お米とご飯の雑学 ≪PartU≫



● 『特A』 ランクのお米って何? (ご質問のメールにお答え)
================================================================================
name=Satoh Masakatsuさん から次のようなご質問をいただき ました。
message= 小生、自宅でハツシモを食しています。とあるテレビ番組で、一等米の中でも、 作付け特Aをとったものは数少ないと聞きました。 この資料を手に入れるにはどうすればいいでしょうか。
================================================================================

『特A』云々というのは、食味ランキングの『特A』 のことだと思います。
これは、国内唯一の公的なお米の検定機関 (財)日本穀物検定協会が、毎年行い公表している 食味ランキングです。
食味試験は、近畿圏産の「日本晴」と「コシヒカリ」のブレンド米を基準米とし、鑑定員の官能による( 実際に食べてみる)試験で、基準米よりも特に良好なものを『特A』、良好なものを 『』、おおむね同等のものを『A'』、やや劣るものを『』、劣るものを 『B'』にランク付けして、毎年公表されているものです。

しかし現実は、同じ都道府県・市町村でも、地域により、田んぼにより、また生産者の意欲によっても 食味に違いがでるものですから、食味ランキングだけでお米の良否を判断することは危険です。
どんなお米が「特A」なのか、昨年と今年ではどんな変化があったのか、など詳しくは (財)日本穀物検定協会(略称: 穀検)のサイトをご覧ください。


しかし食味ランキングは、おいしいお米の一つの目安に過ぎません。
消費者の立場からおいしいお米を選ぶには、いろいろ食べ比べてみて、自分や家族の食味嗜好にいちばん 合うものを選ぶことと、信頼できる米屋を見つけることが賢い選択法ではないかと思います。



● 『魚沼産コシヒカリ』について

他のお米よりダントツ値段の高い『新潟県魚沼産コシヒカリ』。他の優良品種のお米が10kgで5,000円 台なのに7〜8,000円台、デパートでは1万円以上の価格も見られます。それは、魚沼産コシヒカリが 日本のお米の中で最もおいしいと言われ、求める人が多い需給のアンバランスが産んだ結果です。
現在、魚沼産コシヒカリの作付面積は約14,000ヘクタール弱(東京ドームの3,000倍ほど)、生産量は約68,000トンですが、 これは新潟県全体の収穫量の11%、全国の収穫量の0.76%に過ぎません。

また、『新潟県魚沼』とは、南魚沼・北魚沼・中魚沼の地区を指しますが、 一口に日本一おいしい魚沼産コシヒカリと言えども、その地域、また地域の中でも個々の田んぼ等々によって差があります。 また、気候や病虫害等の条件によっては、前年良かった地域が今年は良くないといったその年々によっての地域差も生じますが、 概していえば、南魚沼の塩沢町・六日町、北魚沼の十日町中里町あたりが、 魚沼の中でも特≠フ地域といえるでしょうか。だから、本当においしい魚沼産のコシヒカリは、ごくごく僅かなのです。

ところで、魚沼産のコシヒカリがおいしい理由には、土質がコシヒカリに合っているとか、 生産者の努力とか、いろいろな条件が重なっているのでしょうが、かなり重要な要素として 気温の日較差(昼間の最高気温と夜間の最低気温の差)という気候条件があります。
お米は昼間光合成で作られたデンプンは、夜間に穂に蓄えられます。夜の気温が高いと蓄えたデンプン を消耗するので、稲の登熟期に昼の気温が高く夜の気温が低いことが、お米の味作りに大変重要な 要素となりますが、魚沼地方はこの昼夜の温度差が大きい特徴を持っているのです。



● うまみの秘密 … お米にも“霜降り”

日本経済新聞は2001年8月18日の紙面で、新潟県の食品研究機関「県央研究所」の調査で、高級米の魚沼産コシヒカリなど山地の良質米は平野部でできる平場米に比べ、うまみを生むぬか層が米内部の 胚乳部に"霜降り"状態に浸透していることがわかった、と報じた。


同紙の記事によると、
新潟・県央研究所の研究によれば、山地米のぬか層には厚みがあり、米内部の胚乳部に入り組んでいたことがわかった、という。
そして、お米を研いでぬか層内部のぬかを洗い流した後、残ったぬか層の枠がうまみや粘りを生むため、お米のおいしさにつながる、と同研究所は指摘しているとのこと。
また、でんぷん細胞内のでんぷん粒が山地米は平場米に比べ小さく、熱を加えても壊れにくいことが「おいしいご飯」の理由だ、としているという。




● 『精米』 とは? (ご質問のメールにお答え)
================================================================================
name=群馬人さん からのご質問
message= (前略)精米とは何をさしているんですか?教えて下さい。
================================================================================

どんな職業でも、それぞれ「業界用語」というものがあると思いますが、 その業界人は業界用語をつい周知の言葉と思い込んで、何の断りもなく使ってしまいがちです。 「精米」もそうした用語なのかもしれない、と群馬人さんのメールで気付かさせられました。

私ども米業界人が「精米」というとき、二つの意味があります。
一つは「精白米」そのものを指していうとき、もう一つは「精米工程」を指す場合です。
稲穂からお米をコンバインなどで刈り込み粒として取り込んだとき、お米はまだ「モミ(籾)」で 被われています。このモミを脱穀したものが「玄米」です。
「玄米」の表層は糠の層に被われ、また胚の部分には胚芽が付いています。この「玄米」から 糠層と胚芽を取り去ったものが「精白米」です。食用にする「精白米」は、玄米から糠層と胚芽で 9〜10%取り除きます。この工程は、以前は「とう(搗)精」と呼んでいましたが、どうしてか 最近では「精米」と言うことが一般的になっているのです。
玄米を白米に精製する工程をまた、「米をつく(搗く)」とも言いますが、「米をする(摺る)」と 言う地方もあります。これは、(調べたわけではないので私の推測に過ぎませんが)昔はお米は 臼や水車を使って杵で搗いて白米にしたことから「搗く」といい、またそれは米粒同士の摩擦で 糠層を取り除くことから「摺る」というようになったのではないかと思います。
なお、栄養学の観点から胚芽は残して糠層だけを完全に取り除いたお米を「胚芽精米」といい、 精白米を10として7分程度の搗精度合いにしたお米を「7分づき米」、同様に5分・3分等々 玄米と精白米の中間のお米を総称して「分づき米」とも言います。
また、日本酒にするお米は、食用にするお米と違って玄米の表層をもっともっと削り取ったもの を使います。


● 米の重さと容量 (ご質問のメールにお答え)
================================================================================
name=深村さん からのご質問
message=米は、1合、2合と計量し、10合で1升、100升で1石と数えたと思います。
質問1.市販の米は、kg単位で売られています。そこで、1kgは何合ぐらいでしょうか?
質問2.1株から600粒が収穫できるとのことですが、600粒とは何合程度ですか?
================================================================================

  1. 昔、お米は確かにマス目(容量)で取り引きされ、売られていました。 そのなごりで、今でもお米を1合とか1升とか、容量で話されることがあります。しかしお米は 粒物ですから、枡に入れてトントンと叩けばたくさん入るし、フワッと盛れば少なく計ることも できます。
    それで現在では、計量は重量≠ナなければならないことになっています。
    では、1kgの容量は、ということになるのですが、次項で述べますように、お米は種類(品種)に よっても、またその年の天候によっても粒の大きさは千差万別なので、1合のお米は何グラム と確定することはできません。そこで一般的には1合は 140〜150g というのが目安です。 料理の本などで1カップというときには、大体150gを指しているようです。
    ですから逆算すれば分かるように、1kgのお米(精白米)は、おおよそ7合ということになります。
    蛇足ですが、液体の商品でも酒や醤油は1リットルとか1.8リットル(約1升)とか容量で 売られていますが、食用油の計量は重さで、約1升は 1.65kg として売られています。それは 油は温度などで容量が変化するからだそうです。
  2. お米(玄米)には、千粒重という言葉があります。前述のように同じ品種のお米でも 実りの具合によって大小がありますので、一応千粒の重さが目安となります。が、それもその年の 天候などで確定的ではありませんが、一応の基準があります。
    品種別の千粒重は、その筋のマニュアルによれば、
    コシヒカリ 20.3g、あきたこまち 20.7g、日本晴 21.6g、ハツシモ 24.9gなどなど です。


● 気温とお米の疲労度の関係
お米は生き物である。 玄米はもとより精白米になっても胚で呼吸をしている。 だから、お米は炭酸ガスを排出しているのだ。
その炭酸ガス排出量と気温の関係が次の表である。
気温\精白度 玄米 精白米
0℃ 0.259mg 1.166mg
20℃ 1.408mg 6.366mg
30℃ 9.583mg 43.124mg
炭酸ガスの発生量が多いほど、お米の疲労度は大きくなる。だから暑い夏は、お米の老化が早い。

特に、精白米の排出量は玄米に比べて急カーブで上昇するから、精白米はなるべく冷暗所に保存して おかないと、急速にマズくなる。



● 「コシヒカリ」は末っ子 →【関連情報】 Part3
お米も勿論メシベがオシベを受精して実を結ぶのであるが、新品種を作るときは、 異なる品種の雌雄を交配させる。

いま需要がいちばん多く、そのために作付け面積もいちばん多くなったコシヒカリ は、農林22号という品種のメシベに、農林1号という品種のオシベを 交配させて作られたお米である。

新品種が世に出るまでには約10年の歳月が必要だといわれるが、福井県農業試験場で 実験、育成されて誕生し、のちに新潟県農業試験場で育てられて、コシヒカリという名で 登場したのは昭和31(1956)年。

ところが実は、コシヒカリの登場前に、同じ両親から4種類の品種が生まれているのだ。

新潟県農業試験場で育成され昭和28年に登録された越路早生、29年には東北農業 試験場からハツニシキ、30年にはコシヒカリと同じ福井県農業試験場から ホウネンワセという品種が登場している。(そのほか、ヤマセニシキ というお米も同じ農林22号と農林1号から生まれた。)
ホウネンワセと越路早生は、今でも細々とではあるが作られているし、ハツニシキは 母親としてササニシキという優良品種を生み出したのだから、この一家は まあまあ立派な一家なのだろう。しかし、末っ子のコシヒカリの現在の隆盛を見ると、 何か人生をも思わせられてしまう。

いま、コシヒカリの北限は山形県で、それより南ではほとんどの県での作付けが見らる。


● 道府県毎で、どんなお米が作られているの?  
毎年、何人もの小学5年生がお米の種類を聞きに 来ます。社会科教科の課題のようです。
そこで、ここに各道府県で作付けされているお米の主な品種(種類)を掲げておきますので、 お父さん・お母さんから教えてあげて、お父さん・お母さんの株を上げてみてはいかが・・・。
 
北海道 ほしのゆめ、きらら397、あきほ
青 森 つがるロマン、ゆめあかり、あきたこまち、むつかおり、
岩 手 ひとめぼれ、あきたこまち、ササニシキ、たかねみのり、ゆめさんさかけはし
宮 城 ひとめぼれ、ササニシキ、まなむすめ、コシヒカリ、こころまち、
秋 田 あきたこまち、ササニシキ、ひとめぼれ、あきた39、めんこいな、はえぬき
山 形 コシヒカリ、はえぬき、ササニシキ、ひとめぼれ、どまんなか、あきたこまち、はなの舞
福 島 コシヒカリ、ひとめぼれ、ササニシキ、あきたこまち、まいひめ、じょうでき、初星
茨 城 コシヒカリ、キヌヒカリ、チヨニシキ、あきたこまち、ひとめぼれ
栃 木 コシヒカリ、ひとめぼれ、あさひの夢、初星、アキニシキ、晴れすがた
群 馬 コシヒカリ、ごろぴかり
埼 玉 コシヒカリ、キヌヒカリ、月の光、アキニシキ、あかね空、日本晴、さきたま姫
千 葉 コシヒカリ、ふさおとめ、初星、はなの舞、ひとめぼれ、あきたこまち
神奈川 キヌヒカリ
新 潟 コシヒカリ、越路早生、ゆきの精、はしり味、トドロキワセ、わせじまん、新潟早生
富 山 コシヒカリ、日本晴、ハナエチゼン、フクヒカリ
石 川 コシヒカリ、ほほほの穂、能登ひかり、加賀ひかり、
福 井 コシヒカリ、キヌヒカリ、日本晴、ハナエチゼン
山 梨 コシヒカリ、
長 野 コシヒカリ、あきたこまち、ながのほまれ、きらりん、秋晴、キヌヒカリ
岐 阜 コシヒカリ、ハツシモ、あきたこまち、日本晴、ひとめぼれ、ヤマヒカリ、あさひの夢
静 岡 コシヒカリ、キヌヒカリ、あいちのかおり
愛 知 コシヒカリ、葵の風、ミネアサヒ、祭り晴、あいちのかおり、あきたこまち、大地の風
三 重 コシヒカリ、キヌヒカリ、みえのみえ、あきたこまち、ヤマヒカリ
滋 賀 コシヒカリ、キヌヒカリ、日本晴、ハナエチゼン、ゆめおうみ
京 都 コシヒカリ、キヌヒカリ、どんとこい、日本晴、ヒノヒカリ、祭り晴
兵 庫 コシヒカリ、どんとこい、日本晴、フクヒカリ、金南風、ハナエチゼン、ヒノヒカリ、キヌヒカリ
奈 良 あきたこまち、アキツホ、ひとめぼれ、ヒノヒカリ、キヌヒカリ
和歌山 キヌヒカリ
鳥 取 コシヒカリ、ひとめぼれ、おまちかね、ヤマホウシ、日本晴、ヤマヒカリ
島 根 コシヒカリ、ときめき35、チドリ、日本晴、祭り晴
岡 山 コシヒカリ、朝日、アケボノ、あきたこまち、吉備の華、キヌヒカリ、日本晴
広 島 コシヒカリ、あきたこまち、ひとめぼれ、あきろまん、こいもみじどんとこい
山 口 コシヒカリ、晴るる、ひとめぼれ、ヤマヒカリ、ヤマホウシ
徳 島 コシヒカリ、あわみのり、キヌヒカリ、日本晴、ハナエチゼン
香 川 コシヒカリ、キヌヒカリ、コガネマサリ、ヒノヒカリ、
愛 媛 コシヒカリ、こいごころ、あきたこまちコガネマサリ、ヒノヒカリ
高 知 コシヒカリ、ナツヒカリ、黄金錦、ヒノヒカリ
福 岡 コシヒカリ、夢つくし、ヒノヒカリ、ほほえみ、つくし早生、ミネアサヒ、ツクシホマレ
佐 賀 コシヒカリ、佐賀1号、佐賀18号、さがうらら、ヒノヒカリ、あかね空、ゆめあこがれ、
長 崎 コシヒカリ、ヒノヒカリ、かりの舞、あさひの夢
熊 本 コシヒカリ、ヒノヒカリ、ユメヒカリ、ゆめみのり、森のくまさん、あきげしき、ミネアサヒ
大 分 コシヒカリ、ひとめぼれ、ヒノヒカリ、こいごころ、はえぬき
宮 崎 コシヒカリ、きらり宮崎、ヒノヒカリ、ユメヒカリ
鹿児島 コシヒカリ、ヒノヒカリ、鹿児島5号、かりの舞、ミナミヒカリ
【註】 (2000年11月現在)
赤字1類(「評価価格」が「中心価格」に対して108%以上のもの)
青字2類(「評価価格」が「中心価格」に対して103%以上108%未満のもの)
緑字3類(「評価価格」が「中心価格」に対して97%以上103%未満のもの)
黒字4類(「評価価格」が「中心価格」に対して94%以上97%未満以上のもの)
    
  なお、16年産産地品種銘柄の詳細こちら(PDFファイル)でご覧ください。



● 日本の水田の保水力は、全ダムの3.4倍
水田(田んぼ)は、高さ30cmほどの畦(アゼ)に囲まれた浅くて広い池のようなもの なので、大雨のとき、この田んぼに雨水が溜まることで国土の洪水を防いでいる。
日本全国の水田が蓄える水の総量は、およそ81億d。日本各地に作られている治水ダム の貯水量の、実に3.4倍もある。
日本は国土の70%が山地で急傾斜が多く、川も短くて急なので洪水が起こりやすい地形を している。だから、雨水を上手に溜め、ゆっくりと放水する治水ダムに似た働きのある 水田の存在が重要となっている。

土壌流出割合
裸地 100
牧草地
みかん果樹園 17
茶果樹園 10
水田
また、左の裸地を100とした土壌流出割合の表のように、水田は雨が降っても表面 の土を全く流さないので、土砂の流出を防ぎ、肥沃な土地を守っている。最近、 世界中で森林伐採による表土の流出が問題になっているが、こうした面でも水田は 自然環境を守っているといえる。

他にも、水田に溜まった雨水は、濾過され、地下に浸透し、きれいな水となって 豊かな川を作る。また、水田に溜まった水が太陽に照らされ蒸発することで、気温の 上昇を抑えるなどの温度調節の働きもしているのだ。



● 『 コメ 』 の語源は 「 籠める(コメル)」?
「コメ」の語源
「コメ」の語源については、コミ(小実)、コメ(小目)という説もあるが、上代特殊仮名遣いからすると、 「米」のコと「小」のコとでは仮名遣いが異なるので、動詞コメル(籠める)の連用形が名詞化したもの という説が、仮名遣いの点でも問題がなく、語源としての可能性が高い。
 古代語におけるコメの使用例はなく、ヨネの方が多用され、イネの実としてはヨネが一般的である。 そして、古語書類でも「米」の訓としてはヨネをあげるものが多く、「殻」の訓としてコメが見られる ことから、コメは「篭めるもの」、すなわち「殻」と考えられよう。
 また、コメという語は、改まった儀式の場で用いられることから、何か神聖なもの、あるいは生命力の ようなものが「篭められたもの」といった意味もあったと考えられる。
             -----(山口佳紀著「暮らしのことば・語源辞典」より)

「イネ(稲)」の語源
  • イツクシイ(愛)ナエ(苗)、つまり大切な植物としてそだてたところからという説
  • イヒネ(飯寝)からという説
  • イノチノネ(命根)の略という説
  • イツクシナへ(美苗)という意味という説
          -----(日本語表現研究会著「語源からわかる言葉の辞典」より)


● “RICE”の語源をたどって・・・
横尾政雄編著『米のはなし』(技報堂出版刊)による
 イギリスでライス(Rice)と呼ばれるようになったイネは、ヨーロッパ大陸から伝来し、その語源は ドイツ語のライス(Reis)。このドイツのReisは南欧からの伝来で、フランスでリズ(Riz)、イタリアで リソ(Riso)と呼んでいるのがその元祖である。ヨーロッパのイネは、北アフリカからまずスペイン、 ポルトガルに伝来し、これがアローズ(Arroz)でリズの元になったと考えられる。
 このまた上流の言葉は、エジプトのアルース(Arus)である。そしてエジプトの米はここで分岐して ギリシャにも伝えられ、オルザ(Oruza)となった。現在、イネのことを学名ではオリザ(Oryza)属と言う が、その原型がギリシャ語のオルザ(Oruza)である。
 さらにオルザの源をたどると、エジプトのArusはアラビアやペルシャ(イラン)から来たもので、 ウルズィ(Urzy)、アルイ(Arruy)と呼ばれている。さらにその東、今のアフガニスタンではVrizeとか Urshiなどと呼ばれている。これはまた、東方のインドからもたらされたもので、インドの古代言語・ サンスクリット語でイネをVrihiと呼んだといわれていて、これがRiceの源だろうといわれている。
 ここにきて、イネは同じことばの系列でイギリスからインドまで連綿と続いており、その中に 「アール(r)」を共通に現在でも結ばれているのである。
  
  
引用させていただいた『米のはなし』のなかで この章を執筆された中川原捷洋氏は、
その最後を次のように結んでいる−−−

 「(イネ・コメの語源を調べてみると)西方へ伝播したライスの語源は比較的簡単に謎解きが できて一筋の明快な道筋がたどれました。ところが、東南アジアから東側は、簡単ではありません でした。東側は、イネを表すことばそのものも豊富で、植物のイネや食べる米など部位を表すことば が分化していて、何が米の主流やら見当をつけることもままならない状態でした。それは、とりも なおさず、これらの地域が米を重要な作物として古来から大事にしてきた証拠ではないでしょうか。 ことばの豊富さも、この地域の歴史の古さによると考えられますので、古きがゆえに、このように 複雑になったといえるでしょう。」  




Part 1 Part 3 Part 4 Part 5 Part 6

top (目次) Profile | Information | Quiz | Tambo | Opinion | Link | Mail | Private next (Quiz)