KhasyaReport ひなたやまカフェ 029
トマトは腐らない

何が何でも糖度高く作り上げて生食するのがトマトの流行りだけど、でもね、トマトはソースに加工して自家料理に使いたいんです。



 去年、加工用のトマトの苗をいただいた。
 苗を植えて放っておけば、実がなると言われて、それを20株ばかり植えたら本当に放っておくだけでトマトの実がなった。
 

2017-01-19


 スーパーで売っている桃太郎には到底大きさも甘味も追いつかない。ピンポン玉を一回り、二回り大きくした姿。二つに割って口に入れる。うわあ、甘い、とはならない。なんとなくトマト。
 この二つに割ったトマトを鍋にどさっと放り込んで塩を振って、火に掛ける。あとはひたすらヘラで八の字を描いて掻きまわす。どろりとしたトマト液に形状が変化するまで掻きまわす。
 トマト液が滑らかになったら一度笊にあげてゴムベラでしっかりと漉してやる。種と皮をトマト液から分離させる。じいっと煮込んで水分を飛ばせば無添加トマト・ピュレになる。
 これが使える。朝のトマト・スープ。昼のトマトソース・パスタ。夜にはパン粉をまぶしたたらをソテーしてトマト・ピュレをそのまま載せる。

   トマトの枝は畑で次から次と実を付ける。赤身が付き始めたやつから捥いで小屋へ持って帰って蓄える。小屋で後熟したら、数の揃ったところでピュレ作り。これを繰り返したが、そのうち面倒になって収穫したトマトを小屋に置きっぱなしにしてしまった。でも、一か月は腐らない。二ヶ月置きっぱなしにしても腐らない。なぜかはわからい。トマトには優れた抗酸化力があるということだろうか。
 とにかくトマトがいつまでも腐らないから、日数をかけた後熟が期待できて、ということは濃厚なトマト・ピュレの出来上がりにつながる。とろとろトロトロ。すり減った木ベラで八の字に掻き回して鍋でトマトを炊いていると時間が消える。月の夜の凍える森の番人になった。未来仙人ヨーダか。しまった、そいつはまだ早い、と慌ててしまう。
 パスタをボイルして笊にあげて湯を切ったらガラスの器に移してこのトマト・ピュレを合わせる。炬燵の食卓に運んでウッド・ブリッジの赤と共に食す。「話し方」の音声audio版はアップしたし。やっと時間が解放されたら、午後6時の西の空には切れのいい金星が輝いているのを見た。雪色の冬の時間。透明にとうとうとゆっくり流れている。   2017-01-19


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