エリザのセイロン史






 1893年、ヌワラエリヤに暮らしたエリザというイギリス女性が読んだ小さな冊子がある。それは『セイロンの歴史 History of Ceylon』。スリランカ(当時はセイロン)にやって来た英国キリスト教伝道協会の宣教師がこの冊子を綴った。
 スリランカ。
仏教に守られ、安らぎに包まれる光り輝く島。あるいは、常に大国に追われ、内なる紛争に明け暮れる島。そのいずれのときにも、この島では文化と歴史が二千数百年にわたり刻まれ続け、笑顔の美しい人々が暮らしている。
 スリランカはどのように生まれたか。
どのように歴史を歩んだか。
この南の島を彩る民族の多様性は繁栄の妨げか。
それらを解き明かす鍵は歴史と文化とにある。百年前にエリザが読んだこの小さな冊子のページを今再び、開いてみよう。