スリランカ料理トモカのレシピ―  


ポル・サンボール

「ユートピアライフ」1987年10月10日・講談社 スリランカ料理トモカのポル・サンボール。



キリ・バト(上)とポル・サンボーラ


ポル・サンボ-ラ
「あらかるとの本」spring.vol2号


ポル・サンボール(スリランカ料理トモカ)
●どんな料理? 
 四谷にあったスリランカ料理トモカが1983年に日本で始めて紹介したポルサンボール。日本人でこれに始めて共感してくれたのは、当時、「謎学の旅」で前取材にやって来たテレビマン・ユニオンのディレクター・三浦さん。あれから四半世紀を過ぎようとして今、やっとこの国でも定着した、かな? 

ちきゅうラジオでもポル・サンボーラ
 え~、2014年2月9日(日)HNKラジオ第1の生放送「ちきゅうラジオ」がこのポルサンボールを取り上げました。5時35分頃だったかな、スタジオで出演者たちはなにやら分からずポル・サンボール(番組ではポル・サンボーラだった、マ、どっちでも良いや)を食べて、「からい!」。そして、さて、このポルサンボーラには何が入っているでしょう?、とクイズ。面白いやり取りがあって、正解は「かつお節」。NHK全国放送だもの、やっぱ、定着。かな、かな? ポル・サンボーラ。
 でも、スタジオで変なこと言ってる。かつおが細かいよ、ぷよぷよやわらかい(ぷくぷく、だったかな)、とか。それから、ロティにのせて召しあがれ、とか。最後にラッシーと一緒ならすっきりするとか。なんか変だな、Indiaだな。スリランカじゃないな、この雰囲気。
 ポル・サンボール(サンボーラ)日本に入って30年。いろいろありました。これだけ突っ込んでポル・サンボーラを紹介してくれたのは「ちきゅうラジオ」さんなればこそ。ありがとう。でも、定着にはもうちょっと、かな。

 とにかく、スリランカの朝飯には必ずポル・サンポールが付き物だ。

 細かく削ったヤシの果肉に唐辛子、柚子の汁、鰹節を加えて練り合わせて作るご飯のおかず。イディ・アーッパ)で食べてもいい。この逸品こそがスリランカ料理の真髄。
 「♪王様だって乞食だってコロンボ7の金持ちだって,貧乏人だって,誰もが食べてるポル・サンボーラ」、という歌があるぐらいだ。ポル・サンボールを知らなければスリランカを知らない、ってことだよ、これ。

 酸味が利いてさわやか。ぴりりと辛くて刺激的。いまどきのは赤いだけでいけねぇ,通ならコッチを使ってくれ,とこれはポル・サンボールにうるさいシンハラ人の叔父さんの言。聴いてみて、この歌。♪王様だって乞食だってコロンボ7の金持ちだって,貧乏人だって,誰もが食べてるポル・サンボーレー。あれれ、サンボールだか、サンボーラだか、サンボーレだかわからなくなっちゃった。いいんだ、こいつは美味いから。

 写真はスリランカ料理・トモカのポル・サンボール。『異人たちとの夏』に出てきたあの店。

 シンハラ人の料理でキリ・ホディ、ルヌ・ミリス、ポル・サンボール(写真左)といえば朝食御三家。スリランカではこの一品を忘れてはなりませんぞ。

材料 
削りココナツ(日本でならケーキ用の細かくされたやつ,ほとんど粉末状の乾燥ココナツ、商品名は大体”ファイン・ココナッツ”と呼んでいるやつで代用するしかない) 適量、 微塵に刻んだ赤タマネギ 適量、かつお節(荒節をハンマーなどで叩いて細かくしたものがいいけど,日本式に削ったやつでも可) 適量、 ゆずの汁(なければレモン汁)適量 唐辛子の粉(通気分なら青唐辛子の飛びきりに辛いやつを小口に刻んだものを用意すること)少々,好みで多量、 塩 少々。
調理手順

①材料をすべて混ぜ合わせます。日本で市販されている「削りココナツ」(”ファインココナツ”などの商品名でケーキ材料の棚に並んでいる)は使う前にすこし乾煎りしておくと、中途半端な臭みがなくなって香ばしくなります(焦がしたり、茶色く色付かせないように)。材料のすべてを合わしたら、これをよく手で練るようにして混ぜます。ココナツから油が染み出るような感触になるまで、丁寧に。
 常温が20度を越えているとココナツから染み出る油がよく混ぜあうのですが、寒い部屋ではうまくいきません。ココナツの油は硬化油で飽和脂肪酸なのです。つまり、日本では夏がポル・サンボールのうまい時期なのです。
 スリランカは常夏。暑い土間でミリス・ガラという擦り石を使い、円筒状の石をゴロゴロと転がして、ねっとりとするまで潰すようにペースト状に練ります。

 コロンボ・セブンあたりの高級な家庭では削った椰子をフード・プロセッサーやミキサーに入れて、デヒ(ゆず)や赤唐辛子を加え、ガアーッと攪拌してしまう作り方をするのですが,、これでは、おいしいポルサンボールが作れません。削り椰子はミキサーでカットするのでなく、その細胞を押しつぶしてこそ椰子本来の独特のうまみが出てきます。
 また、日本で作る場合、鰹節を日本風の削ったもので代用することがあるようですが、これも駄目。鰹節も臼で叩いて潰したものがポルサンボールには最高のマッチングです。ともあれ、スリランカ古来の作り方が一番です。鰹節は叩き割って細かくしましょう。

 もっとも、此の頃はスリランカでも、削り椰子(ガーガト・ポル)をふんわりと混ぜ合わせただけの、下手な体裁のものがテイク・アウトで市販されています。ポル・サンボールに仕上がりの基準はなくなっているのですが、やはりよく練ったものがおいしい。
 味の決め手は酸味と辛味。それと、隠し味の細かく砕いたかつお節。ポルサンボールはこれが決め手の逸品。

食べ方

 皿に盛ったご飯やイディ・アーッパにポル・サンボールを掛けて、指でしっかり混ぜ合わせて食べます。甘いジャムの代わりに辛いポル・サンボーラをパンにのせて食べる人もいる。ロティという線もあるけど、スリランカならアーッパだよ。アーッパに包んで食べちゃおう。
 そうそう、この料理はかならず指食するように。優雅に指先にご飯とポルサンボールを絡ませて、召し上がれ。 

更新 2014-02-10