浅草の髪結い師匠おたかさんとの会話3 シンハラ語版「おしん」part52のユーチューブを読む 2015 Jan 11
前回は、「私の気持ちだよ」と言われておしんがお金を受け取ったところまで。今回は引き続いて、酒田へ行かせてほしいというおしんに師匠のたかがあれこれと面倒を見る場面。
「おしんでシンハラ語」はyoutubeに投稿されたシンハラ語版おしんの中のセリフを聞いて文字起こしをしています。「おしんでシンハラ語」のシンハ
ラ文字はユニコードですので、OSにシンハラ・ユニコード対応がないと文字は▯▯▯のように表されます。シンハラ・ユニコード、ちょっと問題はあるけど、
便利なフォントです。シンハラ・ユニコードをインストールされていない方はこの「おしんでシンハラ語」を機会にぜひフォントに加えてください。
では、おしんと髪結いの師匠たかさんの会話へ。
おしん
ඉස්තුති.
(読み)イストゥティ。
(直訳)ありがとうございます。
(日本語台詞) ------
たか
දවස් පහක් කරා ගියාත් කමන්නෑ.
(読み)
ダワス パハク カラー ギヤート' カマンナェ
(直訳)5日 へ 行ったとしても かまわない。
(日本語台詞)5日が6日になったってかまやしない。
●「ダ
ハス パハク' カラー」のカラーは「~の処へ」という到達点を示すニパータ。カラーによく似た日本語のの助詞に「から」があるが、日本語の「から」はシンハラ語のカラーとは反対に出発点を表す助詞。シンハラ語の言い回しでは「5日になっても構わないよ」の限定する気分だから、髪結いの師匠たかの技量が少し狭まった。日本語では「5日より先に延びても構わないさ」と太っ腹なんだから。 |
අවශ කටයුතු අවසන් කලළා එන්න.
(読み)
アワッシャ カタユトゥ アワサン カララ エンナ。
(直訳)必要な 事柄は 終わして おいで。
(日本語台詞)心残りがないように行っといで。
●「
カララ・エンナ」は「~する」のカラナワの過去形カラーに再度活用語尾のラーを付けてカララーの完了形を作り、そこにエナワ(来る)の連用形エンナを添え
た語形。エンナが丁寧な呼びかけとなる。日本語では「終わして・おいで」、「終わす」の連用形「終わし」に助詞の「て」を付けて次の「おいで」につなげ
る。2語の動詞をつなげて複合の意味を作るとき助詞(ニパータ)の使い方が異なる。 |
-と、言ったあと、たかは思い返すようにして、
たか
මෙහෙ ආයිත් එනව නෙ
(読み)メへ アーイト エナワ ネ
(直訳)ここへ また 来るよね。
(日本語台詞)帰って来てくれるんだろうね。
●「エ
ナワ・ネ」は「来る・ね」。言葉の最後に「ね」を付ける人って日本人にもいるけど、シンハラ人に「ネ」好みの言い回しをする人は多くて、そういうシンハラ
人は英語で話す時も「英語+ネ」でしゃべってしまう。no trouble
ne、とか。これがなかなか味がある。これも、また、ベターね。あっ、くせになっちゃった。
シンハラたか師匠、次のセリフでも「ネ」って言うよ。 |
අඃ හරියට හොඳ සුලුසුලු කරුණයත් කියා දුන්නත් නෑ නෙ.
මේ විතරම මම හරී දුකයි.
(読み)
アア、オホマ タ ワマ ハリヤタ ホンダ スルスル カルナヤト キヤー ドゥンナト ナェー ネ。
メー ウィタラマ ママ ハリー ドゥカイ。
(直訳)ああ、お前に もっと とても細かな ことも 話して やって ないね。
このこと だけが 私には とても 悲しい。
(日本語台詞)あんたにはまだ髪結の修行らしいことなんにもしてやってやしない。このままじゃ、あたしだって悔やまれるじゃないか。
-たかは立ち上がって箪笥のへ向かい引き出しを開けて、
たか br>
මේක ඔයා ඇඳීමට යන්නම්.
(読み)
メーカ オヤー アンディーマタ ヤンナム。
(直訳)これ あんたの 着物に やるよ。
(日本語台詞)これ着てお行き。
ඕක මගේ වයසට පාට වැඩියි.
(読み)
オーカ マゲー ワヤサタ パータ ワディ。
(直訳)これ 私の 歳にゃ 色が派手だ。
(日本語台詞)あたしにゃ派手になっちまった。
●オー
カは指示代名詞。本来は「あなたのところにあるそれ」を指す。たかが桐ダンスから着物を出してきておしんの肩にかけてやる。その時に「オーカ マゲー ワ
ヤサ-タ~」と言う。オーカは指示代名詞で「対話者のところにある物」を指し示す。この場面ではおしんに着物を着せかけて、その着物をオーカと呼んでい
る。日本語でなら「これ」と表現するところだけど、シンハラ語はそこが細かい。話し相手のおしんの肩にかけた着物だからオーカなのだ。ちなみにシンハラ語
の指示詞はメーカ(これ)、オーカ(それ/この会話ではこれ)、エーカ(それ)、アラカ(あれ)の四つ。 |
-たかの優しい計らいにおしんは胸に感謝の気持ちをいっぱいに詰めてたかを見つめる。
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そして、場面が変わっておしんは酒田へ。加賀屋の座敷に上がり仏様に線香をあげて、シーンは大奥様くに、若奥様みのとの会話へ。次回はその場面の会話から。
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