げき

おはなし
DRAMA
森は神秘
BAGE
B-Pの言葉
SONG
セレモニー
GAME
魔法の言葉
ホームページ
■キャンプファイヤーでの劇はスカウトの心にいつまでも残ります。
■スカウトが瞳を輝かせ夢中になる「劇」のヒントは、ここにあります。

「基本編 まずスカウティングにおける劇の意味を知っておこう」


ここで劇というのは、いわゆるスカウト劇であって、
普通の概念から言う正式の劇のことではない。
至極簡単な劇である。いわゆる、ジェスチャに属する物であると考えて良い。

ベーデン・パウエルは劇を人間形成の上から非常に重視した。
その意味は表現教育であるという点と、観察推理の両面からで、演技者の側からは表現を、
見ている者に対しては観察推理を練るためのものであって、
斥候術にも深い関連を持っている。彼自身少年時代から巧であった。
それで彼の友人達は、彼は俳優になると良いと言ったほどであった。

彼が連隊長をしていたとき、連隊劇場を設けて自分もよく出演した。
ある時、一兵卒に化けて演技をし。見ている者は新参の兵だと思いこんでいた。
後で連隊長だと知って、舌を巻いてビックリしたという話は有名である。

又彼がマフィキングの英雄と騒がれ、本国に凱旋将軍として帰国の道中の一等サロンで
薄汚いルンペンに変装して寝転がって、
乗客の貴婦人を卒倒させたという逸話が残っているが、
これは少々うがちすぎたいたずらであった。

スカウト劇は野外劇(ページェント)がその本命である。

自然を背景として、地物を利用して行うのである。
観者は出演者の注文による位置に席を移動するので、
これは"廻り舞台"ではなくて逆の"廻り観客席"という珍しい設定になるのである。
こうした劇のやり方は他には例が無かろう。
創意工夫によっては思わぬ好演が出来るものである。

勿論ステージでやる室内劇もやるし、また営火を囲んで営火から発せられる
幻想的な光線を照明として演ずる営火劇もある。

そうした場合、舞台装置があるわけでもないし、大道具の必要もない。
グランドシーツで扮装し、飯ごうを逆さにして頭に乗せて冠にしたりして
野営用具を利用して小道具にしたり、まな板を叩いて銃声にしたり、
水を張ったバケツに小石を投げ込んで蛙の飛び込む水の音を出したりして、
当意即妙、誠に天衣無縫の面白味があるのである。
しかし、あまりに凝りすぎると嫌みになってしまう。

出来るだけ素朴に、言葉少なく、細部を省略した、墨絵のごとくしかもアクセントを
ハッキリつけた演出、それは、昔からある能狂言に見られる様な演出となるであろう。

こうした形のスカウト劇を接点として人間が絶対者との関連を結ぶという、
宗教性の劇を考えて見ると良い。

とはいえ、クリスマスの催しとして演じられる純粋の宗教劇の様なものを考えているのでは
決してない。いわゆる宗教的情操を養う程度に止めておく方が余韻があるものと考えたい。

そこで、問題はどんなストーリーで演出をするか?ということになる。
まあ、せいぜい10分〜15分くらいの短い時間で出来るものという制限が付く。

劇を通じて信仰心を高めるための接点とする、というこの命題については、
まだまだ研究すべき点は多い。失敗は覚悟の上で、試行錯誤を重ねたいものである。
無言劇は比較的に失敗は少ないものである。

(ボーイスカウト静岡県連盟 スカウティングの原点をさぐる より)


「活用編 簡単にできる劇・スタンツ」

■スカウトの活動における野外劇の効果■

スカウティングにおける劇の効用は、一般的に次の様に言われています。

1.自己表現

言葉では、うまく表現できない多くの体験や、知識をもっており、
それをありのまま表す事が大切である。

2.協  力

ほかの者が行うことに対応します。
孤立しがちな、あるいは利己的な子が、
他の者と一緒にやっていけるようになったり
自分より他の者のことを優先するようになれば素晴らしいことです。

3.想像力

自分以外の人物を演じたり、何かの物体になったりする体験をし、
また未知の世界を探検したりすることになる。

4.自覚敏感さ

静かにする時、にぎやかにする時、じっとしている時、動く時、
それがグループによる統制の第一歩となる。
より細かく考え、感じて、性格とか状況について微妙な点まで思い出す。

5.創意工夫

劇という『ごっこ』の中で問題の解決をはかることにより、
現実の生活での問題を解決する自信を持つようになる。



※劇を演じることによって、
子ども達が精神的に、身体的に、情緒的、知的に
そして、社会的に成長する力をのばす事になります。※

※ドラマを通じての教育とは、体験を通じて学ぶこと、
ある状況の中に自分を置いてみたり、ある人物になって考えたり、
行動したり、自ら体験してみる事によって
知識では得られない深い理解を得ることです。

ドラマによる表現とは、言葉と動作と云ったごく日常的な手段を使います。

言葉遊び、身振り遊び、ごっこ遊び、話づくりなどを通じて、
心に思った事や感じた事を、思いきって表現する喜び、
仲間との交流を通して表現することへの勇気と自信を育てるのです。
子どもの人格や、創造性を育てることが、この方法を使う目的です。

B−Pは、劇を通じて、人間形成の上から
非常に重複した表現教育であるという点と
観察、推理の両面から深い関連を持っていると言っています。