加市立図書館で借りて読む。 |
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