ゴトゥコラ・サンボールは
冬でも作れる
ゴトゥコラ・サンボールの簡単料理

New Gotukola Sambol
スリランカ料理・道案内 第10回 スリランカ料理・道案内 
No.8 2012-09-30
イノーカさんが遊びにやってきた。昨年、3回も入院を繰り返した私を見舞いにやってきてくれたのだ。お土産はかつおのアンブル・ティヤルと菜の花のマッルンとパリップと、それにマスタード・シーズたっぷりのアッチャール。
 カハ・バトもたっぷりと持ってきてくれた。
 イノーカさんの料理はうまい。病み上がりにはなんともうれしい料理。

 「これだけあれば、ほかには何も要らないね」
 と言いながら、カェー・ダラカマ(食いしん坊)の私はサンボールが欲しくなった。その時、ちょうどゴトゥコラ茶を飲んでいた。
「このお茶はね、沖縄の石垣島で日本人が作っているんだ。ゴトゥコラをお茶にして飲む習慣はスリランカにないけど、ほら、こうして煎じるとゴトゥコラの香りがする」
 お茶にしたゴトゥコラをカップに注いだ。ゴトゥコラ茶。イノーカさんには初めての体験。
カップからはほのかなゴトゥコラの香り。血の流れを良くする。心がリラックスする。それがゴトゥコラの薬効。
何をひらめいたか、
「うん、ゴトゥコラの香りがする。これ、カンダ(かゆ)に使おうよ。ゴトゥコラ・カンダが作れる」
とイノーカさん。
「ええ!?」
と驚いたけど、ゴトゥコラ茶の葉は緑色でつややかになっているみたい。
 お湯で乾燥ゴトゥコラが生のゴトゥコラに?


 そうね、使えるかもね。やってみるか。もう一度、乾燥したゴトゥコラ茶をお湯で戻してみた。
 不思議、不思議。わあ、生のゴトゥコラに戻った!
 な、な、なんとっ、とっ、とっ!
ゴトゥコラが新鮮な緑の色に輝いてる。
こうなりゃ、こっちのものだ。戻したゴトゥコラをブレンダーで刻む。刻んだゴトゥコラにココナツ、たまねぎ、かつお節、青唐辛子、レモンを加えて、塩で調味して、あっという間にゴトゥコラ・サンボールの出来上がり。トモカ時代の腕はまだ鈍っていない。
 アンブル・ティヤルにパリップにゴトゥコラ・サンボール。スリランカ式カレーライスはこの組み合わせから始まる。
「簡単だけど完璧だぞ、このゴトゥコラ・サンボール」
「それにしても、こんなにうまくできるなんて」
「冬の寒いときもゴトゥコラ・サンボールが食べられる」
「これならゴトゥコラ粥も作れるね」
 スリランカ料理の食いしん坊は延々とゴトゥコラ・サンボールのウンチクに拘ってしまう。

 写真はゴトゥコラ・カンダ(ゴトゥコラ粥)・左とゴトゥコラ・サンボール(右)。使ったゴトゥコラは沖縄・石垣島の「もだま工房」で作っているつぼくさのハーブティ。つぼくさ(つぼ草)はゴトゥコラのこと。もだま工房では畑土に拘って日々つぼ草栽培の研究を重ねている。

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