おしんでシンハラ語




浅草の髪結い師匠おたかさんとの会話 4
シンハラ語版「おしん」part52のユーチューブを読む
2015 Jan 14




 酒田に着いたおしんは加賀屋の座敷に上がり、仏様に線香をあげて座に就く。シーンは大奥様くに、若奥様みのとおしんの会話へ。

みの
ඔසින්, ආවට සංතෝෂයි.
(読み) オシン、アーワタ サントーシャイ。
(直訳)おしん、来てくれて ありがとう。
(日本語台詞)ようく来てやってくれたのう。

 ●「 アーワタ」はエナワ(来る)の過去形アーワ(過去形の不規則変化)に方向を表すニパータ(助詞)の「タ」を後置したもの。「来た(アーワ)事に(タ)対し て」サントーシャ(感謝)」を伝えている。サントーシャの語尾に添えられた「イ」は便利な接尾語。名詞、動詞語幹、形容詞語幹について語を文の中に固定す る。名詞なら「~です」、動詞なら「~する / ~している」、形容詞なら、まさにそのまま「~い」となる。


ඔයා නේ,සයෝ හදා වඩා ගත්තේ.
(読み) オヤー ネェ、サヨー ハダー ワダー ガッテ。
(直訳)あんたが ねぇ サヨを 成長させて くれた。
(日本語台詞)小夜はお前が育ててくれたようなもんだぁ
 ●「ネェ」は間投助詞。語調を整え和す言葉。
語尾にも「ネ」を使うけど、文中の「ネェ」も日本語そのまんま。わたしゃ、ねえぇ、そこまでシンハラ語が、ネェ、日本語と通じてるなんて、ねえ、思わなかったよ、という具合に「ネェ」を使う。


එයා හිටිය නම් හුඟක් ස්න්තෝෂයි.
(読み) エヤー ヒティヤ ナム フンガク' サントーシャイ。
(日本語台詞)なんぼか喜んでるがのう」

 ●「ヒ ティヤ ナム」の「ナム」は条件を表すニパータ。動詞の辞書形「居た(ヒティヤ)」に後置して「居た-なら」の意味を作る。何処か日本語の係り助詞の用法 を連想させる。シンハラ語のナムは名詞についてその名詞を強調するから、その場合、日本語の「なむ」と同じ用法となる。例えば、竹取物語の次の一節に使わ れている「なむ」はそのままシンハラ語に移行できる。

  もと     光る      竹    なむ   一筋   ありける
  මුල බැබළෙන වේණි නම් එකක් හිටියා
 ムラ    ババレナ  チェーニ  ナム  エカク  ヒティヤー   


 -と言いながら、みのは積もる話を続ける。

මේ කොහෙද ඉන්න දන්,සෙකේ කිව්වා අපිට ව්වා ඉගෙනගන්නවා නම් හොඳ සක්සං නේ , ටෝකියෝවෙල.
(読み) メー、コヘダ インナ ダン?セケー キウワ  アピタ ウワー イゲナガンナワー ナン、ホンダ サクサン ネー、トーキョー ウェラ。
(直訳)ね、どこに居るの 今? 修行するなら、良いところね、東京あたりは。
(日本語台詞)今、どこさいんなだ? おりきさんの話では東京へ髪結いの修行に行ったというだども。

おしん
ඔව්,මිසෙස් යශිරෝ මට නිතරම කියනව නෙ.
(読み) オウ、ミセス ヤシロー マタ ニタラマ キヤナワ ネ 。
(直訳)はい、ヤシロー夫人は 私に いつも 言いますわね。
(日本語台詞)大奥様はよくおっしゃっておいででしたが、…


 -と、目の前にいる加賀屋の大奥様くにに言う。

ගෑණියක් වුනත් ජීවත් වෙන්න තමෂ්ෂොයෙන්ම.
ඒක අත්තද.
ටෝකියෝවල හුඟක් අසුකං තියෙනවා.

(読み) ガーニヤク' ウナト' ジーワト ウェンナ タマッショ イェンマ。
エーカ アッタダ。
トーキョーワラ フンガク' アスカン ティエナワ。
(直訳)女 でも 生きるには 独り立ちして、と。
それは 本当です。
東京あたりには たくさん 罠が ある。
(日本語台詞)…女でもひとりで生きていかねばならないって。…それがようく身に染みております。


 -東京は「アスカン ティエナワ」、と言うおしんの言葉にみのはいたたまれなくなって、


みの
ඔශින්,ඔය ටෝකියෝවෙ ඉන්නං දන්නව විස්තර කයෝගෙන්.කයෝ,මොනවද වුනා ,නැත්තම් ආරන්චි යක් තියෙනවද?
(読み) オシン、オヤ トーキョ-ウェ インナン、ダンナワ ウィスタラ カヨーゲン。
オシン、カヨー モナワダ ウナー?
ナッタン、アーランチヤク' ティエナワダ?
(直訳)おしん、あんた 東京に いるなら、知ってること話して、カヨのこと。
おしん、カヨはどうなった?
いや(--でなければ)、知ってること、ある?
(日本語台詞)おしん、あんた東京さいんなら、加代のこど何か? あんだ、加代の男のこと知らねんだが?


 -黙っていた大奥様くにが,ここでみのの言葉に口をはさむ。


大奥様くに
මිනෝ, නවත්තන්න
(読み) ミヨー、ナワッタンナ。
(直訳)みよ、止めなさい。
(日本語台詞)「やめれ」


 -だが、興奮したみのは止まらない。



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