お米とご飯の雑学 ≪PartT≫


 おコメは農産物だが、野菜や果物と違って食べられるようになるまでに加工的な過程が必要だ。
 米は、イネの段階では(モミ)を付けている。そのモミを取ったものが「玄米」。  一般的には、コメは販売業者に「玄米」の形で入ってくる。
 この「玄米」を最も一般的な「白米」や玄米と白米の間の「分づき米」に加工するのが精米工程である。

 この精米工程を「玄米が白米になるまでのおコメの旅」として私の店の場合で紹介する。

低温倉庫1 低温倉庫2

(1)玄米の低温保管

生産者や卸業者から買い入れた玄米は、精米するまで保管しなければならない。 中には、出来秋に一年分を買っておかなければならない特別な米もある。 しかし、冬季の極端な乾燥、梅雨ごろから夏の高温は米の品質を低下させる。
そこで登場したのが玄米低温貯蔵倉庫である。温度を15度以下、湿度を70%前後に 設定して、米の品質低下を防ぐのである。


石抜機

(2)石抜き精製

玄米の中には、刈り取りなどのときに混ざる石などの異物が入ってしまう。現在では 生産者が行う刈取り・籾摺り・良質米調整などの作業が機械化されているために、機械の 部品類までが入ってしまうこともある。それらの異物を取り除くのがこの機械。
だから、ご飯を食べていてガシッと石を噛んでしまったという話は昔話になってしまった。 (今でも農家から精米を直接買ったときなどには、この経験ができるかもしれない。)
しかし、この機械の原理は比重の違いを利用するものなので、比重が米に近い雑草の種 などの異物は取り除けないのである。


精米機

(3)精米(「搗精」ともいう)

玄米を白米あるいは分づき米に搗精(トウセイ)する。
搗精の原理は、搗精筒の中心を高速で回転するロールと周辺の網刃の間を通り抜けながら、 玄米の外周のヌカ層が、摩擦によって剥けるのである。
精米機も、今では効率を重視して玄米を入れると白米で出てくる1回搗きの機械が主流だが、 ボクの店では食味を重視した昔ながらの原理で搗精する循環式の機械を使っている。


色彩選別機

(4)色彩選別機での精製

米は農産物だから害虫や菌に侵されるものがでる。このような米粒は、一部が黒褐色に なってしまったり、全体が茶褐色になったりしてしまう。こうした着色粒や(2)の石抜き機 で選別できなかった雑草の実など、白米と色の違う異物を取り除く。
数台のカメラの目と瞬間に強い空気を出すコンプレッサーが主役である。少量づつ流れる 精米から、カメラの目が白米と色の違ったものを見つけだし、瞬間に勢いよく噴出される エアで外に吐き出すという原理であるから、異色物を100%取り除くまでにはまだ到達して いない。しかし、台所でお米をとぐときに着色物を取り除く手間は、大分省けるようになった はずだ。


計量器

(3)砕粒除去と計量 − 精米の旅の終わり

色彩選別機を抜け出た白米は、写真にはないがシフターという機械を通って細かく砕け てしまった米を取り除き、ようやく精米の旅を終える。
旅を終えたとき、1俵60kgあった玄米は、約54kgと10%ほどスリムになっている。
そして、10kgとか5kgとか2kgとかに計量され、袋詰めされて店頭に並んだり配達されたり することになる。


ご飯の写真
コメは、苗を植えてから約半年、その前の田作りや種まきを入れれば10ヶ月近く生産者に 手をかけられる。そして玄米として消費地に運ばれてからもこのように多くの労力をかけられて、 ようやく人々の口に入る。
また、収穫量は、農産物の宿命ともいえる天候に左右される。コメ余りだからといって 減反することはできても、では不足したからと簡単に田んぼを増やすことはできない。
日本の田んぼは雨の多い島国日本の一大貯水槽の役割を果たしているのだから、「今や ボーダーレスの時代、コメも輸入に頼ればよいではないか」と日本の田んぼを潰して しまったら、日本全土は洪水で水浸しになるかもしれない。

さあ、日本のコメ≠どうする!


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(目次)
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