KhasyaBook mini
ハリス、
コロンボでハルワを食す
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　ハルワを正月最初の日に食べて安寧と富裕を願う。もともとアラブのデザートだがインドに伝わりさまざまなバリエーションを生んだ。昨今、ニンジンを用いるハルワがビーガンにもてはやされてブームとなったのは周知のとおり。ハリスはハルワのほか、トルシ―Tulsiにも触れる。スイート・バジルと呼んでいる。植物にも食文化にも詳しいインド通、アジア通なのだ。

　だが、条約締結には天皇が承認しなければならないと老中会議で決まった。堀田は京へ向かった。1858年5月18日、堀田老中と共に京へ上った肥後守が急遽江戸へもどり、孝明天皇の了解が取れない、とヒュースケンに漏らす。和訳のハリス日記にはこの件が省かれてるがハリスもこの事を日記メモに残している。何という不運、条約はどうなるんだ。繁栄と富をもたらすハルワのご利益はハリスから遠ざかったのか。

　条約締結には京の天皇が承認しなければならないとなった。1858年5月18日、堀田老中と共に京へ上った肥後守が急遽江戸へもどり、孝明天皇の了解が取れない、とヒュースケンに漏らした。和訳のハリス日記にはこのことが省かれているがハリスもこのごたごたを日記メモに残している。何という不運、条約はどうなるんだ。繁栄と富をもたらすハルワのご利益はハリスから遠ざかったのか。

　ハリスはもともとアジアを舞台にする商人だった。戦乱に慣れた欧州の政治家ではない。ハルワ、トルシ―に食指を注ぐ可愛げな食通だ。新興国アメリカの新米外交官は繊細に神経を研ぎ澄まして日本を見守った。
　外交官ハリスはヒュースケンの死後、健康がすぐれず職を離れた。アメリカに戻ってからは改革派教会の信徒として、民間人として自由学校の設立に力を尽くした。